イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

ビックビク

2008-10-17 00:17:55 | ニュース

今朝(16日)のニュースによると経営再建中だったベスト電器に対し、ビックカメラが出資比率を上げ経営陣にも人を送り込んで、実質傘下におさめるようです。

ビックカメラは月河のテリトリーには1店舗しかありませんが、福岡発で距離のあるベストのほうがなぜか56店舗あります。但しビックのほうは公共交通機関乗り継ぎで駅直結なのに対し、ベストはマイカー族じゃないとほぼアクセス不能か、駅近隣でもかなり距離があり、当然ビックのほうが足しげく通うことになります。傘下店舗数が増えて価格↓につながってくれれば、いち消費者としては何も悪いことはないのですがね。

家電量販業界に関しては、当地では10数年前から激震が続いています。もともと月河の徒歩圏内には、地元大手のT電機とそれに次ぐNムセンの支店があり、蛍光管・白熱球その他消耗品サプライにどちらを利用してもいい状況だったのですが、90年代初期、T電機支店のほうが“OA・パソコン関連専門館”になり、当時は当然パソコンなんて会社にすら1~2台しかない時代ですから、日常の家電関連の買い物はNムセン専門になりました。

より当地の都心寄りに本社のあるT電機としては、一応地元企業のOA化において主導権を握りたかったのでしょう。月河も自宅の昔ながらの白物家電の買い替えなどは配送に便利なNムセン、ワープロやAV機器などボーナス期を利用した張り込んだ買い物はT電機と使い分けていました。

それから2年ほど後、かねてから業績低迷が伝えられていたNムセンは仙台本社のRデンキに全面買収。Nの本支店は一気にRデンキの看板になりディスプレイも、店員さんの法被のデザインも一新しました。

この年は異常な猛暑で、自宅の空調・除湿はとかく軽視なご家庭が多い北国、たまりかねてエアコンを購入する世帯が急増。これが上げ潮となって、RデンキになったNムセンはだいぶ持ち直したと聞きます。

そうこうするうちに某都銀・大手証券会社が続々破綻する金融界大激震のあおりで、今度はT電機が根こそぎ破産。各店舗は買収されて看板だけ替わるということもなく、先立つ数年前に“OA専門館”になった、月河最寄りの支店も含めて残らず跡形もなく空き店舗になりました。

それよりずっと前に、大手家電メーカーの所謂チェーンショップ、お父さん息子さんの家族経営で近隣にTVのアンテナ配線したり、電話一本で修理に駆けつけたりしてくれる商店街の“デンキヤさん”は一つまた一つと姿を消していました。

要するに現在の大手主導の業界再編の、ミクロサイズのサンプルケースが、1015年前にまさに当地で進行していたのです。

ちょうど全国で自治体の財政逼迫例が急増する中、夕張市が先頭を切って財政再建団体に転落したようなもの。“競争が最も熾烈な業界”で、“最も高齢化著しく消費パイ縮小が進む地域”において真っ先に顕在化する。弱い所から順に崩落していくわけです。

その後少しの間当地を離れていたら、4年ほど前になるのか、NムセンからRデンキに看板チェンジした店が、Rごと今度は北関東を地盤とする総合小売グループ“P”傘下になって、またまた看板・商標・ディスプレイカラーが一新していました。

NムセンからRデンキに替わって間もなく顔が見えなくなっていた副店長さんが、いつの間にか“チーフセールスマネージャー”、つまり店長になってまた帰って来てくれました。今度は法被じゃなく、ちょっと明和電機っぽいペールカラーのスマートなユニフォームです。ウチの冷蔵庫、冷凍庫などアドバイスしてくれていた人なのでこれはありがたい。

近所のお店やタクシー運転手さんなどはいまだにRでもPでもなく“Nムセン”と呼び、お互いに意味が通じています。

弱肉強食。商品力・販売力にすぐれた所が生き残り、劣る所を吸収しリストラしていくのは市場経済のつねですが、できれば経営者の都合より“お客さんの方を向いた”刷新であってほしい思います。

