異郷での遭遇

午後６時過ぎ、ユタカの親父さんから連絡。
「先生、今しがた呉に着きましたんや。明日にでも橋本先生のクリニックに顔を出して三重県に戻りますわ」
中３の質問でばたばたしていた。
落ち着いたところで橋本ドクターに連絡。
明日の午前中に三重県から冷やかしが行きまっせ！
すると橋本ドクター、今は奥さんもかわいい娘たちも奥さんの実家に戻ってるから今夜はフリー・・・なんとか連絡を取りたいとのこと。
俺がユタカに連絡し、親父さんの携帯の番号を教えてもらう。
そして橋本ドクターにリレー。

22年前の春、なんら後ろ盾もなく、高邁なる理想もなく、その時の気分で、俺はたった一人で塾を始めた。
いつしか、塾に係わり合いを持つ人達が増えていった。
そして今日のように、俺を介することなく、塾の関係者と関係者が異郷の地で遭遇する。
この仕事を今まで続けてきた過去の重みを、少しだけ実感する。
いい気分だ・・・。
今夜は飲むぞ！

と決断した矢先、こなつが言う。
「先生、今夜送っていってください」
はいはいはい・・・。

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２月最後の日曜日

午後２時、ほこりアレルギーのお嬢ちゃん、姿を見せる。
ここ２週間ほどの努力が報われるかどうか。
粛々と正負の数の足し算と引き算を進める。
そして合間を縫うように自制を意識した英文。
お嬢ちゃんの兄貴は慎也、中学の頃はサッカー部だった。
それもあって英文は以下。
I play soccer every day.
I played soccer yesterday.
I will play soccer tomorrow.

午後３時、龍神が姿を見せ真ん中の部屋でタバコを一服。
大典（三重６年制５年）のカリキュラムの指針を与えてくれたことを感謝する。
司法大学院に進学後に検察官を狙う龍神、これで同じ「約束の地」を目指す弟子ができたわけだ。
大典はこれから龍神を背中を眺めながら歩むことになる。
その意味では龍神、東京からこっちに帰って来る楽しみが一つ増えるわけだ。