懐かしい雪 新潟(2)


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 新潟国際情報大学でアルジェリアの民衆音楽と現代史についてお話しさせていただいたのはもう昨年のことですが、ご報告がまだでした。続けますね。

 みずき野キャンパスはかなり郊外にあるのですが、しっかりした建物で、IT設備も申し分ないように見受けられました。学生さんたちは余裕がある感じで、楽しそうでした。

 階段教室横の窓からは、今冬初の雪が見えました(↑)。なんとなく懐かしさを覚える雪景色でしょう?
 お話をした日に新潟を離れましたが、翌日の夕方に金沢でも雪が降り始めました。

 わたしを呼んでくださった小山田紀子先生は、ハレドの最初の日本公演を聞きに行かれたという歴史的ライ・ファンです! マグレブ研究の権威で、マグレブ研究会や『マグリブへの招待』などでご一緒したご縁から、新潟でお話をさせていただくことになりました。

 びっくりしたのは、平山征夫学長がわざわざわたしのお話を聞きに来られたことです(学長は元の新潟県知事です。すごいですね)。
 学長さんはエンリコ・マシアスがお好きだということで、アラボ=アンダルス音楽に触れたついでに少し彼の声を聞いていただくことができてよかったです。彼はシャンソンの人気歌手であると同時に、アンダルスの一派マァルフの伝統を継ぐ人なのです。

 帰りに新潟駅までわたしを送ってくれた学生さんは、卒論でライをやりたいということでした。やりがいのある、いいテーマです。頑張ってください。

 ライを扱うということはイスラム、アラブ、植民地主義、ポスト植民地主義、第三世界、失業、原理主義テロ、フェミニスム、移民、統合などなど、現代世界のほとんどすべての主要問題に目を配ることになるのです。

 ライで卒論を書くというので、わざわざ金沢のわたしのところまで話を聞きに来た東大生がおりました。彼女はその後、朝日新聞に入社して活躍しています。

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知の多様性

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 フランス極東学院 Ecole francaise d'Extreme-Orientは、東洋各地ですごい重量感のある研究を地道に、長年にわたって続けている機関です。そこに蓄積されている知の質と量は、ものすごいものです。
 ただ、基本的にフランス語によるものです。

 上記のサイトにも当然ながら英語バージョンがあります。
 そのうち、蓄積されている知の本体も英語化されていくことになるのではないでしょうか。
 その方が世界の人にとってアクセスしやすいものだから、どうしてもいつかはそうなると思います。
 そしてそうなると、フランス語を苦労して学ぼうというモチベーションはまた薄れることになるはずです。単純に考えれば。

 しかし、わたしはどうしてもワールドミュージックの現状から考えてしまうので、こういう「知の多様性」に関係する領域では、フランス語がなんらかの形で存在感を残すような気がするのです。

 なぜそういう気がするか、その理由を簡単に言うとどうなるか、考えました。

 こんな言い方ではどうかと思います:

 英語の親玉国といっていいアメリカ合衆国が、本当の意味で多様性を追求してしまうとバラバラになる国だから。そしておそらくそういう方向性を持つことはない国だから。



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