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苛々苛々

2008-10-15 21:20:31 | 昼ドラマ

10月期の東海昼ドラマ『愛讐のロメラ』929日にスタートして今週、3週めに入りました。12週はヒロイン・七瀬珠希が15歳時点の物語、言わば女装。じゃなかった助走(…どうもAniコレを引きずってるな)。今週から13年後、28歳の女医となった珠希の物語本編です。

12週は、年若くして両親を、しかも母親は末期癌と不倫愛を苦にしての自殺という形で亡くし、高校も中退を余儀なくされ、働きながら面倒を見ていた幼い弟は白血病に倒れるという珠希の苦境と奮闘、そんな彼女に注ぐ、偶然出会った病院長子息・恭介の純愛だけではなく、彼らの親世代同士の複雑かつ微妙な愛憎の神経戦をしっかり描いていて、逆に少女ヒロインの可哀想さや身分差純愛の影が若干薄いような気さえしていたのですが、同枠前クール作『白と黒』に一部“話が単線で希薄”といううらみがあったこともあり、“誰が誰に対してどんな感情を抱いているか”を1ベクトル毎に、稠密に描写することは物語に深みや緊張感を増してくれるだろうと期待していました。

特に加賀見院長(名高達男さん)と妾腹の弟・謙治(うじきつよしさん)との間の、コンプレックス・野心・同属嫌悪の混じった敵対、かつては謙治と恋人同士だっただけでなく、外に千尋(=珠希の継母。立原麻衣さん)という愛人を持ち亮太(=珠希が実の弟のように可愛がっている)という子まで作っていた夫に対する妻・映子(いしのようこさん)の空しさと寂寥感を含む孤閨の恨み、謙治の内妻・恵(北原佐和子さん)の、自分と息子・悟をいつまでたっても籍に入れようとしない不誠実な謙治への、暗い子宮的粘着など、久々に“本格的情念ドラマ”の予感十分でした。

ところが大人篇に入ってから、序盤に敷設提示された各情念ベクトルとの不整合が至る所に目立つように。

背信の夫を恨んでいたはずの映子は、その英夫が、自殺した愛人との間にもうけた亮太を養子に迎え入れ、自分の産んだ恭介と同じ兄弟として分け隔てなく育てている。

しかも英夫亡き後、元彼たる謙治と再婚したのはまあいいとして、謙治が恵に産ませた悟をも自分の息子として同居させていて、特にわだかまりもなさそう。恵は念願の入籍も立ち消え「身体に傷ひとつつけずに大切に育ててきた」愛息・悟だけ加賀見家に取り上げられてどんなに謙治と映子を恨んでいるかと思いきや、今日放送の12話ではまだ画面に登場して来ません。

今週からの13年後の物語における人間関係の変化の、最大の引き金になったのは珠希による英夫突き落とし→転落死、珠希の逮捕・初等少年院入所という事件なのですが、愛人に子を産ませるような夫とは言え愛した伴侶の命を奪われた映子が珠希を憎むのは当然としても、父・英夫が捨てた千尋の子(正確には継娘)である珠希を純粋に愛し、「弟の亮太くんを治してあげて」「高校にも行ける様にしてあげて」と父に懇願していた王子さま=恭介が、突き落とし疑惑であっさり「珠希憎し」に凝り固まっているのはどうにも違和感がある。愛しさ余って憎さ百倍ということなのか。

12週での恭介を見ていた限りでは、自分に高圧的で権威主義な父親への思いよりは、珠希への若者らしい清らかな恋心のほうがまさっていたように思うのですがね。

しかも珠希の母を、自分の父が愛人として冷たく遇し結果的に自殺に追いやった経緯は恭介は目撃もし熟知しているし、そのことで珠希に詫び「ボクはキミのお母さんを死なせた男の息子だ、キミがボクを恨むと言うなら、そばにいてとことん恨み尽くされるのも愛だ」みたいなことを言ってキスしてもいる。転落死で一転、お父さんスキーな息子に。青い愛とは言え本気だった珠希に情状酌量微塵もなし。

