４月３日・Ⅱ

午後10時、名張から密航してきた昌成が帰っていった。
今日あたり身体をポリポリかいていた。
この二泊三日の密航には風呂のオプションはなかった。
家に帰ったらさっそく風呂場に直行だろう。
迎えにやって来た大垣こと「名張の酔っ払い」、名にたがわず今日も今日とて酔っ払っては奥さんの運転。

昌成は上野高校ハンドボール部キャプテン。
５月下旬までクラブ活動が続く。
よくて一日３時間の勉強時間をいかに綿密なものにするか、それが課題だ。
なにしろ国公立大学の医学部理学療法学科、センターボーダー85％の世界なのだ。
今回の密航では、センター85％をどう攻略するかという戦略的な議論にはならなかった。
全ての教科の底上げを・・・今はこれしか言えない。
精進されたし。

橋本ドクターから化学の問題に対するコメントあり。
昌成、きちんと復習しておくように。
また会おう。

４月３日・Ⅰ

昨夜は俺の高校生の英語。
お題は早稲田大学人間科学の2002年度１番。
短い論説文がひたすらに続く。
イメージは今年度傾向が変わったセンター英語の６番。
昌成（上野高校３年）も参戦・・・しかしターゲット1900をなんとか800まで覚えたレベルでは、このクラスの英文は厳しい。
まあ、名張に帰っても精進されたし。
しかし、この授業を一番聞いてほしい生徒が今はいない・・・。

新高１には法政大学の古典、出典は堤中納言物語で設問数18。
亜里がミス０で里歩がミス２・・・。
「すごいやん」と俺。
「だってこの文章は先生の授業でやったじゃないですか」
「それが古典だ」
「・・・」
「つまりさ、英語はどんだけ膨大な文章を読んでも同じ文章はまず出題されない。しかし古典は違う。古典の原典が限られている以上は入試で当たる確率がある。それも意外なほど高い。それさえ当たれば、オマエみたいにまだ高校に入学していないのに大学入試問題で満点が取れる。つまり、高校の古典の授業を真面目に聞け！というのが狙いやな」


二日目ともなれば環境に順応したのか、昌成が真ん中の部屋から覚醒したのは午前10時をまわっている。
俺は健介と源氏物語の品詞分解の真っ最中。
源氏の物語論・・・絵物語に熱中しているのを源氏にからかわれた玉鬘が、源氏に食ってかかるシーン。
これが１年後の健介に生きればいい。

橋本ドクターから書き込みあり。
化学の問題だ。
患者さんには優しい先生を演じながらも、こと化学に関しては仮面が剥がれる？
ただ今、昌成が塾のパソコンで問題と格闘している。

千紗（アジア太平洋立命館３年）が勉強している。
一つ月後に迫ったイギリス留学の準備だ。
トエフルの問題集にイギリスに関する本が数冊机の上。
その机は、７年前に津東を目指して勉強を始めた机だ。

征希（４期生・カイロプラクティス自営）が奥さん連れて登場。
今日は治療ではなく、ユタカのお父さんのメッセンジャー。
ユタカの実家では、新しく庭をつくっていたとかで、そのお披露目を５月５日にするとか。
そのお誘いである。
聞けば、ユタカも帰って来るとか。
そのときにはユタカの子どもが見れるかな。
ちなみにユタカは半年ほどの東京暮らしが決まっている。
お父さん、喜んでお邪魔します。
橋本ドクターも連れて行きたいところですが、なにせ５月５日は親馬鹿の日ですからね。

１階の美容室のマッツン（７期生）がバイトを雇った。
たまたま面接時に居合わせて少しばかり話をした。
津工業卒業・・・またかい、多いねえ。
美容業界で工業系の占める割合は恐ろしいほどに高い。
工業を卒業して美容師の専門学校へ。
工業へ進学するということは中３の段階で自分の将来の方向性を決めることでもある。
話してみればいつもの答、「成績と内申から津工業あたりかなと勧められまして。でも入ったら、ああ自分には工業系が合わないなと・・・」
工業系に向いている人材を工業高校へ、それが進学指導やん。