最初の人間


 Le Premier Homme 見てきました。

 フランスは幸せです。イタリアという先輩、客観的な目を持っているから。
 アルジェリアとフランスの関係については『アルジェの戦い』が、ポンテコルヴォというイタリアの監督の作でした。
 カミュに関してはヴィスコンティの『異邦人』があるんですが、これはまあ、パス。

 「最初の人間」というのは、DNA的には人類発祥から綿々と続いているものながら、精神と呼びうる精神をもった存在は、この作品におけるジャックが最初の人なので Le Premier Hommeなのだ、というのが第一の意味だと思います。
 彼の母が文盲だというのがそれを裏付けています。
 本当はこの母の役は、休みない辛い労働の人生で「人格」という贅沢品を持ち得なかったような顔の人にやってもらうとそれがはっきりしたはずですが・・・ これが「映画」というものの限界です。

 爆弾テロのシーンが出てきます。
 このテロを実行していたのがFLNで、現在もアルジェリアの政権にある「グループ」です。
 先日の人質事件でテロリストを倒した側の人たちです。正当な政府であり、その軍は公認された軍です。

 ということを言って、お前は何が言いたいのだと問われるかもしれません。
 わたしも、なんと言っていいか、分からないです。

 ただこの映画の雰囲気は、見る前に想像するような暗く、重いものではないように思います。
 あまりにも問題が明白に見え、そこには「正解」などあるわけがない、ということがあっけらかんと見えすぎるから?
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