さらには謙治の診療所で英夫の援助のもと白血病の治療中いきなり「珠希お姉ちゃんが人殺し」と知らされた亮太までが、病癒えた13年後恭介に「オマエの姉さんはボクらのお父さんを殺した憎むべき相手だ」と洗脳され切っているという不可思議な呆気なさ。謙治の診療所で治療を受けている間、葡萄園で働いて貯めていたお金で、好物のスイカを買って食べさせてくれた姉、「姉さんは人殺しなんかじゃない」と涙ながらに訴えていた姉なのに、たかが養子に引き取られてからの洗脳でそんなに簡単に憎くなるかな。まして(恭介と同じ)実の父と言っても、英夫とは病床で1度面識があるだけ。

亮太のあっさり洗脳され具合もヘンだし、洗脳したのが映子ならともかく、恭介だというのが二重にヘン。

要するに、英夫転落事件以降、珠希を憎んじゃおかしい人が全員珠希を憎み、英夫をあまり慕っていた様子のない人が全員、英夫サマサマになっているという理不尽が物語上、まかり通っているわけです。

しかも13年後版恭介を演じる相葉健次さんは、12週の経緯を読み込まされてないのかな?13年後版珠希(いとうあいこさん)に向ける台詞が直球混じりっ気なしに“親のカタキへの暗く強い怨念”を表す口調なんですよね。“少年の日に恋した相手だからこそ”の、愛憎半ばを秘めたニュアンスがまるでなく、身の毛もよだつ冷血復讐王みたい。両極の感情に揺れる屈折を演技で表現するスキルが、モデル出身相葉さんに未だしなのかもしれないけれど。

わかりにくいけれど、わからなくもないのは、13年前珠希・亮太姉弟の面倒をみていた謙治が、医師として社会復帰を目指しながら前科のある身でかなわずにいた珠希を、いまや自分のものとなった加賀見病院に就職させる魂胆。

実は珠希による英夫突き落とし現場は映像上、かなりぼかされた表現になっており、珠希は自分が逃げ去ったあと起きた騒ぎから、自分が突き落として死なせたと信じ切っていますが、珠希が英夫に対峙する前に屋上で英夫と会話していた謙治が実行犯の可能性もある。ならば謙治の事件後の珠希への対処は、“真相を怪しみ出しはしないかの様子見”兼“少年院入りで傷がついた人生を回復させてやる罪滅ぼし”かもしれない。

とりあえず、珠希と恭介の“親同士の因縁に邪魔される純愛”という昼ドラ王道よりは、ハラの読めない謙治の動きのほうにより興味が湧く図式になってしまいました。おもしろがっていいのか、残念なのか。

そもそも、珠希が「加賀見院長のおかげで大切なお母さんが自殺してしまった、院長憎し、その息子も…」「男と女の愛なんて信じない、そんなもの信じるから皆不幸になる」という思考回路に至る原因になった母・千尋が“父の子連れ再婚相手で、血は繋がっていない継母”という設定からして疑問符なのです。もちろん、“実母同様に愛してくれて心もかよい合っていて、死なれたら実母のように悲しい”継母がいておかしくはないけれど、どうしても“ヒロインと年が近く血縁はなくて、成長後男女の感情が芽生えてもおかしくない”弟(=亮太)を設定上作るために、子連れ継母にしたとしか思えない。

とにかく一にも二にも“情念”あってこその、この昼枠です。いままで“愛”であれ“憎”であれ、“怨”であれ“妬”であれ、「こういう情念を、この人物に対して持っている人が、こうした状況でこの言動とるのはおかしいんじゃないか」という呑み込み辛さから視聴体温が低下していったケースは少なくありませんが、今作は「この人物があの人物に対して、どうしてこういう情念を持つんだろう」というところからいきなり納得性がない。

非常に今後が心配な序盤になってしまいました。

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ニット帽は関係ない

2008-10-14 22:58:42 | お笑い

季節がめっきり秋らしくなり、やるんだろうなと思っていたら、ビンゴ!昨日(13日)やっぱりやってました。『お試しかっ!』(テレビ朝日系2315~)“AniコレAutumn”。

