文化庁が言葉の本来の意味を解説しているページに「ことば食堂」があります。
今日は、その中で7月3日に公開された第6話「雨模様」をご紹介します。
「ことば食堂」では、動画で雨模様の本来の意味を紹介しており、その内容は次のようなものです。
ある会社での同僚の会話です。
「天気はどうですか?」と聞いた後輩に、先輩は「雨模様」と答えました。
すると後輩は、「傘を持っていないので誰か貸してくれないかな。」と言うと、
先輩は、「傘要らないのじゃない?降りだすのは夜からみたいだし。」と答えます。
すると後輩は、「今、雨降っていると言いましたよね。」と先輩に言うと、
先輩は、「言っていないよ。」と言いかえします。
後輩、「だって外は雨模様なんでしょう?」
先輩、「そうだよ。雨模様だよ。」
と言う会話です。
さて、皆さんは「雨模様」の本来の意味は「雨が降ったりやんだりしている様子」でしょうか?
それとも、「雨が降りそうな様子」と言う意味でしょうか?
どちらだと思いますか?
「雨模様」を辞書で調べてみると、
・「日本国語大辞典」」では、あめもよう【雨模様】:雨が降り出しそうな様子。あまもよう。雨催(あまもよい)。
・「岩波国語辞典」では、あめもよう【雨模様】:今にも雨が降りそうな空の様子。あまもよう。あまもよい。 ▽雨の降る様子を言うのは誤用。
・「広辞苑」では、あめもよう【雨模様】:雨の降りそうな様子。あまもよい。
と説明しています。
このように「雨模様」は本来、「雨が降りそうな様子」を示す言葉で、元々は「あまもよい」「あめもよい」と言われていました。
平成22年度の「国語に関する世論調査」では、本来の意味である「雨が降りそうな様子」と答えた人が4割台前半で、本来の意味ではない「小雨が降ったりやんだりしている様子」と答えた人が4割台後半という結果だったそうです。
平成22年度と平成15年度の調査結果は次のようです。
例文:外は雨模様だ。 平成22年度 平成15年度
(ア)雨が降りそうな様子・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43.3% 38.0%
(イ)小雨が降ったりやんだりしている様子・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 47.5% 45.2%
(ア)と(イ)の両方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4.8% 9.4%
(ア),(イ)とは全く別の意味・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3.2% 6.3%
分からない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1.2% 1.1%
年代別にみると2回とも30代から50代では本来の意味でない方を、20代以下と60歳以上の層では本来の意味の方を選んだ割合が高くなっています。
元々、この言葉は『あまもよい』とか『あめもよい』と言われていました。
ここで言う『もよい』とは、『催す』の意味で、雨を催す、つまりこれから降りそうなと言う意味が模様に変化したものです。
ところが「催す」と言う意味が忘れられ、「模様」を「様子」の意味と捉えたことから、雨が降っている状況をイメージするようになったようです。
雨模様の本来の意味は、「雨が降りそうな様子」ということで、未だ雨が降っていない時に使う言葉です。
「雪模様」と言う言葉もありますが、こちらも同様です。
間違って使用しないように気をつけたいものですね。