畏友、佐治墨拙さんの個展に行ってきた。
題して 墨拙「&Chaos」展。
カオス、つまりコスモス(秩序)の反対、ふつうは混沌といわれたりする。
墨拙さんを紹介するにあたって、昨年までだったらさしずめ書道家といったであろう。
しかし、写真で見るように、今年の墨拙さんの作品は書というより造形といった方がいい。
かといって書という表現と手を切ったわけではない。
もともと書を「字を書くこと」に限定してこなかった墨拙さんの中では、紙に墨で書かれる作品と、こうした造形作品との間に断絶はない。
ただし、書道家としての根っこの様なものは確実に残してはいる。
まずは紙へのこだわりである。
この一見、絵画や造形に見えるものたちの正体はすべて紙なのである。
それは出来上がった紙であったり、半製品の紙をかたどったものだったりするが、紙以外のものでは決してない。
続いてその彩色である。
一見、絵の具を用いたかのようだが、実はこれらの色彩、すべてその色をした墨を摺って描かれている。
さらには、それぞれの作品にやはり文字がある。
Chaosという文字が筆で書かれたり、あるいは染色技術の応用で染められている。
そして、昨年の個展のテーマであった「ふ」の字が、いたずら描きのように隠されていたりする。
注目すべきはこれらの重量である。
みんな軽いのだ。
風が吹けば四散するくらい軽いのだ。
ところでどこがカオスかというと、そこに墨拙さん独自の解釈がある。
ビッグバーンの原初以来、カオスはコスモスの裏面に張り付きながら存在し続けたし、むしろそれこそが支配原理かも知れないというのだ。
カオスといってもぐちゃぐちゃな恐ろしげなものではない。
カオスは何ものかとして規定されていない自由な存在だから、重量にも支配されず軽いのだ。
かくして、軽やかで楽しげな可愛いカオスが並ぶこととなる。
暗いルサンチマンや、秩序との対概念ですらもない、それ自身自由なカオスである。
そしてそれは、墨拙さんが現にそこに住まい、そうあり続けたいというカオスなのである。
私が訪れたとき、BGMはボサノバであった。
カオスが軽やかに舞っていた。
■ 墨拙「&Chaos」展
*6月17日(木)まで
11:00~18:00(ただし最終日は17:00まで)
*ギャラリー安里 TEL 052 (762) 5800
名古屋市千種区末盛通1-18 覚王ハイツ1F
地下鉄東山線 覚王山下車 2番出口を左へすぐ
本人は常時会場に詰めている模様。
話しかけてやると喜ぶと思います。
題して 墨拙「&Chaos」展。
カオス、つまりコスモス(秩序)の反対、ふつうは混沌といわれたりする。
墨拙さんを紹介するにあたって、昨年までだったらさしずめ書道家といったであろう。
しかし、写真で見るように、今年の墨拙さんの作品は書というより造形といった方がいい。
かといって書という表現と手を切ったわけではない。
もともと書を「字を書くこと」に限定してこなかった墨拙さんの中では、紙に墨で書かれる作品と、こうした造形作品との間に断絶はない。
ただし、書道家としての根っこの様なものは確実に残してはいる。
まずは紙へのこだわりである。
この一見、絵画や造形に見えるものたちの正体はすべて紙なのである。
それは出来上がった紙であったり、半製品の紙をかたどったものだったりするが、紙以外のものでは決してない。
続いてその彩色である。
一見、絵の具を用いたかのようだが、実はこれらの色彩、すべてその色をした墨を摺って描かれている。
さらには、それぞれの作品にやはり文字がある。
Chaosという文字が筆で書かれたり、あるいは染色技術の応用で染められている。
そして、昨年の個展のテーマであった「ふ」の字が、いたずら描きのように隠されていたりする。
注目すべきはこれらの重量である。
みんな軽いのだ。
風が吹けば四散するくらい軽いのだ。
ところでどこがカオスかというと、そこに墨拙さん独自の解釈がある。
ビッグバーンの原初以来、カオスはコスモスの裏面に張り付きながら存在し続けたし、むしろそれこそが支配原理かも知れないというのだ。
カオスといってもぐちゃぐちゃな恐ろしげなものではない。
カオスは何ものかとして規定されていない自由な存在だから、重量にも支配されず軽いのだ。
かくして、軽やかで楽しげな可愛いカオスが並ぶこととなる。
暗いルサンチマンや、秩序との対概念ですらもない、それ自身自由なカオスである。
そしてそれは、墨拙さんが現にそこに住まい、そうあり続けたいというカオスなのである。
私が訪れたとき、BGMはボサノバであった。
カオスが軽やかに舞っていた。
■ 墨拙「&Chaos」展
*6月17日(木)まで
11:00~18:00(ただし最終日は17:00まで)
*ギャラリー安里 TEL 052 (762) 5800
名古屋市千種区末盛通1-18 覚王ハイツ1F
地下鉄東山線 覚王山下車 2番出口を左へすぐ
本人は常時会場に詰めている模様。
話しかけてやると喜ぶと思います。