らいちゃんの家庭菜園日記

家庭菜園、家庭果樹栽培及び雑学日記

けったい

2015-10-20 | 地元紹介

大阪弁に「けったい」と言う言葉があります。
関西以外の方には意味が分からないかもしれませんが、標準語でいうと、「まいったな、なんだよアイツ」とか「まったく、手に負えないな、ああいう手合いは…」といった時に使う「ちょっと変わった人」、「奇妙な奴だな」などの意味の言葉になります。
このような時に大阪では、「ほんま、けったいな奴っちゃなあ…」と嘆息するのが一般的なのです。

「けったい」とは、「けたい(卦体)」とか「きたい(希代)」が変化したもので、不思議なさま、奇妙なさま、世にもまれな様子を意味する言葉です。
広辞苑でも、ケタイ卦体の転、(上方方言)、風変わりなさま、奇妙なさま、不思議なさま。と説明しています。

「けったい」は、坪内逍遙が『桐一葉(きりひとは)』の中で、「けったいなことの続くのは、何か変事のある知らせ」と、使っている事から、少なくとも明治時代には、標準的な日本語だったことが窺える言葉と言われていますが、現在では大阪の方言として残っているだけのようです。

浪花では、ちょっと風変わりな人とか、普通の人とはひどく変わっている者、意固地な人などを称して「けったいな人」、という場合が多ですが、他にも、にっちもさっちもいかないトラブルに見舞われたりすると、「けったいなことに、なってしもうたなあ」とため息まじりに言ったりもします。
更に、浪花商人の間では、「けったい」と言われることは、ときにその人の才覚やオリジナリティが認められた称号であったりもします。

一方で、ドラマのシーンなどでたまに見かけますが、上品な大阪の女性がこの言葉をしなやかに使うと、とても愛情にあふれていて艶っぽく聞こえることがあります。
例えば、ちょっと遊び上手な憎めない若旦那が、店のおかみに悪ふざけをしたりすると、すかさず、女将が「いややわ、けったいな人」と、たしなめたりするシーンです。
このような場面には現実には出会わないかも知れませんが、この「けったい」と言う言葉は浪花人情物語が進展していきそうな味のある言葉ではないでしょうか。