冒頭、ゲストの佐藤江梨子さんがいきなり“女装”っぽかったですね。いや相変わらず抜群のプロポーションなんだけど、日本人離れ、日常離れし過ぎてるもんで。髪とかアイメイクとかサイボーグっぽいというかね。正直、月河がまだ“圏内”の年代だったとしても、体型、スタイル以外あんまり真似したくない、似てるって言われても嬉しくないたぐいの容姿なんだな。自分に引きつけて見ないで、純粋に鑑賞対象として見ればCGキャラが抜け出してきたようで可愛いんだけど。うまい言い表し方が見つからない。

さて本戦、三連覇を窺う“女王”杉浦太陽くんはもう反則ですね。こんなに“女装向き”の容姿の男性って芸能界、一般人、お水問わず日本中探しても数人しかいない思う。それでいて素は中性的ってわけじゃなく、メイクしたまんま喋ると元気な関西のお兄ちゃん、というギャップも客席の女性審査員の好感度につながっていますね。『ウルトラマンコスモス』出身の一応現役アクション俳優だし、ビルドアップして筋肉つけようとか思わないのかな。なんかこのAniコレ”シリーズが芸能人生の代表作になりそうな勢いですよ。

その太陽くんが「負けたかも…」と白旗揚げかけたFLAME<msnctyst w:st="on" addresslist="00:山形県北村山郡;" address="北村">

北村

</msnctyst>くんは、顔の小ささと脚の長さ、プロポーションは抜群だったけど、顔はメイクすると結構シワっぽくて角張っててアレ?でしたね。審査委員長のたかの友梨さんも再三疑問を呈していたように、本来ならロンドンブーツ亮と同点のタマじゃないはずなんだけど。素では本当にアイドル美形なのに、“女装映え”はあんまりしないタイプ。どうしてもこの趣旨の企画だと、メイクが濃い目になりますから、顔の優しさがそれに負けちゃうんでしょうね。山田優さん弟・山田親太朗さんなんかもそうだけど、端整イケメンならいいってわけでもないのだな。

細身と言えばカラテカ。前回参加のNON STYLEもそうだけど、“小柄で細けりゃ女装向きか?”っつったらそうも言えないのね。

いつだったか比較的最近、ネット上のランキングサイトで「男性から見て、何故?と理解できない女性の行動ランキング」で、2位以下に水を空けたトップに「必要以上に痩せたがる」が来ていましたが、“痩せてる”“細い”の持つイメージが、男性と女性でだいぶ違うのは確かです。男性の脳内の“スレンダー”というと、どうしてもノンスタ石田、カラテカ矢部のような感じになってしまうんでしょうね。

他方、女性はあらかじめ胸や尻にはヴォリュームある前提で“手足や胴回り、首から上だけ華奢”を理想化するから、基本的には“妊娠力・繁殖力あるパートナー”を欲している男性から見れば「なんでそんなに痩せたい痩せたい言うんだ?あんま細くなったら無格好でしょうがないだろ」となる。

ロンドンブーツ12号亮と、ココリコ遠藤は容姿もさることながら、前回の山崎邦生同様、“お笑い汁”の滲み込み方がモノを言った感じ。“女装”“フルメイクしてコスプレ”を、自分のものにするこなしが別格でした。

遠藤が“こなれ過ぎ”で“セクシーお姉さんの確信犯パロ”っぽくなったのに対し、「(私服で)穿いて来た(アンダーウェアの)トランクスより、衣装のホットパンツのほうがミニ」という照れがキュートな表情を引き出した亮のほうが太陽くんに迫る高得点だったのは現場でのアヤでしょう。亮の女装は今年の正月『ドリームマッチ』でのハリセンボンとの合同コント以来かな。あの時はスコーピオン・ポイズン・ポタポタ焼きでしたっけ。「(MCトシが)イメージの話するから!」と素に戻っての野太い声とのギャップといい、女性観客が“ネタとして見慣れ、見やすい分”の高得点にも映りましたがね。

