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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

赤提灯と六の時事川柳

2007-10-07 22:57:40 | 川柳日記
 赤提灯はとりわけ秋に似つかわしいと思うのは私だけだろうか。
 何となく、いっそう懐かしげに人を招くのだ。

 写真のものは浅草の観音様のそれほどではないにしても、とても大きく、路面に届くほどである。
 この店、実は一度取材を試みて断られた店なのである。

    

 その理由というのが、「うちは常連さんで持っている店なので、一時的に人に来られても、常連さんが入れなくなってかえって困るのだ」ということだった。

 この「一時的に来られても」というのが真実をついている。
 私自身、このての取材をすでにかなり手がけているが、そしてまた、世の中には飲食関係の情報誌がごまんとあるが、それらを見てやってくる客はまた、新しい情報によって渡り歩くことが多いのである。

 むろんそうでなくそこが気に入って固定客となる人もいるが、その割合は知れている。
 だから、さして大きくなくて、しかも常連によって安定しているこの店のような場合は、情報誌に載ることに意味が見いだせないのだ。
 
 その後、その店を客として訪れたことがある。
 カウンターを占める客はその全部が常連と見え、客どうし、あるいは店主と和気あいあいに談笑している。
 それでいて決して閉鎖的ではない。片隅で黙って呑んでいる私に、少し離れた席から「お兄さんどこからや」と気さくに声がかかったりし、私もいつの間にかその談笑のうちにあった

 近くに座っていた人は、偶然にも、若くしてこの世を去った私の同級生の知り合いで、彼と一緒にここへもよく来たとのことだった。
 店主はもちろん、私のことを覚えていて、「その節はどうも」と声をかけてくれた。

 店を出て、赤提灯を振り返りながら、「断られて正解だった」としみじみ思ったものである。

 


<今週の川柳もどき> 07.10.7

 これからは談合だよと永田町
 密室やお座敷でなく議事堂で
  (与野党話し合いの声しきり)

 選対になって分祀を口にする
  (遺族会長古賀氏自民選対長に
    なりA級戦犯分祀を語る

 余録だと九百億をかすめ取る
  (生保の不払い)

 百人に一人は食ってゆけぬ国
  (生活保護過去最多に)

 四十九手目にくり出す尻尾切り
 血塗られた土俵はそれで済まされぬ
  (力士虐殺)

 頭越し米朝間のハーモニー
  (ニューヨークフィル平壌公演へ)

 秋涼に少し頂く白いもの
  (富士山うっすら初冠雪


      印は、今週の自選句



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