今朝(16日)のニュースによると経営再建中だったベスト電器に対し、ビックカメラが出資比率を上げ経営陣にも人を送り込んで、実質傘下におさめるようです。
ビックカメラは月河のテリトリーには1店舗しかありませんが、福岡発で距離のあるベストのほうがなぜか5~6店舗あります。但しビックのほうは公共交通機関乗り継ぎで駅直結なのに対し、ベストはマイカー族じゃないとほぼアクセス不能か、駅近隣でもかなり距離があり、当然ビックのほうが足しげく通うことになります。傘下店舗数が増えて価格↓につながってくれれば、いち消費者としては何も悪いことはないのですがね。
家電量販業界に関しては、当地では10数年前から激震が続いています。もともと月河の徒歩圏内には、地元大手のT電機とそれに次ぐNムセンの支店があり、蛍光管・白熱球その他消耗品サプライにどちらを利用してもいい状況だったのですが、90年代初期、T電機支店のほうが“OA・パソコン関連専門館”になり、当時は当然パソコンなんて会社にすら1~2台しかない時代ですから、日常の家電関連の買い物はNムセン専門になりました。
より当地の都心寄りに本社のあるT電機としては、一応地元企業のOA化において主導権を握りたかったのでしょう。月河も自宅の昔ながらの白物家電の買い替えなどは配送に便利なNムセン、ワープロやAV機器などボーナス期を利用した張り込んだ買い物はT電機と使い分けていました。
それから2年ほど後、かねてから業績低迷が伝えられていたNムセンは仙台本社のRデンキに全面買収。Nの本支店は一気にRデンキの看板になりディスプレイも、店員さんの法被のデザインも一新しました。
この年は異常な猛暑で、自宅の空調・除湿はとかく軽視なご家庭が多い北国、たまりかねてエアコンを購入する世帯が急増。これが上げ潮となって、RデンキになったNムセンはだいぶ持ち直したと聞きます。
そうこうするうちに某都銀・大手証券会社が続々破綻する金融界大激震のあおりで、今度はT電機が根こそぎ破産。各店舗は買収されて看板だけ替わるということもなく、先立つ数年前に“OA専門館”になった、月河最寄りの支店も含めて残らず跡形もなく空き店舗になりました。
それよりずっと前に、大手家電メーカーの所謂チェーンショップ、お父さん息子さんの家族経営で近隣にTVのアンテナ配線したり、電話一本で修理に駆けつけたりしてくれる商店街の“デンキヤさん”は一つまた一つと姿を消していました。
要するに現在の大手主導の業界再編の、ミクロサイズのサンプルケースが、10~15年前にまさに当地で進行していたのです。
ちょうど全国で自治体の財政逼迫例が急増する中、夕張市が先頭を切って財政再建団体に転落したようなもの。“競争が最も熾烈な業界”で、“最も高齢化著しく消費パイ縮小が進む地域”において真っ先に顕在化する。弱い所から順に崩落していくわけです。
その後少しの間当地を離れていたら、4年ほど前になるのか、NムセンからRデンキに看板チェンジした店が、Rごと今度は北関東を地盤とする総合小売グループ“P”傘下になって、またまた看板・商標・ディスプレイカラーが一新していました。
NムセンからRデンキに替わって間もなく顔が見えなくなっていた副店長さんが、いつの間にか“チーフセールスマネージャー”、つまり店長になってまた帰って来てくれました。今度は法被じゃなく、ちょっと明和電機っぽいペールカラーのスマートなユニフォームです。ウチの冷蔵庫、冷凍庫などアドバイスしてくれていた人なのでこれはありがたい。
近所のお店やタクシー運転手さんなどはいまだにRでもPでもなく“Nムセン”と呼び、お互いに意味が通じています。
弱肉強食。商品力・販売力にすぐれた所が生き残り、劣る所を吸収しリストラしていくのは市場経済のつねですが、できれば経営者の都合より“お客さんの方を向いた”刷新であってほしいと思います。