前回見事(?)最下位のリベンジを志すハイキングウォーキングは、前回同様ヒルトン姉妹パスティーシュなんだけど、もう中途半端はやめてパロに徹しようってんでブロンドカツラ採用したのが勝因(?)でした。Qちゃんの暑苦しい顔立ちに、こんもりヴォリュームの金髪が合うんだね。松田は黒髪向きの顔だけどよく付き合ってくれた。次週後半10組出たらワースト3抜け成るかな。

おもしろいなと思ったのはアンジャッシュ児島。エコロアーティスト風のずるっ、だらっとしたファッションで全体のスタイリングは結構まとまっているんだけど、30点にとどまった原因は何かと考えるに、女性から見て“ウザい同性”なんですよ。

男から見れば“ちょっとごっつい不思議ちゃん”で受け容れられるんだろうけど、この“不思議ちゃん”ってジャンルは女性にはことのほか受けが悪い。手作りキルトとかにオニ嵌まってて「こんなの作りました~出来ました~ママ友にバカ受け~」みたいなノリでブログに写真載せまくりって感じ。前回の麒麟川島(「少年サッカー見に来たお母さん」)辺りもそうでしたが、女性が同性として見て「あ、こういうウザい人いるいる」って拒否感覚える線に乗っちゃったのがツラい。

他愛無い企画なんだけど、なんかね、思いがけないところに男・女の感覚の性差が覗き見えるんで、コレ毎回見逃せない。

 ステージ含めてライティングが、温暖化ものかはの勢いで猛烈頑張ってる企画でもあり、MCタカの汗が半端ないのがちょっと心配。額や頭皮にかく汗は単純に暑さ・体温上昇ですが、鼻やクチ周りにかく汗は内臓由来なことが多い。これは経験です。肝臓、大腸、前立腺とか大丈夫かな。

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灯は消えなかった

2008-10-13 21:12:05 | 再放送ドラマ

再放送『その灯は消さない』は10日最終話でした。一連の東海テレビ制作作品は本放送では週5回放送なので、アレ?62話で終了?とちょっと“割り切れない”気がしましたが、TVドラマに関する資料サイトを複数当たってみるとこれで全話なようです。本放送が96年正月明けから始まっていますし、祝日は放送休止ということもよくありますからね。

思いを寄せる風俗嬢・晴美(有沢妃呂子さん)のアパートでの殺人未遂容疑で健一くん(芦田昌太郎さん)まさかの逮捕がきっかけとなって、離婚後の自立を目指し東京のアパートに越した智子(坂口良子さん)が、桂子(麻生真宮子さん)にも振られて酒浸りだった藤夫(柴俊夫さん)と再会、川合(大橋吾郎さん)も「健一くんがやっていないと思うなら信じぬいてあげるのが母親だろう、俺もジャーナリストとして真実を明らかにするようできるだけのことをする」と、元彼元カノの経緯を越えてアシストする…という、家族ドラマにふさわしい流れでハッピーエンドになって後味も良かったと思います。

健一くんに関しては、彼自身あまり気のないクラスメート女子がアプローチしてきて、さしたる展開もなく退場したり、血の繋がらない継母の智子をいきなり女性として意識したりと、どんなポジションのキャラにしようとしているのか定めかねているような印象もありましたが、晴美という“汚れた顔の(=風俗嬢)天使”を出したことで落とし所が決まったみたい。

誤解して罪をかぶる気の健一に手紙を書いて「コレ渡して」と智子のアパートを夜半訪れる場面でイルカの『なごり雪』が流れたのはちょっとやり過ぎな気もしましたが、脚本家さんが晴美をとても愛して書いてくれたおかげで、結果的に健一くんもいいフィニッシュができましたね。今年度の受験は結局、間に合ったのかな。

晴美のムショ帰り彼氏・栄次を演じた、高島政宏さんにちょい似の渡祐志さんはどこかで…と思ったら9798年『ウルトラマンダイナ』に何話か出演されていますね。「お金がなくて、ひとつのラーメンを分け合って食べたこともある、私にはやっぱり栄次しかいない」と晴美がハラ決めたのはカッコよかった。ぼんぼんの受験生で親がかりの健一くんとこれ以上抜き差しならなくなるより、栄次を鍛え直してたくましく生きて行くほうが晴美さんには似合いだと思う。絶妙のタイミングで意識を取り戻した栄次も、“あの坊っちゃんが晴美のために罪をかぶろうとした”と知ったら「オレもうかうかしてらんない」と本気で生き直すかもしれないし。

