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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

私たちに汚染米を食わせる構造的犯罪

2008-09-19 15:05:57 | 社会評論
 当初、三笠フーズの汚染米横流し事件として始まったこの一連の問題、事務次官の更迭、農水相の辞任(実質は更迭)にまで発展しましたが、その背景には、こんなことでは収まらない構造的犯罪とも言える問題があります。
 三笠フーズなどは、それに便乗したずるがしこい狐にしか過ぎません。
 農水省を主体とした構造的犯罪の実態を列挙してみます。

1)農政失敗のツケ
 日本にはお米がどっさり余っています。なのになぜ汚染米を含んだ輸入米が入ってきたのでしょう。
 それは農水省が長年の農業政策の失敗の中で、なおかつ自民党を主体とする与党への農家の支持を取り付けるため、他国からの米の輸入に778%という法外な関税を課したため、国際的な批判を招き、結局、毎年、国外からおよそ77万トンの米の輸入を義務づけられたことにあります。
 いわゆる、ウルグアイ・ランド合意といわれるものです。
 ここに、日本の農政が「ノー政」であったという事実、そしてその解決を先延ばしし、小手先のやり繰りで誤魔化してきたという歴史的怠慢と犯罪構成の大前提があります

2)食の安全の放置
 こうして米が輸入されることになったのですが、農水省には当然、それらの米が安全なものであることを監視する義務があります。にもかかわらず、その監視を怠ってきた結果として大量の汚染米が入ってきました。
 しかもです、今回発表されたのは抜き打ち検査でかろうじて発見されたもののみで、そのずさんな検査をくぐり抜けて既に食用として消費されたものはさらに多いと思われます。
 ここに、第二の怠慢と犯罪があります。

 

3)故意に輸入した?
 しかもその上、どうもそれが汚染されていることを知りながら輸入した疑いすらあるのです。
 それは先に見た農家からの票集めと関連するのですが、むしろ、出来るだけ食糧として市場に出回らないような米を輸入した方が米の価格、ひいては農家への影響が少ないからです。
 ですから、そうした汚染米はむしろフリーパスで大量に入ってくることとなりました。

4)糊は米から作られてはいない!
 こうして、汚染米は糊などの工業用に回せばいいという安易な構造ができあがります。
 そしてここにも問題があるのです。なるほど、汚染米は糊に回せばいいのだと思いこまされてしまうのですが、実は糊は「米偏」がつくにもかかわらず、その原材料は圧倒的に小麦のデンプンを使ったものが多く、米を使った特殊な糊は1%未満ともいわれています。
 ここに既にして、汚染米が「工業用」としてではなく使われる素地があります。
 農水省はもちろん、それらの事実を知りながら、三笠フーズ以下が買い取った汚染米のその後の行方への監視を怠っていました。

5)接待と献金による目こぼし
 しかもそれは単なる怠慢ではないのです。
 そうした流通を監視する部署の責任者が三笠フーズの接待を受けていたり、三笠フーズの別会社(社長は同一人物)の辰之巳米穀から自民党への100万円以上の政治献金がなされていたことから、その監視の目が故意に緩んでいたことは容易に想像されます。
 事実、それが実施された数年前から、今回のような不正販売が行われるようになったのです。
 また、当初、太田農水相が「たいしたことはない」と強調していたのも、自己の責任を暴かれることを恐れたと同時に、それら不正業者をかばう意図があったとも思われます。

 

6)責任転嫁で告発者顔
 農水省は、今頃になって汚染米が流通していた経路を公表しました。それが100%であるかどうかはともかく、その公表の対象になったところには、明らかにそれが汚染米であることを知らずに買ったところも含まれています。
 情報の公開という面ではやむを得ない点もありますが、それらの企業にとっては死活問題です。
 問題は、今回の事態は上に見たようにどう見ても農水省自体が絡んで作ってきた犯罪であるにもかかわらず、その点はしれーっと頬被りをし、自らを告発者であるかのように言い立てていることです。
 これでは汚染米をそれと知らず食わされてしまった私たち、それと知らず(知っていたところはもちろん除く)に原材料として使ってしまった企業はたまりません。

7)結論
 農水省は今回の事態の解決と今後の防止策を明確にすべきですが、その前提として、その発端は農水省の無能と犯罪を誘導する政策にあったことと、また、それを隠蔽し続けてきた自らの癒着体質とを徹底して明らかにし、まずその全面的な責任を認めるべきだと思います。
 それは、事務次官の更迭や、農水相の辞任でピリオドが打たれるような問題ではありません。
 と同時に、「ノー政」といわれた小手先のみの集票政策ではなく、日本の農業の抜本的な見直し策を講じる時期だと思います。
 食糧危機が叫ばれ、自給率が問題になる一方、休耕田があくびをしている事態をいつまで続けるつもりなのでしょう。

 
 歴代の農水相の任命にも問題があります。
 ここ三代続けて、嘘つきや阿呆が農水相に就任しています。上に書いたような重要な問題が山積しているにもかかわらずです。
 与党は、農業などの第一次生産業を徹底して舐めているのではないでしょうか。
 わずかな助成金などをばらまけば、百姓などはチョロいものだという意識があります。そういえば、「ばらまき王子」が次期総理の座を狙っているのも気になります。
 その辺から改めてかからねば、今回のような事態は避けられないように思います。






コメント
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