弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【商標】Brexit(ブレグジット)の影響って…?

2017年04月19日 08時16分25秒 | 実務関係(商・不)
おはようございます!
窓を開けていたら書類が飛び回り朝からちょっと焦った湘南地方です。

さて、ヨーロッパ3部作(?)
ちょうど今朝の朝刊でイギリス議会の解散総選挙のニュースが報じられたところ。
現政権の方針である“ハードブレグジット(=EU単一市場からの完全撤退)”か、
或いは野党勢力が主張する“ソフトブレグジット(=EUとの結びつきを維持)”か。

すでに3月末にリスボン条約50条を発動し正式な離脱通知を行い2年のタイムリミットは走り始めたところですが、
これに先立ち2016年10月に、いわゆるGreat Repeal billを発表しており、
現在有効なEU法は英国法に一旦組み入れられ、その後英国議会で維持/改定/廃止を検討する
ということになっています。法の隙間を生じさせないためのものです。

上記の通りイギリスの政局がどう動くかによっても落着どころは変わるのだと思いますが、
少なくともEU離脱で即権利関係に影響が及ぶ、ということはなく、
2019年3月より前に成立している権利は引き続き国境を超えて行使可能、ということになります。
(インバウンド/アウトバウンドとも)

問題は、現状係属中、及び2019年3月までにEUTMに係属する出願の扱いですよね。
上記に従う限り、Great Repeal Bill発動前に係属しているEUTM出願は、その後英国議会で別途の規程整備がされない限りは
従来と同様、イギリスも含めたEU域内で有効、ということになる、ということで良いのだと思います。

あとは、2019年4月以降の出願については、イギリスはイギリス単体で出願することになるでしょう。
2019年4月以降のEUTMの登録商標の不使用について2019年3月以前のイギリスでの使用実績が認められるか、とか
いろいろニッチな論点はありそうですが、
まあユーザ側の基本スタンスとしては、現時点でイギリスとEUTMは別リージョンとして認識しておき、
それでも引き続きEUTM出願を活用できる場合はラッキー程度で使うのが良いのかな、と思っています。
マドプロで、現時点でEMとGBって二重で指定できるんですかね?
手続上否定されていないのでできるのだと思いますが(コストはかかりますが)、
仮にEM登録がGBに事後的に及ばなくなるとしてもconversionの機会はあるでしょうから、その情報をウォッチしておけば良いと思います。

…とまあ、色々書いてみましたけど
「即座に影響は出ないけど、2年後以降は現状不透明」というのが今言えることかな、と思います。
引き続き情報は集めていきたいと思います。

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