中盤までは智子に男として未練たっぷりな川合でしたが、伊東の実家の智子母(今井和子さん)の事故負傷を救出した辺りから「智子が大切に思うものを守る、やりたいと思うことを応援する」というベクトルに変わってきて、ラストは月河がお似合いだと思った通り智子親友・弘美(山村美智子さん)との新しい人生を暗示する終わり方。月河はむしろ「いつ香港取材に行って、ギャングに刺されるのか」とヒヤヒヤかつ楽しみにしていた(おい!)のですが、最終話前に微量ウェスタンないでたちで帰国した律子(吉野真弓さん)のためにも、死なないラストでよかった。

智子お母さんの事故死も半ば認知症進行による加齢死に近いものだったし、誰も不幸に変死しない、ってのはそれだけでもだいぶ後味がいい。

信州松本のお祖母ちゃん(東恵美子さん)はまだバリ健在なようで、律っちゃんが養女に行く話も立ち消えになったわけではなく、健一くんの受験、失職した藤夫の今後…と難問山積のままなエンドマークでしたが、堀口家全員が一堂に会し食卓を囲んだところで「あとは何とでもなる」と明るい気持ちになれたのではないでしょうか。“家族揃ってこそ”というコンセンサスを視聴者に取りつけられた時点でこの着地は成功でしょう。最近のこの枠作における“誰と誰がくっついて終わればハッピーエンド”という見かたに縛られずにエンドを迎えられるテンションを保ったからこそ、ラストシーン「家族になる前、私たちはただのオトコとオンナとして愛し合って夫婦になった、そのことを忘れちゃいけないんだと思う」藤夫「そうだ、オレはオマエと一生、添い遂げようと思ったんだ」のやりとりが活きた。

全体に“オス・メスの恋愛感情”より“家族に向ける、家族として通い合う思い”が上位に来る世界観で一貫したのが良かった。智子が「これからどちらへ?」と訊かれて答えずに去ったカウンターでマスター(不破万作さん)が「お幸せに」とひとり乾杯したところが月河はいちばん泣けましたね。彼は智子がどっちへ行くと思っていたのかな。

昼でなく深夜ドラマでもあれば、“BAR メンフィスに来る人々”というフォーマットでも作れたかもしれませんね。堀口家の人々はもう当分来ないかもしれませんが、ともにライフワークを持つ同士、距離置きつつでもカップルになった後の川合と弘美には、安らげる場所として存続してほしいと思います。あと、成人してからの健一くんにもね。

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文春ラリアット

2008-10-12 15:29:56 | テレビ番組

本放送・再放送ともに、昼の帯ドラマが先週10日(金)でひと区切りついたので、ここでもひとまとめしようと思っていたら、思いもかけないニュースが飛び込んできました。

三浦和義元社長、移送先のLAで自殺。61歳になっていたんですね。

ヘンな表現ですが、「昭和がまたひとつ終わった」感です。

日本での無罪判決の後は特に“元祖・劇場型”なんて茶化し気味(=一敗地にまみれたマスコミの自嘲気味)に言われていましたが、実際犯した行為、犯したんではないかと疑われる行為自体ではなく、それについてマスコミ媒体・世の中が遠巻きにああだこうだ騒いでいる状況をひっくるめて“事件”“話題”として消費される…という流れを決定付けたのはやはりこの人だったと思う。

三浦逮捕後、平成に年号が替わってから、90年代以降の数々の凶悪犯罪・猟奇異常犯罪は、まあ95年のオウム事件以降TVワイドショーが若干腰引け気味になったけれど、概ね“三浦式”の取り扱い方が定着し、容疑者当人もそう扱われることを意識して動くのが当たり前になった。報道に接する一般視聴者・新聞雑誌読者も、「腹立たしい」につけ「いけ好かない」につけ「イッちゃってるわ」につけ、“三浦に対したように”媒体上を眺めてチェックして所感を持つというのが通例に。

