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スター・トレック イントゥ・ダークネス 【感想】

2013-08-23 07:47:14 | 映画


今年の夏公開ハリウッド映画の中で、全米で最も評価が高かったのは、
「スター・トレック イントゥ・ダークネス」だった。ダントツである。

個人的に苦手な監督、J・J・エイブラムスの映画のなかで
唯一ハマった「スター・トレック」(2009年)の続編とあって公開を楽しみにしていた。

で、先週の先行上映で観に行った。

非常に面白い。そして男泣きの映画だった。

本作は、前作「スター・トレック」で描かれた世界の1年後に起きた事件を描いている。

都市部で大規模な爆破事件を起こしたテロリスト(ジョン・ハリソン)を、
前作から引き続きのエンタープライズ号の乗組員たちが追っかける話だ。

本作で特筆すべきは、完成度の高い脚本と、
ジョン・ハリソン演じたベネディクト・カンバーバッチの存在だろう。

130分というストーリーの中で、
これほど実の詰まった脚本は久しくなかったと思う。

本作では、若き乗組員たちの前作からの成長がしっかりと描かれている。
そして彼らの個性を有機的に結合させることで、展開を盛り上げることに成功している。
目まぐるしいスピードで物語が進む中、その形状は姿形を変えながら、
誰が欠けても成立しない絶妙なバランスを常に保っているのだ。
「うーむ!」と何度も劇中、唸ってしまう説得力。これが気持ち良い。

メインキャラである熱血漢で本能のままに生きるカーク船長と、
冷静沈着で論理派のスポックの名コンビは、前作に引き続き健在だ。
2人のテンポと温度差が楽しいばかりでなく、前作以上に合理的に機能している。
そして2人のクライマックスには完全にやられた(泣。
スポックの「奇跡なんてない」のセリフが実に秀逸だ。

前作では、勢いだけが先行して主人公としての器に疑念を抱いたクリス・パインであったが、
役柄同様、経験を経て落ち着きが出てきたようだ。カーク船長としてようやくしっくりきた。

そして、本作のもう1つの勝因はカンバーバッチだ。(シャーロック3、早く放送してくれー!)

彼に熱狂する日本女子たちの熱にやや冷ややかな目で見てしまうのだが、
その先入観をも忘れさせてしまう、素晴らしいパフォーマンスだった。
観る人を惹きつけるという意味で「カリスマ」という言葉がピッタリだろう。
狂気と哀しみを湛えた彼の佇まいと、凄みのある迫力により、映画がよりドラマチックになった。
ちなみに次のオスカー賞レースでは、彼が主演する別映画「TheFifthEstate」で
カンバーバッチが主演男優賞にノミネートされると密かに睨んでいる。。。

全編を通して情報を盛り込みすぎて、やや忙しない展開に、
作家性よりも商業色の強いJ・J・エイブラムスの影がチラつくが、
面白い映画なのは確かなので、降参だ。

日本での興行収入は50億(マジか!?)を目指しているらしく、
「人類最大の弱点は愛」だとかいう話題作り先行のイキった超訳や、
広告宣伝費の大量投下(おそらく今年の洋画の中で最大)に、
ちょっと抵抗感を感じているが、ヒットに相応しい映画だと思う。

乗組員たちは仲間であり、友人であり、家族だ。
正義と悪の区別なく、その絆が試される人間ドラマとしても見ごたえがあった。
前作同様、お約束みたいになっている、針の穴滑空もスリリングで楽しい。

だけど、やっぱ50億はないだろうな~。
20億いけば上出来だろう。

【80点】

コメント
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