「パイレーツ・オブ・カリビアン(シリーズ)」が苦手だ。
何もかもが曲芸に見えて、シラける。
今週末公開されたばかりの「ローン・レンジャー」は、
前評判通り「西部劇版パイレーツ・オブ・カリビアン」だった。
先月アメリカで公開されるやいなや、大コケ。
1ヶ月以上経った現在でも、2億ドル以上かけた制作費の半分も回収できていない。
ジョニー・デップ好きが多い日本での興行収入合わせても、たぶん赤字になると思われる。
Rottenでも27%のフレッシュで、批評家からも大ブーイングだった。
なので、完全にDVDスルーの予定だったが、一部の日本のレビューサイトで
意外な好評だったので「もしかして?」と思って観た。
本作は西部開拓時代のアメリカを舞台に、アーミー・ハマー演じる検事(ジョン)と、
ジョニー・デップ演じるインディアン(トント)が悪の一団に立ち向かう話だ。
2時間半という長い上映時間の9割が、退屈。
昔話を老人から聞いている男の子の眼が、クリッとしていて可愛いなーって思うくらい。
特殊メイクから連想されたように、ジョニー・デップはパイレーツ~に引き続きピエロだ。
トボけた言動がユーモアとなって、場を和ませる役割を担っているようだが、
狙いにいった笑いに「だからそういうの苦手なんだよなー」と苦笑。
だけど、劇場ではちゃんと笑いが起きていて、こうして響く人たちがいるから、
パイレーツ~シリーズもちゃんと日本でヒットするのだろうな。。。と再認識する。
「悪霊ハンター」と前情報で聞いていたトントは、悪霊ハンターではなく、
ちょっとはみ出しものの普通のインディアンだった。勿体ない。
「ローン・レンジャー」こと、アーミー・ハマーは本作の主人公に適しているかは別にして
彼の精悍な顔立ちとスケールのデカイ体つきは、こうした娯楽作とは相性が良い。
彼らのコンビ意外に大きな戦力になる白馬「スピリット・ホース」の存在が面白かった。
ありもしない超人(馬)的なパフォーマンスも、ファンタジーにおいては自然に映る。
ひたすら退屈と思えた本作だが終盤から、意外と面白くなってきた。
西部開拓時代は、入植者によるインディアン迫害の歴史でもあり、
そのあたりが結構真面目に描かれていた。「銀」資源もちゃんと絡めている。
インディアンの血を引くジョニー・デップがトントを演じたのも因果かも。
それとクライマックスのバトルが結構盛り上がる。
これは「ウィリアム・テル序曲」の音楽によるところが多分にあるが、
「パ~パララ~♪」お馴染みのメロディが高らかに流れ、
爆走する列車を舞台に、白馬に乗ったローン・レンジャーとトントが、
縦横無尽に敵を倒し、駆け回る姿はなかなか楽しい。
絶対に死なないという安心感があっても見ごたえがある。
観て後悔はなかったものの、他の監督、演出家だったら、
もっと面白く作れたのでは、と思う映画だった。
日本ではやたら「キモサベー!」とCMで連呼してるけど、
そのセンス、ダサいな。
【55点】