弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【商標】施行規則の一部を改正する省令案(意外と?実務に関係ある)

2018年10月16日 08時19分07秒 | 実務関係(商・不)
おはようございます!
気が付けばすっかり秋の空気だなぁ、と感じる今朝の@湘南地方です。

さて、先週末にこっそりと(別にそういう意識はないのでしょうが)リリースされていた施行規則一部改正に関するパブコメ。
どんな中身かというと、…

商標登録出願をするとき、出願する商標をどの商品/サービスについて登録をしたいか、というのを願書で特定するのですが、その表記についてもルール付けがされています。
そのルール付けは施行規則でされており、これに対応して「類似商品・役務審査基準」が改正されることになります。

これ、意外と実務に影響があるものです。
今までOKとされていた指定商品表記がNG(補正対象)になったり、逆に認められていなかったものが認められるようになったり。
今回改正項目(案)として挙がっているものを2,3ピックアップすると…

(1)「日本酒」の表記が再び認められることに。
 以下引用。
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かつては「日本酒」を「泡盛、合成清酒、焼酎、白酒、清酒、直し、みりん」の上位概念として掲載していたが、平成27年12月に国税庁長官が日本で生産された"清酒"の地理的表示として「日本酒」を指定したため、平成28年版以降は「日本酒」の表示を削除していた。
(参考)酒類の地理的表示
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/hyoji/mokuji.htm

今般、「日本酒」は日本で生産された清酒を指す用語として一般の需要者に認識されるに至ったと認められることから、同表示を「清酒」の下位概念に属するものとして別表に再度掲載することとする。
あわせて、「合成清酒」も「清酒」の下位概念に位置させる。

==========================

分かりにくいと思うので平たく言うと…

①商標の世界では、昔は「日本酒」は「焼酎」も「清酒」も「泡盛」も含む概念だった (→この時点で一般的な認識とは異なる)
②国税庁(お酒の地理的表示は国税庁が所管)が、「日本酒」のブランド力向上の為に関係各所との調整の上「日本酒」の定義を明確化=日本の原料、日本で作ったものだけを「日本酒」と呼ぶことに
③一般の需要者に認識されるようになった(…というより、もともとその認識が大多数だったような…?)ので、改めて「清酒」の下位概念として「日本酒」の表記を認めることに

まあ、時代の変化に応じた適正化、といえばそうかも。

(2)「愛玩動物用~」→「ペット用~」
確かに、“ねえねえ、どんな愛玩動物飼ってるの?”って訊き方は日常会話ですることないもんなぁ(笑)
これが反映された審査基準が施行されると、過去の記載例に沿って「愛玩動物用~」という表記で出願してしまうと
6条拒絶がかかるのか、ファイル訂正がかかるのか、どっちだろ?


(3)なぜか今まで正式にはなかった「イヤホン」「トートバッグ」「タンクトップ」など。
少なくとも別表及び審査基準上ではこれらの記載は無かった。審査採用例としてこれらの語を含む指定商品表記が認められた例は複数あるけど。


とまあ、ちょっとマニアックだけど実務上大事なお話、でした。
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