雫井作品は2作目(「犯人に告ぐ」に継いで)
最近文庫本を読んだあと、最後にある「あとがき」やら「解説」もしっかり、すみずみまで読むようにしている(昔は、全然読んだことがなかったが、これ、けっこう面白いと最近気づいた)
この作品の解説(福井さんと言う作家が書いているのだが)を読むと、これが発表された後、絶賛と同時に「それはないだろう」と言う批判もあったらしい。いわゆる賛否両論の作品ということか…。
確かにこのトリックを使ってしまえば、どんな犯罪も成立してしまう。本格的ミステリーを楽しみにしている読者にとっては、とんだ肩透かし、ってことになる。
が、このトリック、実はよく使われる。
ハリウッドの映画とか。アニメにも。ルパンとか名探偵コナンにも出てきそう。
ただ、それらのすべてが華やかな作品や娯楽作品が背景になっている、と言える。
ところがこの「虚貌」、これが地道。全然娯楽じゃない。
登場人物、全てが全て、暗い。
事件を捜査する退職間もない老刑事。彼はガンを患っていて、余命いくばくもない。その燃え尽きそうな体にむち打って、捜査を続ける。それが辛そう。
彼と一緒に捜査する刑事たち、これらも暗かったり、極端に生意気だったりして魅力ない。
うつ病を患っている刑事すらいる(カウンセラーに通っている。これがミソであるのだが)
老刑事の娘、彼女はタレントなのだが、彼女を取り巻く世界、これも暗い。
暗くて重くて、最後もすっきりと言うオチじゃない(登場人物のほとんどが、死ぬし)
だが、最後までぐんぐん読ませる文章力がある。
一つの文学作品として読んだので、私はそのトリック、「それはないだろう」と(少々思ったけどそんなに気にならなかった。
推理小説というより、雫井作品として読むといいのかも知れない。
最近文庫本を読んだあと、最後にある「あとがき」やら「解説」もしっかり、すみずみまで読むようにしている(昔は、全然読んだことがなかったが、これ、けっこう面白いと最近気づいた)
この作品の解説(福井さんと言う作家が書いているのだが)を読むと、これが発表された後、絶賛と同時に「それはないだろう」と言う批判もあったらしい。いわゆる賛否両論の作品ということか…。
確かにこのトリックを使ってしまえば、どんな犯罪も成立してしまう。本格的ミステリーを楽しみにしている読者にとっては、とんだ肩透かし、ってことになる。
が、このトリック、実はよく使われる。
ハリウッドの映画とか。アニメにも。ルパンとか名探偵コナンにも出てきそう。
ただ、それらのすべてが華やかな作品や娯楽作品が背景になっている、と言える。
ところがこの「虚貌」、これが地道。全然娯楽じゃない。
登場人物、全てが全て、暗い。
事件を捜査する退職間もない老刑事。彼はガンを患っていて、余命いくばくもない。その燃え尽きそうな体にむち打って、捜査を続ける。それが辛そう。
彼と一緒に捜査する刑事たち、これらも暗かったり、極端に生意気だったりして魅力ない。
うつ病を患っている刑事すらいる(カウンセラーに通っている。これがミソであるのだが)
老刑事の娘、彼女はタレントなのだが、彼女を取り巻く世界、これも暗い。
暗くて重くて、最後もすっきりと言うオチじゃない(登場人物のほとんどが、死ぬし)
だが、最後までぐんぐん読ませる文章力がある。
一つの文学作品として読んだので、私はそのトリック、「それはないだろう」と(少々思ったけどそんなに気にならなかった。
推理小説というより、雫井作品として読むといいのかも知れない。