ブラピが製作、主演した新作「ワールド・ウォーZ」を観た。
新しい切り口のゾンビ映画。なかなか面白い。
本作はウィルス感染により人間のゾンビ化が蔓延する世界で、
その解決策を探るために奔走する国連捜査官を追ったものだ。
ゾンビ感染をパンデミックとして描いている。
普段の平穏な日常にゾンビ病が蔓延したらどうなるのか、
あくまでフィクションだが、人間たちのリアクションが生々しい。
「人間を1人救えば、ゾンビが1体減る」というセリフが象徴的で、
オセロゲームのようなスピードでゾンビ化が進む。
本作で描かれるゾンビは身体能力が極めて高い。
走れば速いし、飛べばすごい跳躍力だ。そして獰猛でしつこい。
逃げても、あっちゅう間にかぶりつかれて、即ゾンビだ。
感染スピードも速いので、ゾンビ1体が起点となっても大量ゾンビに変貌してしまう。
まるで体内に入ったウィルスが血液を媒介し、一気に全身の細胞を蝕むかのようだ。
本作においては、このスピード感がとても重要で、
物語のスリルに巧くつながっている。
予告編含め、前情報をあまりインプットしていなかったので、
「そこで!?マジか!」とビビるシーンが多くて目が離せなかった。
また、ブラピ演じる主人公の捜査官のヒーロー像が面白い。
紛争地帯など様々な修羅場をくぐり抜けてきたサバイバルのプロフェッショナル。
何を捨てて何を取るかという判断を瞬時にできる男だ。
腕っ節の強さではなく、経験に裏打ちされた知能・スキルと
冷静な判断力によって危機的局面を次々と打開し、解決策を見出していく。
物語のヒーローをリアルで説得力のある人間に仕上げたことで、
虚構のゾンビ映画でありながら、世界観がグッと引き締まった。
物語のオチも素直に受け止められて頷いてしまう。
監督は人間ドラマのイメージが強いマーク・フォースターだったらしい。
本作のように、ジャンルは変わってもダイナミックな映像で魅せてくれる。多才だ。
家族愛はそんなに感じられなかったけど、これはこれでOK。
散々こすられてきたゾンビ映画であるが、ミステリー映画を観たような味わい。
だけど、本物のゾンビファンは本作のような映画はハマらないだろうな~
【65点】