六文錢の部屋へようこそ!

心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

【ふゆのゆふぐれ あるモノローグ】

2007-12-19 17:14:15 | よしなしごと
 


 冬の夕暮れはしんしんと哀しく淋しい
 漆黒の闇のなかへすとんと落ちて行く

 春の夜のほんのり匂い立つ花や
 夏の夜の蛍の緩やかな曳光も
 秋の夜の誇らしげな月光も
 なんにもない闇の中へと

 闇の中に気配を探る
 闇もまた私を伺っている
 不眠という檻に囚われて
 のっぺらぼうな不安がまといつく

 

 私と闇とそして「在る」ということ
 その境界が曖昧になって黒く流れる
 不眠の夜はけっして明けない夜だ
 眠りという再生から見放された夜

 闇の覆いを退け時間を逆行させ
 冬の夕暮れに戻らねばならない
 かつて光のもとにあったという
 かすかな痕跡を見い出すために

 

 かくて深い闇のまっただ中で
 かろうじて私は宙吊りになる

 冬の夕暮れはしんしんと哀しく淋しい
 しかし、まだ闇に屈したわけではない

 



コメント (2)
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