先週はなにやら卒業シーズンといったおもむきで、10日(水)に『相棒 season 8』、11日(木)に『不毛地帯』、12日(金)に『宿命 1969-2010』と、定例視聴していたドラマが続々最終話。『不毛』は原作が完結しているので総集編SPでもない限り“チーム壹岐”とはさよならになりそうですが、『宿命』のほうは続編映像化もなくはないかな?な終わり方でした。最終話翌日の朝刊に小説の続刊広告が出ていたし、順調なら今秋辺り崇(北村一輝さん)の巻き返しが見られてもおかしくはないものの、数字のほうがきわめて順調でなかったとも仄聞されるので、これっきりかも。
『相棒』は神戸くん(及川光博さん)が、損して得もない人事上の「茨の道」を自己責任で選んでくれたので、右京さん(水谷豊さん)から「ようこそ、特命係へ」の相棒認定がもらえて、season終わりでようやく名実ともにスタートラインに立てたところで終わりました。もう満帆の次season待ちと言っていいでしょう。
そうなると楽しみは4月期からのドラマ。先月、スポーツ紙発表時に触れた月~金の昼帯枠は、4月5日スタートの安達祐実さん主演、タイトルに付けも付けたり『娼婦と淑女』。先週末東海テレビの公式サイトもオープンしましたがいきなりグロいぞ!トップが。一瞬江戸川乱歩ものかと思いました。28歳安達さんの相変わらず年齢不祥なルックス、キャッチコピーの“アタイ”押しも相俟って、いつ時代制作の、いつ時代を舞台にしたドラマよ?と目まいがしそうになります。
貧しい大工の娘が、ふとしたきっかけで自分と瓜ふたつの子爵令嬢と接点を持ち、令嬢が家督争いの中で毒殺されたことから彼女になりすまし華族社会へ…という、どこかで聞いたことのありまくりな設定。時代背景をとっぱらって単に“貧と富、貴と卑、清と汚、知と情…対照的な個性と境遇の2女性の人生のからみ合い”と見れば、この枠で「年中やっている」系のお話です。2006年の『偽りの花園』は“成りすまし”ではなく、“成りすまさせられ”でしたが伯爵家の妾腹の娘とその乳姉妹。05年の『冬の輪舞』も病院長の娘と乳姉妹、他にも順不同で『牡丹と薔薇』『エゴイスト ~egoist~』、『嵐がくれたもの』、『女同士』『ラスト・フレンド』『白衣のふたり』も“対照的な(同年代の)2女性”の張り合ったり友情したりが土台になる話だった。
なんとなく、“同年代同性の誰かと自分を引き比べなければ幸福も不幸も実感できない”人間の(←敢えて“女性の”とは言いません)性分をこの枠、映し出している気もしますがそれはさておき。
安達祐実さんと言えばもちろん平成の名子役さんで、“具が大きい”カレーのCMの頃はいまの子ども店長・加藤清史郎くんに匹敵する人気者でしたが、名子役さんの多くがたどったように、“加齢難”に直面しているここ数年です。実生活では妊娠→結婚→出産→離婚→シングルマザーと、昼帯ヒロインに遜色ない年輪を重ねていても、なにしろ小柄で童顔、控えめに言ってもローティーンの頃から容貌や体型がほとんど変わっていないように見えるのに、0歳時からの芸歴ですからね。芸歴・芸能界歴は大ベテラン、実生活バツイチシングルマザー、容姿は若見え、でも可憐さやいたいけさはもう…という、非常に“当たり役”の見つけにくい女優さんになってしまいました。
実写版『ガラスの仮面』からも、もう13年ぐらい経つのかな。高校生水島マヤ役でも、まだ中学生ぐらいに見えた。結局安達さんって、役の設定通りぴったんこの年頃に見えたことがないような気がしますね。芸歴相応の演技力はあると思うのですけれど。あのアヒルさんチックなアニメ声で損しているのかしら。
今作、相手役は鳥羽潤さん。1996年『聖龍伝説』で共演済みです。当時安達さん15歳、鳥羽さん18歳。いまやともにアラサーとなって、なにやら同窓会のようです。鳥羽さんは他局の昼帯はすでに2作出演歴あり。えーッあの人が昼帯に!?ってほどのサプライズ感はなし。
脇を固める赤座美代子さんは最近は『不毛』の大門社長夫人役でもお顔が見えましたが、94年『誘惑の夏』をはじめ、この枠のドラマで何度もいい仕事をされていますし、越智静香さんも2005年『緋の十字架』で重要な役を。木下あゆ美さんは恒例の“特撮ヒーロー(ヒロイン)枠”。ここらのキャスティングは伝統芸の世界。
せんじ詰めると、『インディゴの夜』の後番組として、ここまで根性決めて“新鮮フレッシュさ”にとことん背を向けたドラマをやる。「逆に勇気があるな」というのが現時点での感想です。加えて公式のグロさ、目まいがする様な“アタイ”押し。注目せずにいられません。