メトロポリタンオペラの「椿姫」を観てきました。
メトは、同じNHKホールで「カルメン」(ドミンゴ指揮)を見て以来10年ぶりになります。
当初行く予定ではなかったのですが、モニターチケットが当たったので、幸運にも観ることができました。
席は3階左手の前から3列目。天上桟敷かと思っていたのですが、とても見やすい場所でした。舞台もオケピットも良く見えるし、音も1階席よりもむしろ良いかも知れません。
☆ヴェルディ:歌劇《椿姫》
<日時>2006年6月14日(水)
<場所>NHKホール
<出演>
■ヴィオレッタ:ルネ・フレミング
■アルフレード:ラモン・ヴァルガス
■ジェルモン:ディミートリー・ホロストフスキー
■フローラ:エディタ・クルチャック 他
<演出・美術>フランコ・ゼッフィレッリ
<指 揮>パトリック・サマーズ
<管弦楽>メトロポリタン歌劇場管弦楽団
<合 唱>メトロポリタン歌劇場合唱団
第一幕
前奏曲が神秘的で抜群に美しい。フレーズのひとつひとつが心に染み入るようです。
10年前と比べても、今回の方がオケの音は充実しているのではないかしら。
そして幕が開きました。
オーソドックスだけどとても美しい舞台ですね。
正月にハイビジョンで放映されていたザルツブルクの「椿姫」も、斬新で印象的な舞台でしたが、今回のゼッフィレッリの舞台も素晴らしいなあ!
肝心の歌ですが、こちらは少し空回りしている感じが・・・。
もちろんメトの実力を考慮しての話であって、安定した、レベルの高い歌唱であることは間違いありません。ただ、このメンバーならもっとゾクゾクさせてくれてもいいのではと高望みをしたくなりました。
第二幕
これは素晴らしかった。本当に素晴らしかった。
フレミングの弱音の美しさと表現力は、もう神業ですね。ホロストフスキーも、単なる親バカではない威厳を持った素晴らしいジェルモンを演じてくれました。ふたりの二重唱は、まるで時間が止まったかのような世界。
「お嬢さんの犠牲になって死んでゆきます・・・」と静かに歌うフレミングを見ようと、オペラグラスを取り出しましたが、涙でレンズが曇ってしまいよく見えませんでした。
可哀想なヴィオレッタ・・・。今思い出しても涙がでそうです。
そして、アルフレードに手紙をしたためる場面で聴かせてくれたクラリネットの、美しくも切ない表情。
その直後「私を愛して!・・・」とアルフレードに語りかけるフレミングの名唱。
いずれも決して忘れることはないでしょう。
最後のアリア「プロバンスの海と陸」のあと、ホロストフスキーに対して贈られた拍手は、永久に続くのではないかと思わせるほど凄いものでした。
続く第二場のフレミングは、第一幕の真っ白のドレスとは対照的に、黒のドレスで登場。この場の雰囲気を良く表していたと思います。
第三幕
前奏曲は第一幕のそれよりさらに陰影の濃い演奏。
ヴィオレッタの運命・残された時間を感じさせてくれました。
第三幕はそのすべてが素晴らしかったのですが、まず良かったのが、ヴィオレッタがジェルモンからの手紙を読む場面。
フレミングのしみじみとした語り口と、それにぴったり寄り添うヴァイオリンの何という美しさ。
続いて、楽しかった日々を思い返しながらヴィオレッタが歌う有名なアリアも最高。「私のお墓には十字架もない、花もない・・・」とヴィオレッタが歌った後、転調してすぐに出てくる「ラ・トラヴィアータ(道を外した女)・・・」という歌詞が、非常に真実味を帯びて聴こえました。
また、このアリアで、終始もの悲しいフレーズを奏でるオーボエも本当に美しかった。
そして、最後に死のふちから一瞬甦ったヴィオレッタがつぶやく「エ・ストラーノ!(不思議だわ)」。
この言葉の重みと、「エ・ストラーノ!」を導くソロヴァイオリンの美しさは、この日最も感動的なシーンでした。
絶対奇跡が起きないことはもちろん知っているのですが、「何とか今回だけでもいいから、奇跡が起きて、このままヴィオレッタに新たな人生を歩ませてあげたい」と祈らずにはいられませんでした。
この「椿姫」、私は心から感動しました。
メトは、同じNHKホールで「カルメン」(ドミンゴ指揮)を見て以来10年ぶりになります。
当初行く予定ではなかったのですが、モニターチケットが当たったので、幸運にも観ることができました。
席は3階左手の前から3列目。天上桟敷かと思っていたのですが、とても見やすい場所でした。舞台もオケピットも良く見えるし、音も1階席よりもむしろ良いかも知れません。
☆ヴェルディ:歌劇《椿姫》
<日時>2006年6月14日(水)
<場所>NHKホール
<出演>
■ヴィオレッタ:ルネ・フレミング
■アルフレード:ラモン・ヴァルガス
■ジェルモン:ディミートリー・ホロストフスキー
■フローラ:エディタ・クルチャック 他
<演出・美術>フランコ・ゼッフィレッリ
<指 揮>パトリック・サマーズ
<管弦楽>メトロポリタン歌劇場管弦楽団
<合 唱>メトロポリタン歌劇場合唱団
第一幕
前奏曲が神秘的で抜群に美しい。フレーズのひとつひとつが心に染み入るようです。
10年前と比べても、今回の方がオケの音は充実しているのではないかしら。
そして幕が開きました。
オーソドックスだけどとても美しい舞台ですね。
正月にハイビジョンで放映されていたザルツブルクの「椿姫」も、斬新で印象的な舞台でしたが、今回のゼッフィレッリの舞台も素晴らしいなあ!
