昨年から公開を楽しみにしていた「マジック・マイク」を観る。
期待値が高すぎたせいか、物足りなさも感じたが大いに楽しむ。
真夏のマッチョ祭りだ、わっしょい、わっしょい!!
観た場所は渋谷のル・シネマ。
全米で昨年大ヒットを飛ばしたが、日本ではウケないと踏んだのだろう。
元配給のワーナーは日本での配給は行わず、CCC(TSUTAYA)が配給した。
なので、公開規模は小さく、都心部での限定公開だ。勿体ない。
本作は、男性ストリッパーたちの生き様を描いたドラマだ。
物語はチャイニング・テイタム演じる主人公マイクと、
アレックス・ペティファー演じるアダムの2人を軸に展開する。
マイクは「マジック・マイク」と愛称を持つ、ストリップクラブのスターだが、
ストリップは自身の夢の実現に向けた資金集めのためにやっている。
一方、マイクと出会い、ストリップの世界に足を踏み入れたアダムは、
ストリッパーとしての才能を開花させ、その世界で生きがいを見出していく。。。
同じストリッパーでも違うベクトルを持つ、2人の交差が鮮やかに描かれる。
映画と肉体の相性はやはり抜群だ。本作で再認識する。
本作の肉体は男子の「筋肉」だ。
隆起した大胸筋に、綺麗に割れた腹筋、
後ろを向けば、締まりに締まった臀部がお目見えする。
研ぎ澄まされて光る肉体が、小さな舞台で躍動する。。。
ストーリー自体は特筆して面白いこともないのだが、
本作には、それだけでエンターテイメントなってしまう強さがある。
単に裸で踊るだけではなくて、ショーとして観客を楽しませる演出も盛りだくさんだ。
「ターザン」「ドクター」「軍隊」やら、趣向を凝らしたショーで盛り上げる。
そのベースには常に裸体があるのだが、そっちの趣味のない男子が見ても十分に楽しめる。
現在、ハリウッドで旬を迎えているチャイニング・テイタムが輝く。
本作は彼自身の実体験に基づいているらしい。演技はやはり巧くないものの、
経験者ならではのキレキレのダンスパフォーマンスはさすがである。
思っていたより露出不足だったのが残念だが、肉体の露出だけではなく、
体技で観客を沸かせるというのも、ストリップクラブのリアルなのかもしれない。
また、正統派ハンサム男子のアレックス・ペティファーや
海外ドラマで馴染みのマット・ボマーのエロい体はかなりの儲けものだ。
そして、クラブのオーナー役を演じたマシュー・マコノヒーがとても素晴らしい。
ショーの舞台裏では個性豊かなメンバーたちを結束させ、
最高のパフォーマンスに仕上げるために、独特のリズムで仲間たちの士気を高める。
「ここのタッチは禁止だぜ。だけど今夜は違反者がいっぱい出そうだな」(女子、キャーキャー)と、
舞台に上がれば、会場のボルテージを一気に上げる粋なMCと、
1ストリッパーとして、ド迫力のパフォーマンスを魅せる。
40を過ぎてあの肉体は犯罪だ。紐パンが最高に似合ってカッコよすぎる。
ときに経営者としてのドライな視点と、ベテラン相応の枯れ具合が、
勢いだけに走りやすい作品に、リアリティと深みを与え、本作を別次元の映画に引き上げた。
他作品を含め、2012年はマシュー・マコノヒーの年だったと言っても過言ではなかっただろう。
まったく趣味ではないが、もう少し露出多めに魅せたほうが面白かったと思う。
余計な描写をそぎ落とし、淡々と画を組み立てる監督ソダーバーグならではといったところか。
だけど、マイクと女子のロマンスはやや不十分で、ちと残念。
昨年、全米でヒットした理由は全米女子たちのアツい支持があったようで、
劇場では観賞中、女性たちの黄色い歓声を上がっていたらしい。
劇中でも印象的だったのが、男性ストリッパーたちが舞台から降りる接近に対して、
遠慮なく、興奮してリアクションをとっていくところだ。正直な肉食系女子たちだ。
「フルモンティ」のブヨブヨ体型のおっちゃんストリッパーに、ノリで盛り上がるのとは違う。
自分が見た劇場では大半が女子で、その健全ぶりに安堵したが、
さすがに歓声は上がらなかった。一部、男子外国人2人組のリアクションが大きかったくらい。
本作に限らず、日本もアメリカくらい劇場でリアクションできれば、
日本の映画文化も変わるんだろなーと思った。
【75点】