六文錢の部屋へようこそ!

心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

【講座】空疎な文章・空疎なおしゃべり

2014-08-10 11:31:58 | 社会評論
 安倍首相の広島でのスピーチが去年とほぼ一緒でコピペ挨拶だといわれていましたが、長崎でのスピーチもまた昨年のそれとほとんど一緒でした。それのみならず、広島と長崎のものもほぼ同じなのです。
 このひとにとっては、去年も今年も、広島も長崎もひとつの雛形で処理できてしまう軽~いものでしかないのです。被爆者と国民を徹底的に愚弄しているというべきでしょう。

          

 私は商業学校の出身ですから、商業実践の時間というのがあって、そこで商業通信文の雛形を習いました。
 例えば以下の様なものです(当時を思い起こして書いてみました)。

 「謹啓 猛暑の候、貴社ますますご清栄の段、大慶に存じます。
 平素は格別のお引き立てに預かり、厚く御礼申し上げます。
 さて、お問い合わせの弊社商品出荷の件に関しましては、鋭意努力を重ねておりましたところ、誠に申し訳ございませんが、お申し付けの期限内にはお届け致しかねる仕儀に至りました。
 つきましては、弊社内情などご賢察賜り、何卒ご寛怒の上、遅延に伴う延滞金のご請求などご容赦下さいますよう、この段、伏してお願い申し上げます。
 まずは簡略ではありますが、書中をもちまして、ご報告傍々、衷心よりお詫び申し上げる次第です。
 末尾ながら、貴社の一層のご発展をお祈り申し上げます。                       敬具 」

 まずは「ご挨拶」、相手を持ち上げこちらはへりくだる。
 「さて」で始まるところで用件に関する状況報告。
 「つきましては」で、相手に対する要求など。
 「まずは」で、この手紙の結びの言葉。
 「末尾ながら」で、再び持ち上げるご挨拶。

 これはほとんど血肉を欠いた手紙ですが、ビジネスとしては相互に了解の上での世界ですから、かえってこのように形式化されたもののほうがわかりやすいのです。

 ただし、このパターンはラブレターには使えません。
 「さて、私儀、貴殿をお慕いいたしております。
 つきましては、何卒我が胸中をご賢察の上・・・」
 ではなんともいただけません。

 安倍首相に、ラブレターをよこせというわけではありません。しかし、商業通信文的なパターン化された物言いを、少なくとも原爆の記念式典ではして欲しくないと思うのですが、まあ、この人にいっても無駄なようですね。

 ようするに、上記のような挨拶の中には、述べ手としての安倍氏も、そしてどんな人間も住んではいないのです。
 曰く「空疎」!
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする