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87章解説

2011年08月18日 | ジュズ・アンマ解説

بسم الله الرحمن الرحيم
1. 至高の御方、あなたの主の御名を讃えなさい。
2. かれは創造し、整え調和させる御方、
3. またかれは、法を定めて導き、
4. 牧野を現わされる御方。
5. それから、浅黒く枯れた刈株になされる。
6. われは、あなたに読誦させるようにした。それであなたは忘れないであろう。
7. アッラーの御望みがない限りは。本当にかれは、表われたものと隠れたものを知っておられる。
8. われはあなたに(道を)平坦で、安易にするであろう。
9. だから訓戒しなさい。訓戒は(聞く者に)役立つ。
10. 訓戒は、主を畏れる者に受け入れられよう。
11. だが最も不幸な者は、それを避けるであろう。
12. かれは巨大な炎で焼かれよう。
13. その中で、死にも、生きもしない。
14. だが自ら清めた者は必ず栄え、
15. かれの主の御名を唱念し、礼拝を守る。
16. いや、あなたがたは現世の生活の方を好む。
17. 来世がもっと優れ、またもっと永遠なものであるのに。
18. これは本当に、昔の啓典にあり、
19. イブラーヒームやムーサーの啓典にもある。

 この章は、アッラーへの称讃につながり、またアッラーの使徒に、信仰の民が益する良いアドバイスを与えるよう呼び掛けているアッラーの偉大な御力の現象のいくつかを解明します。また、勝利とは、罪や間違いから清まる機会を得られることであるとも解明します。

 まず、人間の目を、アッラーの偉大さに向けさせ、またかれを讃え、かれから全ての欠点とかれに相応しくないあらゆる属性や動きを退ける呼びかけに向けさせることから始まります:「至高の御方、あなたの主の御名を讃えなさい」かれこそは、すべての上に、その所有力と権力で、存在し給う御方です。

 至高なるかれは:「創造し、整え調和させる御方」、つまり、ものを創り、その創造を調和させ、整え、被造物の姿を、アッラーの叡智に適った形にし給いました。それらは、意図された益のために準備されたのです。人間の創造の秘密について考えてみてください。その消化や呼吸器官の構造、聴覚、視覚の細かさ、血管、両手、両足にきっとあなたは驚くことでしょう。また、人間の命が成り立つための全ての器官にも。加えて、他の被造物にはない、理性にも驚愕することでしょう。

 クルアーンは、アッラーの御力の現象のいくつかを述べます:「またかれは、法を定めて導き」つまり、この地上にあるすべての被造物に、任務を与えたということです。アッラーは人間を善い道と悪い道に導き、この二つの道を解明してどちらかを選べるようにし給いました。また、アッラーは生き物らをそれら行き方に導き給いました。そのため、動物や虫の専門家たちは、彼らの生き方や、その種の守り方、住処の作り方、繁殖のし方、特別なひらめきによるとしか説明できない、その卵の守り方に驚愕したのです。クルアーンは、このひらめきをアッラーが元となっている「導き」と名付けています。

 植物の発芽における、アッラーの御力の表現をクルアーンは続けます:
 「牧野を現わされる御方。それから、浅黒く枯れた刈株になされる。」
 アッラーは大地から、さまざまな種類の植物から成る、家畜用の牧野を出現させ給いました。そしてこの草は乾燥し、枯れ、黒に近い色に変わり、風が吹くと飛んでいってしまいます。現世の命はこのようであるのです。現世にあるあらゆるものは、消滅に向かっているのです。

 続けてクルアーンは、アッラーは御自身の使徒ムハンマド(平安と祝福あれ)が、大天使ジブリールよりクルアーンを受け取り、それを決して忘れないことを解明します:

 「われは、あなたに読誦させるようにした。それであなたは忘れないであろう。アッラーの御望みがない限りは。本当にかれは、表われたものと隠れたものを知っておられる。」

 アッラーは仰せになります:ムハンマドよ、このクルアーンをあなたに読ませよう。それであなたは、アッラーが取り消しのために忘れさせるよう望み給う以外に、決してクルアーンを忘れないだろう。本当にかれは、言葉や行為といった、しもべたちが表に出すことも隠していることも知り給う。そういったものはすべて、かれに隠れることなどないのである。

 以上は、実際に起きた、不可視の消息の一つでした。ムハンマド(平安と祝福あれ)は、文盲であったにもかかわらず、この長々としたクルアーンを暗記し、その一部分をも忘れたことなどないのでした。

 続けてアッラーは、使徒ムハンマドに語りかけ給います:「われはあなたに(道を)平坦で、安易にするであろう。」つまり、ムハンマドよ、あなたのために、善行を容易なものにしよう。それこそが、アル=ユスラーです。イスラーム聖法は、そのすべてが善であり、容易な道に導いてくれる法なのです。クルアーンは、雌牛章の中で、アッラーは、彼らに施行し給うた全てのことにおいて、人間に易しきを求め給うていることを示しています:「アッラーはあなたがたに易きを求め、困難を求めない。」(雌牛章185節)

 アッラーは、人が二部に分かれると仰せになります:知らされる真実や善から、訓戒を得、益を得る者たちで、自分の成功と幸福となります。もう一部は、本質自体が腐ってしまい、向けられた訓戒が何の影響も齎さないような人たちです。彼らは、永遠のアッラーの罰を受けるに相応しい、不幸せな者たちです:

 「だから訓戒しなさい。訓戒は(聞く者に)役立つ。訓戒は、主を畏れる者に受け入れられよう。だが最も不幸な者は、それを避けるであろう。かれは巨大な炎で焼かれよう。その中で、死にも、生きもしない。」

 至高なるアッラーは仰せになります:ムハンマドよ、アッラーの導きを人々に思い出させ、彼らを訓戒し、アッラーの罰を警告しなさい。「だが最も不幸な者は、それを避けるであろう」訓戒から遠ざかる不幸者で、それを受け入れません。「かれは巨大な炎で焼かれよう」つまり、最大の炎で焼かれる、です。地獄の中でのその激しい熱さと、罰執行人の厳しさから来る痛みのため、このように呼ばれます。「その中で、死にも、生きもしない」つまり、不幸者はその中で死んで、休むことも、自分を益するような生き方もないということです。

 「だから訓戒しなさい。訓戒は(聞く者に)役立つ」この節には、社会に、訓戒や指導、選ばれた教えを人々に思い出させる義務にあたる者を常に置くようにとの指導があります。なぜなら社会には、それらを受容できる先天的余裕があるためです。代わって、訓戒から顔を背けることは、道徳心の崩壊と、腐敗の広まりを招きます。

 続いてアッラーは、勝利と救いは、多神信仰と罪業から清められ、善行で自分を成長させた者に与えられます。その意味は、次の御言葉です:「だが自ら清めた者は必ず栄え」この御言葉にアッラーは以下を追加し給います:「かれの主の御名を唱念し、礼拝を守る」つまり、唯一のアッラーを崇め、心と舌でかれを想い、五回の礼拝に立った者を指します。

 またアッラーは、現世の生活を優先することは、害の基礎であると解明し給います。なぜならそれは、訓戒を聞いて、受け入れることから、人間を離れさせるからです。これは、消えゆく現世の本当の姿に人々が留意するように、そして現世に優る、永遠に残る来世のために働くようにとの警告なのです:

 「いや、あなたがたは現世の生活の方を好む。来世がもっと優れ、またもっと永遠なものであるのに。」

 アッラーは次の御言葉で章を締めくくり給います:
 「これは本当に、昔の啓典にあり、イブラーヒームやムーサーの啓典にもある。」

 つまり、この章が含んでいる全ての意味、もしくは、「だが自ら清めた者は必ず栄える」から、「永遠なものであるのに」までの御言葉は、イブラーヒームとムーサー(お二人に平安あれ)に啓示された啓典と同内容である、ということです。

(参考文献:ルーフ・アル=クルアーン タフスィール ジュズ アンマ/アフィーフ・アブドゥ=ル=ファッターフ・タッバーラ薯/ダール・アル=イルム リルマラーイーンP89~93)


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