イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

愛讐の改修

2008-10-18 00:13:52 | 昼ドラマ

『愛讐のロメラ』(フジ・東海テレビ系月~金1330~)、12週のヒロイン15歳篇と、13年後の今週=3週めからとで、なんか一気に人物の情念ベクトルに方向性違い・段差ができてしまった…ということを先日書きました。

 15歳珠希役・増山加弥乃さん、高校生恭介役・染谷将太さんたち子役さんが重いセリフを頑張っていた12週ではありましたが、これ、そっくり要らなかった、って考え方もできるんじゃないのかな。

“アメリカ研修帰りの天才少壮心臓外科医・恭介(相葉健次さん)はなぜ同じ職場の若手女医・珠希(いとうあいこさん)を執拗に憎み遠ざけるのか?”

“なぜ実家加賀見家両親に対しても年中ドスをのんだ様な顔をして、食事の座が凍るような発言を繰り返すのか?”“腹違いらしい弟・亮太(龍弥さん)にだけことさら“同じ父を持つ実の兄弟”を強調し、囲い込むように守ろうとする理由は?”

はたまた、

“これほど露骨に恭介に嫌われ、嫌がらせされながらも珠希が頑として同じ職場にとどまる理由は?”

“彼女を何かにつけフォローしようとする現院長との関わりは?”

……等等を、珠希を「賢くて使命感があって」と同性としてリスペクトしつつも、自身の身上にはクチをつぐむミステリアスさに疑問を感じ、さらに洋行帰りの恭介先生には異性として憧れ、やがて恋心を抱く病院事務員・歩美(杏さゆりさん)の視点で解き明かしていくほうがおもしろいドラマになったのではないか。

そういう仕立てにするには、グラビア出身杏さんではちょっとキャストが違ってしまいますね。現実の今日(17日)放送14話時点では、歩美は珠希には友人“気取り”で詮索好きで、恭介に媚び媚びで、視聴者が珠希に気持ちを寄せて観れば、直球ウザ邪魔キャラなわけですが。

いっそ、現・珠希役のいとうあいこさんを歩美役に充て“(アバレイエロー・らんるちゃんみたいに)元気で健康的で好奇心旺盛、明朗快活”“惚れた恭介をもっと知り、力になりたくていろいろ調べて行く”キャラの、こちらをヒロインにし、院長のイチ押し敏腕女医で、悲しい境遇からの叩き上げらしいのはわかるけれど寡黙で心に壁を築いている珠希役を前クール『白と黒』の西原亜希さんに演じさせたらよかったかも。

最終的に歩美が恭介にも、珠希にも心を開かせて、結果的に彼らの13年前の若い初恋を再燃させ、歩美自身の恭介への恋心の遣り場がなくなってしまうが、「長い間の誤解や憎しみをやっと捨てることができて、恭介先生が珠希先生を愛するなら、私は構いません」「恭介先生も、珠希先生も、私に大切なことを教えてくださいました」と微笑んで病院を去り、留学とか大学進学とか新しいステップアップを目指して行く、その後から悟(渋江譲二さん)が追いかけ「ずっとキミを見て来たけど、兄さんと珠希さんに素直にぶつかって、心を動かして行こうとする姿は、ボクにはない強さがあってステキだった」「ボクも加賀見家を離れて、新しい人生を生きようと思う、一緒に歩いてくれないか」…なんて結末になれば後味がいいですね。

まぁ、とにかく現時点のいとうさんの珠希が、あまりにジトッ、ジメッと動きがなくて焦れったいもんで。何であれもっと、感情に動かされて闘うヒロイン像がほしい。

現院長・謙治(うじきつよしさん)の元・内縁の妻・恵(北原佐和子さん)の弟で、13年前篇ではパチンコ資金を姉にせびったり、15歳珠希を押し倒して悪戯しようとして高校生恭介に殴り飛ばされたりの悪たれグウタラ男だった仁(根岸大介さん)が、どこをどう見込まれたか謙治に取りたてられ、背広ネクタイで加賀見病院の事務長として忠実に働いているだけではなく、珠希にも「あなたも私も、お互い辛い過去をもつ身ですが、加賀見家の人たちへの恨みは乗り越えてください、院長の信頼を裏切っちゃいけません」「あなたをいつでも応援していますから」と励ましている辺り、あの人物もこの人物も13年前篇とは手の裏を返した?人格が変わった?などと鼻白みつつ観るより、むしろ12週で延々語られたことを、“おぼろげにちらつく、そんなこともあったかもしれない過去”として観たほうがまだしもよさそう。

NHK朝ドラ『だんだん』はいつも音声のみで、たまにしか画面込みで視聴できないのですが、こちらも3週め。

宍道湖のめぐみ(三倉…あのね、だから、ホレ、茉奈さん)父・忠役の吉田栄作さんが、何やら独走でカッコいいですよ。かつては演技歴のわりに地味なポジションだった夏八木勲さん、柳生博さん、小林稔侍さんなどがこの朝ドラ枠で、少女ヒロインの“父役”“親代わり役”などで“渋くて優しいステキなおじさま”キャラとして開花したように、かつての抱かれたい男・吉田さんも今年、再ブレイクの年になるかも。若づくりヘアメイクがバレないよう照明や映像処理がかなり頑張ってくれているとは言え、20年前の京都での花雪(石田ひかりさん)との回想シーンにじゅうぶんロマンチックなフェロモンが漂っているので、2000年時制の、過去を呑み込んだ寡黙なシジミ漁師の姿にも説得力がある

宍道湖の忠の亡き父・宗助役が岸部一徳さん、祇園の花雪の父・一条隆康役が夏八木勲さんと、『相棒』の官房長&警察庁長官コンビなのもおもしろいですね。岸部さんは昨年の『芋たこなんきん』でも写真館の先代を演じておられたし、、夏八木さんともどもいつの間にか“父世代”を通り越して“お祖父ちゃん世代”プロパーになってしまったのだなぁ。

視点を変えれば、ここらへんの年代で、認知度好感度高く力量も信頼できる俳優さんが手薄なため、どの作品でもしょっちゅう同じような顔合わせになってしまうのかもしれない。緒形拳さんに続き、先日は峰岸徹さんも65歳の若さで他界。ステキなおじさま、お祖父ちゃま俳優さんたち、どうか健康にお気をつけて長くご活躍を。

コメント
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