肝心の歌ですが、こちらは少し空回りしている感じが・・・。
もちろんメトの実力を考慮しての話であって、安定した、レベルの高い歌唱であることは間違いありません。ただ、このメンバーならもっとゾクゾクさせてくれてもいいのではと高望みをしたくなりました。
第二幕
これは素晴らしかった。本当に素晴らしかった。
フレミングの弱音の美しさと表現力は、もう神業ですね。ホロストフスキーも、単なる親バカではない威厳を持った素晴らしいジェルモンを演じてくれました。ふたりの二重唱は、まるで時間が止まったかのような世界。
「お嬢さんの犠牲になって死んでゆきます・・・」と静かに歌うフレミングを見ようと、オペラグラスを取り出しましたが、涙でレンズが曇ってしまいよく見えませんでした。
可哀想なヴィオレッタ・・・。今思い出しても涙がでそうです。
そして、アルフレードに手紙をしたためる場面で聴かせてくれたクラリネットの、美しくも切ない表情。
その直後「私を愛して!・・・」とアルフレードに語りかけるフレミングの名唱。
いずれも決して忘れることはないでしょう。
最後のアリア「プロバンスの海と陸」のあと、ホロストフスキーに対して贈られた拍手は、永久に続くのではないかと思わせるほど凄いものでした。
続く第二場のフレミングは、第一幕の真っ白のドレスとは対照的に、黒のドレスで登場。この場の雰囲気を良く表していたと思います。
第三幕
前奏曲は第一幕のそれよりさらに陰影の濃い演奏。
ヴィオレッタの運命・残された時間を感じさせてくれました。
第三幕はそのすべてが素晴らしかったのですが、まず良かったのが、ヴィオレッタがジェルモンからの手紙を読む場面。
フレミングのしみじみとした語り口と、それにぴったり寄り添うヴァイオリンの何という美しさ。
続いて、楽しかった日々を思い返しながらヴィオレッタが歌う有名なアリアも最高。「私のお墓には十字架もない、花もない・・・」とヴィオレッタが歌った後、転調してすぐに出てくる「ラ・トラヴィアータ(道を外した女)・・・」という歌詞が、非常に真実味を帯びて聴こえました。
また、このアリアで、終始もの悲しいフレーズを奏でるオーボエも本当に美しかった。
そして、最後に死のふちから一瞬甦ったヴィオレッタがつぶやく「エ・ストラーノ!(不思議だわ)」。
この言葉の重みと、「エ・ストラーノ!」を導くソロヴァイオリンの美しさは、この日最も感動的なシーンでした。
絶対奇跡が起きないことはもちろん知っているのですが、「何とか今回だけでもいいから、奇跡が起きて、このままヴィオレッタに新たな人生を歩ませてあげたい」と祈らずにはいられませんでした。
この「椿姫」、私は心から感動しました。
まさにおっしゃる通りです
別世界に連れていかれたような不思議な感覚でした。
「さよなら過ぎ去りし日よ」は本当に美し過ぎましたよね
ご丁寧にありがとうございました。
本当に素敵な「椿姫」でした・・・。
まだあの日の余韻が残っています。
やはり今回のメトが観れて、ラッキーだったと思います。
今後ともよろしくお願い致します。
カーテンコールの写真がとてもきれいに撮れているのに感心しました。私は下手でなかなかこのようには撮れません。
日本でいろいろのコンサートに行ってらっしゃるようで、これからも時々訪問させていただきますのでよろしくお願い致します。
ようこそおいでくださいました。
偶然METの「椿姫」を観ることができて、本当にラッキーでした。アルフレード役のラモン・ヴァルガス、決して悪くはなかったのですが、フレミングとホロストフスキーがあまりに素晴らしかったので、割りを食った感じでした。ちょっと気の毒だったかなあ。
>カーテンコールの写真がとてもきれいに撮れているのに・・・
これほんとは良くないのですが、招聘主のオフィシャルサイトの画像なんです。
日本ではカーテンコールのときでも写真撮影ができないので・・・。(汗)
dognorahさまのロイヤルオペラハウスの記事、とても楽しく拝見しました。
またお邪魔させていただきます。
今後ともよろしくお願い致します。
ようこそ、おいでくださいました。
ほんとに素晴らしいオペラでしたね。とりわけフレミングの素晴らしい歌唱と演技に、すっかり痺れてしまいました。
マリリン様のブログ、とても楽しい記事が多く、これからも時々寄らせていただきますね。
今後ともよろしくお願い致します。
本当に美しい音楽に切なくなります。
いつもありがとうございます。
本当に素晴らしいオペラですよね。
分かっていてもついつい泣かされてしまいます。
齢とともにますます涙腺が弱くなってきたようで、少し恥ずかしい思いをしております・・・(笑)
でも、この曲の魔力に取り付かれてしまったようで、一生離れられそうにありません。