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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

40番と薬の条件反射 三大交響曲を聴く

2010-11-28 01:49:05 | 音楽を聴く
 同人誌などの配布も終わり一段落したところでコンサートに・・・。
 会場は岐阜サラマンカホール。
 チョン・ミョンフン率いる東京フィルハーモニー交響楽団のモーツアルト三大交響曲(39番K543・40番K550・41番ジュピターK551)の一挙演奏会。

     

 ほぼ正面のバルコニー席。オケの場合はここが好きだ。
 ここからだと指揮者とオーケストラとの動きの関連がよく分かる。
 それに何よりも一階席では見えない奥の方の金管や木管、打楽器などの構成がよく分かる。

     

 それで気づいたのだが、モーツアルトの頃の楽器編成のスリムさである。
 金管はホルン2本とトランペット2本のみ、木管はやはり全部合わせて数本、打楽器はティンパニーのみという構成だ。
 40番にいたっては金管はホルン2本のみで打楽器はなしだ。
 こうしてみるとこの曲の音色の優しさが視覚的にも分かる。

         

 最初、39番の第一楽章の出足、ホルン2本とトランペット2本の金管勢が弦部門にまさるようでやや聴き苦しい感じがしたが、やがてチョン・ミョンフンのきびきびした指揮がすべてをとりまとめるようにして落ち着く。

 40番はいささか食傷気味である・・・などというと随分生意気に聞こえるが、これには深~い(それほどでもないか)わけがある。ライブで聴くのはこれで3、4回目なのだが、決してそのせいではない。
 
 実は、私が月に2、3回は通うクリニックのBGMがいついってもこれなのである。だからこれを聴くと、「え~っと、今日貰って帰る薬は、例の睡眠導入剤と、それに整腸剤、ヘルペス用の外用薬といったところか」と条件反射的に考えてしまうのだ。

 あるとき、いつもより少し遅れていったら、その折りは41番ジュピターだった。
 思うにこのクリニック、40番と41番をエンドレスで流しているのだろう。
 そういえば、カセットの時代からこの2曲はほとんどセットにされていた。
 他には、ピアノ協奏曲の20番(K466)21番(K467)もセットになったものが多かった。

 食傷気味といってもそこはやはりライブ、条件反射的に薬の名前を思い出すことなく心地よく聴くことが出来た。

    

 41番は第二楽章が好きだ。
 やや激しい第一楽章の後、ホッとする雰囲気の中で、誰かが優しく問いかけているように聞こえるのだ。そしてそこには、その不特定な問いかけのようなものに応答しようとする自分がいる。

 私が何かで逮捕され尋問される折、もしBGMでこれをかけられたら、洗いざらい、あることないこと何でもしゃべってしまうだろう。
 終章をドンと盛り上げて切れのいい指揮棒は動きを止めた。

     

 会場を出るとこの時期にしてはさほど寒くない夜気が火照った体を優しく包んでくれるのだった。
 考えて見れば、もう一週間もすれば12月5日、モーツアルトの命日であることに気づいた。
 今夜は、美味しい赤ワインを飲もうと思った。

写真はサラマンカホール周辺。内部は撮影禁止。
 

 
 

コメント (3)
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