弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【農水知財】種苗法改正、断念へ

2020年05月21日 09時20分01秒 | 農水知財
おはようございます。
今日もひんやり曇り空、な@湘南地方です。


さて、今日は甲子園の話題を書こうかな…と思っていたら飛び込んできたこんな話題

(毎日新聞より引用)
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「種苗法改正案」今国会成立を断念へ 柴咲コウさんの懸念ツイートで慎重論拡大

自民党の森山裕国対委員長は20日、ブランド農産品種の苗木などを海外に持ち出すことを規制する種苗法改正案の今国会での成立を見送る方針を示唆した。農作物の自由な栽培が難しくなるとの懸念を野党などが示しているためで、記者団に「日本の農家をしっかり守る法律だが、どうも逆に伝わっている」と述べ、成立には時間が必要だとの認識を示した。また「国会には会期がある。まず森林組合法改正案の審議を進める」とも述べた。

(以下略)
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(引用終わり)

…あーあ。

芸能人が政治に口出しするな、とかは全く思ってないですが、
どんな立場の人であれ、政治的な(※)発言するなら最低限、それなりに勉強してからにしませんか?とは思います。
(※)ここでいう「政治的な」=“立法その他で他人の権利義務関係に影響を及ぼす可能性がある話題についての”という意味です。

彼女は、「登録品種」と「一般品種」の違いを理解して発言されたのだろうか?
今回の改正案で自家採種が制限されるのは「登録品種」だけでした。
品種登録してるのに農家は自家採種OKっていう現状の方がむしろアンバランスだった、と思いますが。


個人攻撃をする気はありませんが、本件に関する最初の(と思われる)ツイートの書き出しが

“新型コロナの水面下で、「種苗法」改正が行われようとしています。…”

いやいやいやいや、本件、コロナの「コ」の字が出るずーっと前から議論されてましたから。
一官僚の思い付きや一企業の思惑で急に法改正にならないから(そのための官僚制度なわけで)。
有識者からの意見聴取とか、施行した場合に生じる影響のシミュレーションとか、色々ありますから。
そこに参加する人間も、もともとご多忙な方々なのにちゃーんと予習してきていて、その場のノリとかで発言しませんから。

柴咲さんご本人が本当にこう思って書いたのか、それとも誰かの依頼で書いたのかも分かりませんが。

ちゃんと情報ソースを見ようよ…
改正案はこちら
さすがにこれだとわかりにくいので、
法律案の概要がこちら

この概要をちょっと見たらわかるように、
そもそも今回の改正、
自家増殖(自家採種)の件だけではなく、
現物主義から特性表主義に(わずかながら)シフトすることで侵害立証しやすくなったり[←ここが一番インパクト大きいんじゃないかと思っていた]、
これまで問題になっていながら対処ができなかった海外流出に歯止めをかけるために育成者権の実質的強化が図られていた。

これらは、結果日本の農業の強化につながるはなし。

それが全部見送り‥‥
改正案に携わっていた方々のご苦労も存じ上げていただけに、なんともやるせない。

というのと、そうか、こういうの、ちゃんとわかりやすい言葉で発信していかなきゃなぁ。。。と。
烏滸がましいけど、ちゃんと情報発信をしていたら、こういう事態に陥らないために、
ほんの髪の毛一本分(※大事よ、一本だって髪の毛(笑))でも寄与できていた可能性もあったのかなぁ、、と。

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