ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

シューマン:ピアノ三重奏曲 第3番 ト短調 by ボザール・トリオ

2010-03-06 | CDの試聴記
今週後半は山口へ出張。
山口を訪れるのは、既に4~5回目になるだろうか。
なんだか、とても身近な町に感じてきた。
料理も美味しいし、何よりも地元の人が温かいのが嬉しい。
結構ハードスケジュールであったにもかかわらず不思議に疲れないのは、きっとそのせいだろう。

今回は木曜日の夕方、東京を出発して山口へ向かった。
東京からのぞみで4時間半。
車中で仕事もできるし、たっぷり好きな本も読める。
おまけにipodでしっかり音楽も聴けるので、最近はもっぱら飛行機ではなく新幹線を愛用している。
新山口に着くと、まっすぐ常宿のホテルへ。
まっすぐと書いたが、新山口駅の場合降り口を間違うと大変!
私の常宿のホテルは在来線側にあるのだけど、うっかり新幹線側へ降りるとえらい目にあう。
陸橋があるにはあるが、暗がりの中、ホームを大きく迂回しないと在来線側に行けないのだ。
最初来たときは、これで失敗した。
でも、さすがに学習効果?もあって、この日は無事最短コースで到着。
えっ?何回も行っているのだから、あたりまえですって。
仰るとおりです、ハイ(汗)

さてホテルで部屋に入り、大好きなプレミアムモルツを飲む。
ささやかな幸せに浸る一瞬だ。
部屋の照明を暗くしてベッドへもぐりこみ、ipodで聴いた音楽がこのシューマンのピアノトリオ。
3曲あるピアノトリオは、いずれも傷つきやすいシューマンの心の叫びがストレートに表現された名曲だと思うが、なかでも私を魅きつけてやまないのがト短調で書かれた第3番。
この夜も、「かなり遅く」と指示された第2楽章を聴きながら、私は涙がとまらなかった。
美しい。切ないくらいに美しい。
楽器の数が少なくなればなるほど、シューマンは飾ることなく本音をさらけ出す。
この曲などは、まさにそうしたシューマンの魅力に溢れている。
それにしても、演奏しているボザール・トリオの何と素晴らしいことか。
この絶妙のルバート、深い呼吸感を一度聴いてしまうと、他の演奏がどうしても物足りなく感じてしまう。
彼らが、いかにシューマンに共感しているかの証左だろう。

今年はシューマンの生誕200年のメモリアルイヤーだ。
この曲を実演で聴くことができるかもしれない。
私にとって大きな楽しみでもあり、一方でボザール・トリオの幻影が怖いのも事実だ。

■シューマン:ピアノ三重奏曲 第3番 ト短調 作品110
<演奏>ボザール・トリオ
<録音>1971年8月

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6 コメント

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こんばんは。 (エルザ)
2010-03-07 18:49:53
シューマンの切なく美しい(特に)短調のソナタの数々、……私自身も、聴いていて毎回、感慨無量です。


『楽器の数が少なくなればなるほど…』、私もそう思います。少なくなるほど旋律が強調されて、その曲想が際立って魅了されるシューマンの音楽の世界。

こちらのピアノ三重奏も是非拝聴します。


バイオリンのお話で申し訳ございません。シューマンのヴァイオリン・ソナタ 第1番 イ短調 op.105 第1楽章、…切ないけれども情熱や躍動感も伝わる曲調、本当に魅了されます。発表会はお恥ずかしいのですが、メモリアルイヤーの今年、シューマンの曲に挑戦を考案中……です。


先ほどのヴァイオリン・ソナタ或いはトロイメライを弾いてみたいのですが、今の私には…かなりの練習と『勇気』を要します様です(笑)。


曲を変えることも一案にしていますが、頑張ってみようかなぁ?…と思い始めました。


記事の更新を楽しみに致しております。


ありがとうございました。
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>エルザさま (romani)
2010-03-07 21:43:24
こんばんは。
シューマンの短調の音楽、本当にいいですよね。
私はときどき無性にシューマンが聴きたくなることがあります。
そんなときにまず手が伸びるのが、「幻想曲」だったり室内楽が多いですが、歌曲も大好きだなぁ。

>メモリアルイヤーの今年、シューマンの曲に挑戦を考案中……です
そうでしたか。是非是非シューマンにトライしてください。
難敵だとは思いますが、それだけのことは絶対ありますよ。
指で弾くと思わないで、指が回らないところは口で歌うくらいの気持ちで、心根をぶつけられたらいかがでしょうか。
優しいロベルトが後押しをしてくれると思います。
返信する
シューマンの室内楽 (narkejp)
2011-10-04 19:08:18
今更ですが、コメント、TBいたします。いい曲ですね。黄昏どきに、この曲を聴きながら郊外路を車で走ると、しみじみと季節の変化を感じます。私の場合、「秋は室内楽」の傾向がありますが、とりわけシューマンの室内楽は、お気に入りです。
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>narkejpさま (romani)
2011-10-05 07:32:50
おはようございます。
シューマンのピアノ入りの室内楽は全て絶品だと思っていますが、とりわけピアノトリオの3番とピアノ四重奏曲に魅かれます。
最高ですよね。

>「秋は室内楽」の傾向がありますが、とりわけシューマンの室内楽は、お気に入りです。
まったくもって同感でございます。
ただ、感傷的な気分の時にシューマンの室内楽を聴くと、涙腺が閉まらなくなるので注意が必要ですね(笑)

返信する
今、聴いています (くま)
2013-06-11 22:18:21
初めまして。
今、この曲を聴いています
(曲名で検索して辿り着きました)。

>3曲あるピアノトリオは、いずれも傷つきやすい
>シューマンの心の叫びがストレートに表現された
>名曲だと思う

仰るとおりだと思います。

返信する
>くまさま (romani)
2013-06-12 20:36:09
ようこそ、おいでくださいました。
このブログを書いた3年前の出張のときもそうだったのですが、私は無性にシューマンの室内楽が聴きたくなることがあるんです。
中でも、ピアノトリオは、私にとって最も大切な音楽です。いつ聴いても、いじらしいくらい鋭敏で傷つきやすい感性に心打たれます。

この曲について、くまさまに共感いただいて、とても嬉しいです。
今後ともどうぞ宜しくお願い致します。
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