ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

シューベルト:交響曲第5番 by アバド&ヨーロッパ室内管弦楽団

2013-01-06 | CDの試聴記
4日は初出だったけど、世の中全体がまだまだ慣らし運転という状況。
でも、お屠蘇気分も今日までにしなきゃ。
明日からは予定も結構入っているし、気合いを入れて行こう。

新年に入って、大好きな音楽評論家だった黒田恭一さんの「音楽への礼状」というエッセイを読み始めている。
「だった」と過去形で語らないといけないのが本当に寂しいけど、例によってこの本もすこぶる面白い。
黒田さんの暖かい眼差しと人柄が、文章のいたるところに感じられる。
その中に、ヨーロッパ室内管弦楽団に向けた章がある。

この章は、「あなたがたの演奏をきいていると、みんなの嬉しそうな顔がみえてきます。」
という見出しで始まる。

「好きな仲間との間に、勇気を持って、意識的に会わない時期をおくという、あなたがたの知恵には、ぼくらが日常生活をしていくうえで学ぶべきものがあるように思えます。あれだけの素晴らしい演奏をおこなうあなたがたのことです。みんなと一緒に演奏することが楽しくないはずはありません。しかし、その楽しさに流されることをあなたがたはこばんだ。ポイントはそこでしょう。」
そして、黒田さんは続ける。
「ぼくらは、どうしても、美味しいものは食べすぎる。楽しいことには耽りすぎます。食べすぎれば腹をこわし、耽った後には荒廃が待ち受けています。二日酔いの頭をかかえながら、酔いにまかせての昨日の夜の馬鹿騒ぎを思い出し、忸怩たる思いを抱かないでいられるのは、よほど鈍感な人間でしょう。新鮮さをたもつためには、耽りすぎないことです。(以下略)」

まさに、おっしゃる通り。
でも黒田さんがそこまで称賛するヨーロッパ管弦楽団。
久しぶりにじっくり聴いてみたくなって、このディスクを取り出した。
シューベルトの5番は、以前にも書いたが、私にとって第一楽章冒頭の数小節を聴いただけで幸せになる音楽だ。
アバドと組んだ彼らの演奏は、聴き手を曇り一つない青空を自由に羽ばたく鳥のような気分にさせてくれる。
この瑞々しさ、生き生きとした表現を聴くと、なるほど黒田さんの言うとおりだと納得してしまう。

「新鮮さをたもつためには、耽りすぎないこと」というアドヴァイス、耳に痛いが、今年一年心がけていこうと思う。

シュ-ベルト:
1. 交響曲第5番変ロ長調 D.485
2. 交響曲第6番ハ長調 D.589
<演奏>
■ヨーロッパ室内管弦楽団
■クラウディオ・アバド(指揮)

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