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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

こんなこともあるという本の話二題

2012-12-13 17:13:52 | よしなしごと
 いちど時間を見てじっくり探索したい古書店の前を通りかかりました。
 今回は時間がなかったので軒下の100円均一のワゴンセールのみ見ました。
 かつてのベストセラーなどがハウ・ツーものと一緒に並んでいます。
 やはり大したものはないなと思ったのですが、念のため文庫本のところを見ました。
 そしたらそこに、ちょうど読んでみなければと思っていた本があったのです。

 ギリシャ悲劇、ソポクレスの『オイディプス王』です。
 そしてなんとその隣には、その続編たる『コロノスのオイディプス』もあるのです。
 早速抜き出してレジへ持って行き、200円を払いました。
 そうしたら、レジのお姉さんは百円玉一枚を押し戻してよこすのです。
 よく50円玉と間違えたりするのでそのせいかと思いよく見ましたが100円玉です。
 お姉さんいわく、「これは2冊で100円です」。
 えっ、えっ、えっ、なんという僥倖。

      

 持ち帰って調べましたが、前者は鉛筆の書き込みはあったものの、後者はほとんど未読状態です。
 しかも、昭和48年当時の初版、第一刷です。
 それぞれ、本の背の下方と奥付の定価のところには黒い星(★)がひとつ付いています。
 当時の価格表示は、この星1つがいくらとなっていました。
 発行年から見ると前者は50円で、後者は50円か70円かは微妙です。
 というのはこの年から、星1つが50円から70円に値上げされたからです。
 4月16日発行ですからたぶん70円だったのでしょう。

 なぜこれらかというと、たぶん前者はもう50年ほど前に読んでいるはずなのですが、その後、精神分析の「エディプス・コンプレックス」の資料的な扱いの言説に慣れてしまっていたので、この悲劇自体をちゃんと読みなおしてみたいと思っていたのです。
 それに加えて、その続編の『コロノスのオイディプス』(たぶん未読)まで手に入るなんて。
 前者は読了しましたが、はたしていろいろ新しい発見がありました。もう一度読み直したら何か書けそうに思います。

        

 さて、もうひとつの本にまつわる話題です。
 昨12日は返却日でしたので、残雪の中、県立図書館に行きました。
 返却する際、予約してあった一冊の本がまだかを確かめましたが「もう少しお待ちください」とのことでした。
 諦めて、その他、今興味がある問題に集中して数冊を借りてきました。
 返却は来年の1月6日です。

 で、今日のことです。電話が鳴ったのでとりました。
 「こちらは県立図書館です」
 と、聞いた途端に思わず笑い出してしまいました。
 案の定、
 「ご予約の本がご用意できました」
 との知らせ、私の笑いは止まりません。
 「実はですねぇ、私、昨日そちらへおじゃましたのですよ」
 というと、そのお姉さん、やたら恐縮して
 「それはどうももうしわけありません」
 「いやいや、あなたのせいではなくこれも時の運ですから」
 と笑いながら話す私につられてそのおねぇさんも、
 「そんなことってあるんですねぇ」
 と笑い含みの声。

 この寒空の中、また出かけねばならないのはちとしんどいが、これも致し方ないでしょう。
 あの、オイディプスの悲劇に比べれば・・・ってそんなに簡単に比較してはいけませんね。


ゲットした本
   ソポクレス『オイディプス王』 藤沢令夫:訳 (岩波文庫)
   同『コロノスのオイディプス』 高津春繁:訳 (岩波文庫) 
 
オイディプスの悲劇は痛切ではあるが、読んでいてどこかエロスを感じてしまう。フロイトもそのへんから「エディプス・コンプレックス」を発想したのではあるまいか。


コメント (6)
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