それがいいとか悪いとか、進んでるとか遅れてるとか、低俗だとか愚かだとか言っていてももう始まらない。

いまやTVなど放送媒体、週刊誌一般紙スポーツ紙などの紙媒体を飛び越えて、ネットという化け物が急成長、媒体の動きすら完全に“客体”化しました。三浦元社長が週刊誌やTVを手玉に取って転がして、注目を集めてさぞかし絶好調だったろう時期は確かにありましたが、平成20年の現在は既存媒体の転がされっぷり、“三浦の末裔”気取りの卑しい愉快犯たちの転がしっぷりがネットでさらに弄ばれ、そのネットをさらに既存媒体が「ネットでこんなに話題ですよ」と追いかけ持て囃すという、何やら自分の尻尾を食ってノド詰まりしてる蛇、みたいなことになっています。

そんな中、三浦元社長はみずからの生を絶ちました。

例によって弁護士使ってのらくら5年も6年も言い抜ける手もあったでしょうが何だかんだで61歳、転がし転がされ、弄び弄ばれることに疲れたのか、空しくなったのか。かの地の警察発表によれば、身柄拘束後も特段の変調はなく自殺の予兆もなかったそうですが、これまでの数々の大芝居小芝居、誇張演技とセルフ演出で塗り固めた61年の人生は長ーい“躁状態”で、人生初の“鬱期”に昨日突入、「何やってるんだオレ」と高速落下した瞬間が、たまたま看守巡回の谷間だったのかもしれない。

LA警察が予定していた立件もたぶん被疑者死亡で処理されてしまうとなると、被害者・一美さんのご遺族にとってはなんとも無念なことでしょうが、ある意味、人間社会のある部分の一時代を画し、その落日と終焉を見た一生だと言ってもいい。

死んじゃった人のことをあんまり言うのもなんだけど、防犯カメラに歴然と万引き撮られてても「やってない」で押し通した人ですからね。あちらで逸見政孝さんらかつてのキャスターたちに会ったら、「やあやあその節はどうも、今度こそ本当のことをお話ししますよ」とまた身振り手振りに泣き入れて、あること無いこと喋り倒してそうだな。

媒体越しには、この人にまつわる記憶はずいぶんいろいろある。何年の何月頃、逮捕に先立つことどの程度前だったかは忘れましたが、『笑っていいとも』テレフォンショッキングでは松任谷由実さんが「こないだ(某所で)三浦和義さん、いたんですよー」とハイテンションで報告、サッカーの三浦カズも同姓同音のよしみで「一度会いたいと思ってるんですけどね」と言っていました。もちろんJリーグなどまだ影もカタチもない頃。

タモリさんなど「TVに出して“一美さん殺してたら黒いスイッチ、殺してなかったら白いスイッチ、ハイ押して!”ってやったら、意外と本当のこと言うかもしれない…言うか!」と自分でツッコんでたこともあった。

『オレたちひょうきん族』のひょうきんプロレスで“フルハム三浦”に扮した景山民夫さんはその後直木賞作家になりましたが自宅で謎の出火事故死。“ジミー江古田”の島田紳助さんは暴行事件で一時“島田司会者”に。実況席の“ミヤタ・テルアビブ”こと古館伊知郎さんは報ステで毎日気障なジャケット着て「ワタシたち庶民の暮らしは…」言ってるし、解説のジャマモト・コテツことビートたけしさんはいまや芸大教授、世界のキタノ監督。

トミー・リー・ジョーンズの缶コーヒーCMじゃありませんが、“このろくでもない”“すばらしくもない”世界、とつい呟いてしまいます。訃報に接してここで幾許の記憶を辿らせていただいた有名知名人のかたには必ず「どうぞ天国で安らかに」的な言葉を一応添えるのですが、この元社長ばっかりは、「お好きなとこ行ってお好きなように」としか送り出せませんな。とりあえず嘘偽り・演技の壁塗り上塗りと、常に人に見られ興味持たれてないと落ち着かなげな“自意識の桎梏”からは自由になった、それだけは良かったねと申し上げておきましょう。

コメント (2)
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