イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

博覧凶器

2010-04-21 16:04:15 | ニュース

岡本真夜さんはもっと怒っても、と言うか尖んがってもよかったんじゃないかと思うんですけどね。上海万博PRソング問題、当初の、さもオリジナルらしく発表してPVTVに載せた中国人作曲家さんの楽曲を引っ込めて、真夜さんの『そのままの君でいて』を公式に採用したいという申し出が向こうからあったわけだから、事実上盗作を認めたに等しい。ならば、まずは「いい曲で好きだったので、未来に向かう大イベントにナイスマッチングだと思い、つい出来心でいただいちゃいました、ごめんなさい」のひと言があってから、「ついては公式に…」と行くのがスジというものではないでしょうか。

“盗作”とか“パクリ”という概念も用語も存在しない海賊パラダイスのあの国が相手では、はなから闘争心もヘナるかもしれませんが、オリジナルで勝負するアーティストたるもの、黙って頂いて商品化して、バレたらクチにチャックしてしらじらしく公式採用をオファー…という、順序のヘンテコなあとさきが、事後承諾みたいに認められるんじゃやってられないと思います。

 まぁ、万博主催当局としては、かたやなんちゃってオリジナルの中国人作曲家なんちゃらさん、こなた日本の清廉なるオリジナルシンガーソングライター岡本真夜さん、という個人対個人の(=中国に圧倒的に分の悪い)図式にしないうちに、臭いものにフタしてしまいたいだろうし、真夜さんサイドも「事を荒立てないほうが、旧作で公式ギャラとれて棚ボタラッキー、この騒動でチャートも再上昇、リバイバルセールスがっぽがっぽで2倍ラッキー」との読みがあるかも。

金銭的な損得どうこうよりも、「パクりたくなるくらい魅力のある曲と思ってもらえたなら、それはそれでちょっとプラウド」ってのがアーティスト魂かもしれません。

 盗作とはまったく関係ありませんが、月河はこの話題をNHKニュースのTVの音声だけで聴いたとき、「岡本真夜さんの1997年のヒット曲『そのままの~』…」という本題アナウンスに入るまでの数秒間、ZARDの曲と信じて疑わず、坂井泉水さん今年で何周忌という話題かな?と思っていました。

むしろ真夜さんがデビューし最前線で活躍していた90年代中盤~後半のJポップ女性ヴォーカル全般がほとんど個体識別ついていなかったりする。真夜さんとZARDに、every little thing持田香織さんが加わったりなんかしたら、もう99%、どの曲が誰の歌ってる曲かわかりません。マイケル・ジャクソンとマイケル・ジョンソンとマイケル・ジョーダンの区別がついていなかった家族を笑ってる場合ではない。マジック・ジョンソンとジョージ・マイケルも加わってえらい騒ぎになっていたっけ。アレは極端すぎる例だな。

相川七瀬さんと大黒摩季さんの区別もほぼつかなかった。久宝留理子さんなんてのもいたし、あとパメラとかいうギターとのユニットの人もよく似て聞こえた。あの時代、女性ヴォーカリストたち声質や個性はそこそこ多彩なのに、調理法やスパイスの選定、盛りつけのセンスが妙に一色だった気がするんですよ。hitomiさんと華原朋美さんも聴き分けられなかったなあ。こちらは微妙に共通点があるか。

90年代早々にバブルがはじけたとは言え、大手銀行や証券会社が続々破綻して「シャレになんないくらい日本、既存システム、もう不可逆的にダメか」と具体的決定的に眼前につきつけられる前の“右肩上がり時代の残り香”みたいな、“ポジティヴごっこ”な空気感が、あの国の、とりあえず一郭、一部の階層だけには盛りあがっているらしい万博開幕待望張りぼてお祭りムードに合致したのかもしれません。

“前向き呪縛”“明るさ強要”…かつて日本はそうだった。海賊パラダイスの国とは言え、いままさにそんな気分にひたされ煽られているのかと思うと、ちょっと気の毒な気もしますね。

いっそ罪悪感無しついで、知的所有権無視しついでに、♪強がらないで…無理しないでもいいよ という歌詞もまるごと頂いて全土に宣伝しちゃえばよかったのに。

コメント
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