またぞろ、不眠と途中覚醒で睡眠不足気味。
起きれば起きたで、各紙の世論調査は「自民圧勝」とか。
ご政道向きは不快、不可解が多すぎるので、不眠のなかで考えたこんなパロディでも載せてみるか。
《ドラマ『相棒』の杉下右京(水谷豊)風に》
「ア、もう一つだけお伺いしたいことがありますが、よろしいでしょうか」
「ええ、捜査のお役に立つようでしたらなんなりとどうぞ」
「そういえばあなたは、被害者のAさんを尊敬し、敬愛しているとおっしゃっていましたねぇ」
「その通りです。今日、私がこうしていられるのもみんなAさんのお陰ですから」
「そうですか。それじゃぁ、さしずめ、盆・暮のご挨拶などはちゃんとなさっていたのでしょうね」
「・・・・・・・・・・・・」
「オヤ、お顔の色が優れませんねぇ」
「イヤ、別に・・・・・」
「賢明なあなたは、これから私が言おうとすることがもうお分かりになった。だからお顔の色が変わったのではありませんか」
「何のことをおっしゃっているでしょう」
「それでは、具体的にお尋ねしますが、あなたはこの暮れ、Aさんにお歳暮をお贈りになりましたか」
「そ、それは・・・」
「お送りになってはいませんねぇ。Aさんの奥様はそういえば今年はあなたからはいただいていないとおっしゃっています。あなたはAさんを恩人として敬愛している。そして毎年、盆・暮にはちゃんとご挨拶のものをお贈りになっていらっしゃった。それなのに今年はお贈りにならなかった。いったいなぜなのでしょう」
「イヤ、贈ろうとしたのだが、たまたま忘れただけです」
「ほう、たまたまねぇ。確かに忘れるということもありますねぇ。では、ちょっとご覧いただきたいのですが、ここにあるのはあなたがMデパートからお送りになったお歳暮の送付先リストの控えです。あなたは毎年、Mデパートからお送りになっていますから、デパートの方から予め昨年の送付先リストが送られてきます。それに従ってあなたは転居されたところを訂正したり、あるは新しい送り先を加えてご注文されているのではありませんか」
「・・・・・・・・・・・・」
「オヤ、ますますお顔の色が冴えませんねぇ。ところで、この注文のリストですが、どういうわけかAさんの蘭がわざわざ消してあります。ということはつまり、Aさんへのお歳暮は忘れていたのではなく、今年はしないことにお決めになったのではありませんか。では、いったいなぜそうなさったのでしょうねぇ」
「・・・・・・・・・・・・」
「お答えいただけませんか。それでは私が申し上げましょう。あなたはAさんを敬愛などしていなかった。だからこれ以上お歳暮など送る必要を感じなかった。これがひとつの答えです。
そしてもうひとつ、これが肝心なのですが、あなたはお歳暮が着く頃、もうAさんはこの世にいらっしゃらないことを知っていた。だからそれを贈る必要を認めなかった」
「そ、そんなことあるはずが・・・・・」
「いいえ、あなたはちゃんとそれを知っていたのです。なぜなら、Aさんを殺害したのはあなただからです」
「ち、違うっ」
「そうでしょうかねぇ。いつもと同じように贈っておけばこんなふうに私の目にもとまらなかったのに、それをなさらなかったのは合理主義者のあなたが幾ばくかの金額を節約なさったからでしょうか、あるいは、もうこれ以上Aさんに贈り物などしたくはないという強烈な感情がおありになったからでしょうか、おそらくはその両方でしょうねぇ」
「た、たしかに私がお歳暮を贈らなかったのは事実だ。しかし、それは私がAを殺した証拠にはならない」
「オヤオヤ、さっきまでAさんだったのがもう呼び捨てですか。確かに、このお歳暮についての事実は証拠にはなりません。しかし、あなたが主張されていた、Aさんを尊敬し敬愛していらっしゃった、したがってあなたには動機がないという主張は完全に崩れました。実際には、Aさんとの間に深刻な葛藤を抱えていらっしゃったようですねぇ。
これを前提にさらに調べさせていただいたら、きっと面白い事実がいろいろ出てくるかも知れませんよ」
「・・・・・・・・・・・・」
(この話の結末? そんなもの知りません。・・・・六)
【宣伝です】
