夏が終わったら諏訪とは決めていた。そこに夏に1週間ほど帰省し、高3に倫理や政治経済を集中的に教えてくれた誠紀(35期生・都留文科大学1年)の偵察も加えてみた。
午前6時半に久居インターに入る。午前1時を過ぎて諮問試験をしていたので睡眠時間は4時間・・・若干つらいけど、まあ久居を離れて自由の翼が生えるとなると新しき生命が宿るな。
湾岸道から岡崎SAで一休み、次は静岡SAで休む。御殿場経由で仁杉JCTから下道をしばし、再び東富士五湖に乗り富士吉田で降りて河口湖へ。ここまで久居から5時間ほど・・・しかし富士山は雲に阻まれてその気配もない・・・へこむ。
河口湖で奥さんとあるはずの富士山の方向を眺めながら一休み。
誠紀との待ち合わせはアパート近くのファミマ、午後1時あたり。1時間ほど休んで下道で都留文科大学を目指す。
都留文科大学・・・俺の時代にもあった3教科で受験できる古豪の大学。3教科ゆえに私立との併願、法政や中央、立教辺りと張り合う大学。しかし、誠紀は北大に合格させたかった・・・。
第一志望に合格できなかった生徒が気になる、俺の性癖だ。ついつい様子を見にいってしまう。大阪大学に落ちて後期で金沢大学に進学した菜穂(30期生・USEN)はすぐに様子を見にいった。しかし志望大学に合格した弟の遼太(34期生・金沢大学医学部2年)は放ったらかしだ。そんな俺にとり今年、誠紀を北大に落としたことは慚愧の思い・・・自分に対する呪詛を繰り返しながら都留を目指す。
ファミマで誠紀とのランデブーに成功・・・あんまし変わってない。夏に会ったばかり、当たり前か。メ-ルで何度も打ち合わせた『雅龍』、定休日だ。おいおいおい、仕方なく他の店を探す。結局は大学前の鰻屋『川藤』
大学前・・・道を挟んでの光景はこれ。
ほんまに大学前、学生街ではなく、大学の正門のすぐそばだ。
鰻は当然、江戸前だ。なにせ都留市は山梨県内にあるが甲府に出るより八王子に出るほうが近い。
奥さんと話している誠紀の横顔を眺めている。新しい環境でうまくやっているのか・・・演劇部に入ったそうだ。最近、劇の公演をやったそうだが、打ち上げは・・・なかったそうだ。自転車はない、当然ゲンチャリもない、行動半径は徒歩圏内、恐ろしく狭い。「都留文科大学の卒業生が自転車を就職先まで持っていくとは思えない。この辺りで売ってるはずだ、リサイクルで安いのが手に入るはずだ、探せ」「はい」 バイトはホテルで部屋の清掃をしていると聞いていた。この辺りにホテル? 「どこのホテルでやってるねん」「富士急ハイランドのホテルです」「なんで、そのバイト見つけたんや」「先輩から誘われて」「富士急までどうやって行くねん」「電車で」「どのくらいかかる」「1時間ほど」「勤務時間は?」「5時間くらい」「時給は?」「1100円ほど」「週に何度や」「1回」「週に1度って決まってるんか」「いや、融通は効きます、好きな時に行っていいって」「今は夏休みやん」「ええ」「なんで毎日行かへんねん!」
都留市から高速に乗って中央道で諏訪を目指す。午後4時に定宿の上諏訪ステーションホテルに到着、一休み。今日の居酒屋は上諏訪ではなく、JRで一つ長野寄りの下諏訪。
午後6時15分長野行に乗り込む。4分で下諏訪に到着、まずは駅前の『ゆき』
一杯目に真澄・・・おいしかった。それからは信州ハイボールを3杯。
二件目は下諏訪の秋宮近くの・・・名前は忘れた。
この細い道を奥まで行くと・・・
ここしか出口がない、いわば隠れ家・・・
ここでは日本酒は2合・・・
俺達夫婦は見合いだ。結婚するまでに会ったのは4回くらいで、恋愛時代はなかった。今になって、居酒屋をハシゴしながら疑似体験しているわけだ。
フラフラになりながらやっと下諏訪駅までたどり着く。
午後9時45分の甲府行の各駅停車、なんとか間に合いそうだ。