これをお読みになっている推理小説や推理ドラマの作家の皆さん、このアイディアをお買いになりませんか。定価は十万円ですが、割引や分割払いにも応じます。また、ただいまポイント10倍セールもいたしておりますのでこの機会にどうぞ。
なお、会員登録されますと、他に密室、アリバイ、どんでん返しのどんでん返しのどんでん返しの、も一つおまけのどんでん返しなど、ご要望に応じて在庫の中から色々なアイディアをお選びいただけます。
なお当店在庫のアイディアやトリックの品質につきましては、ここ30年来の「江怒川乱保賞」受賞の8割の作家の皆様方がご利用いただいたことでもお分かりいただけると思います。
詳しくは、明日の各紙朝刊折込みをご覧下さい。
不眠の友本舗
「犯罪者と探偵は夜眠らない」係
起きれば起きたで、各紙の世論調査は「自民圧勝」とか。
ご政道向きは不快、不可解が多すぎるので、不眠のなかで考えたこんなパロディでも載せてみるか。
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「ア、もう一つだけお伺いしたいことがありますが、よろしいでしょうか」
「ええ、捜査のお役に立つようでしたらなんなりとどうぞ」
「そういえばあなたは、被害者のAさんを尊敬し、敬愛しているとおっしゃっていましたねぇ」
「その通りです。今日、私がこうしていられるのもみんなAさんのお陰ですから」
「そうですか。それじゃぁ、さしずめ、盆・暮のご挨拶などはちゃんとなさっていたのでしょうね」
「・・・・・・・・・・・・」
「オヤ、お顔の色が優れませんねぇ」
「イヤ、別に・・・・・」
「賢明なあなたは、これから私が言おうとすることがもうお分かりになった。だからお顔の色が変わったのではありませんか」
「何のことをおっしゃっているでしょう」
「それでは、具体的にお尋ねしますが、あなたはこの暮れ、Aさんにお歳暮をお贈りになりましたか」
「そ、それは・・・」
「お送りになってはいませんねぇ。Aさんの奥様はそういえば今年はあなたからはいただいていないとおっしゃっています。あなたはAさんを恩人として敬愛している。そして毎年、盆・暮にはちゃんとご挨拶のものをお贈りになっていらっしゃった。それなのに今年はお贈りにならなかった。いったいなぜなのでしょう」
「イヤ、贈ろうとしたのだが、たまたま忘れただけです」
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「・・・・・・・・・・・・」
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そしてもうひとつ、これが肝心なのですが、あなたはお歳暮が着く頃、もうAさんはこの世にいらっしゃらないことを知っていた。だからそれを贈る必要を認めなかった」
「そ、そんなことあるはずが・・・・・」
「いいえ、あなたはちゃんとそれを知っていたのです。なぜなら、Aさんを殺害したのはあなただからです」
「ち、違うっ」
「そうでしょうかねぇ。いつもと同じように贈っておけばこんなふうに私の目にもとまらなかったのに、それをなさらなかったのは合理主義者のあなたが幾ばくかの金額を節約なさったからでしょうか、あるいは、もうこれ以上Aさんに贈り物などしたくはないという強烈な感情がおありになったからでしょうか、おそらくはその両方でしょうねぇ」
「た、たしかに私がお歳暮を贈らなかったのは事実だ。しかし、それは私がAを殺した証拠にはならない」
「オヤオヤ、さっきまでAさんだったのがもう呼び捨てですか。確かに、このお歳暮についての事実は証拠にはなりません。しかし、あなたが主張されていた、Aさんを尊敬し敬愛していらっしゃった、したがってあなたには動機がないという主張は完全に崩れました。実際には、Aさんとの間に深刻な葛藤を抱えていらっしゃったようですねぇ。
これを前提にさらに調べさせていただいたら、きっと面白い事実がいろいろ出てくるかも知れませんよ」
「・・・・・・・・・・・・」
(この話の結末? そんなもの知りません。・・・・六)
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