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81章解説【1】

2011年11月22日 | ジュズ・アンマ解説

ビスミッラーヒッラフマーニッラヒーム

1.太陽が巻き上げられ(その光が失われ)た時、

2.そして星々が流れ落ちた時、

3.そして山々が動かされた時、

4.そして妊娠10ヶ月の身重ラクダたちが放置された時、

5.そして野獣が追い集められた時、

6.そして海洋が燃え上がった(溢れた)時、

7.そして魂が(肉体と)組み合わされた時、

8.そして生き埋めにされた女児が

9.己はどんな罪で殺されたかと問われた時、

10.   そして(行状の)帳簿が開かれた時、

11.   そして天が剥ぎ取られた時、

12.   そして焦熱地獄が燃えあげられた時、

13.   そして、楽園が近寄せられた時、

14.   魂は己が持ってきたもの(帳簿に記載された行状)を知る。

 

 この章は、イスラーム信仰の二つの真実を扱っています。

 一つ目:審判の真実とそれに関連した、恐れを思い起こさせるような大地の混乱や壮大な出来事について。

 

 二つ目:ムハンマド(平安と祝福あれ)に与えられた啓示の真実と、啓示を携える大天使ジブリールの性質やそれを宣揚する預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)について。

 

 審判の現象の一つに、「太陽が巻き上げられ(その光が失われ)た」があります。巻き上げられるとは、その各部分が一つになること、太陽が落ちること、その光が隠されることを指します。太陽が高熱で燃えている大量のガスが集まった星であることは有名です。地球上に存在するすべてのエネルギーや生を感じさせるものは太陽が発するエネルギーが由来しています。そのため、その光が遮られ、その場所から動かされてエネルギーが消えることは、地球に住むすべての生き物の死を意味することになります。

 

 また審判の他の現象の一つに:「そして星々が流れ落ちた時」つまりそれらが散らばり落ちて、光を失うことを指します。中くらいの星の大きさが太陽と同等であることと、星の数が数えきれないほどでアッラーにしかその数を知らないことを考慮すると、これらの星が流れ落ちることの恐ろしさが理解できます。

 

 審判の他の現象:「そして山々が動かされた時」おそらく、どこかの天体が地球に近づくことでその引力を原因に山々が引き抜かれることを指します。

 

 他の現象:「そして妊娠10ヶ月の身重ラクダたちが放置された時」妊娠して10ヶ月を迎えたラクダは、アラブ人たちにとって最も価値のある富の一つでありました。ある人が貴重なこのラクダを所有していたとしても、かの日になるとその存在を無視してしまいます。それほどにかの日の出来事は重大なのです。

 

 他の現象:「そして野獣が追い集められた時」相当の数で集められますが、彼らはお互いに敵対したり、弱者を餌食にすることを考えません。なぜなら彼らに降りかかった出来事と地球に起きた変化以上の関心事がその日にないからです。

 

 他の現象:「そして海洋が燃え上がった(溢れた)時」海洋が溢れ、一つになります。山々が砕かれて膨大の量のその土が散らされると、海の大部分が流れ込んできて一つになると考えられます。

 

 他の現象:「そして魂が(肉体と)組み合わされた時」魂の本質については、アッラーのみが御存知です。魂は身体の消滅で消えることはありませんので、死後もそのまま残ります。審判の日には、アッラーが新しい形として創り給う体に魂が返されます:「おまえたちの同類を取替え、(復活の日に)おまえたちをおまえたちの知らないものに創生し(直す)ことに対して(われらは先を越されない)。」(5661節)そのため審判の日の再生は、魂と身体と共に起こるのです。「そして魂が(肉体と)組み合わされた時」の他の意味に、性質において似た魂同士が集まるともあります。

 

 他の現象:「そして生き埋めにされた女児が」昔のアラブ人は、貧困か女性を捕虜や奴隷にされることといった不名誉を恐れて、女児を生きたまま埋めていたのでした。特に部族間で争いが起こっている間にそのようなことが行われました。女性は誘拐されると、誘拐した側の所有物つまり奴隷となるのでした。そして生き埋めにされた女児は尋ねられます。彼女に対する質問と表現は、生き埋めという問題全体を重要視することを指します。なぜなら生き埋めにされた女児に責任がないどころか、彼女は被害者だからです。また加害者、殺害者が犯した罪を問うということは、女児を殺した者への侮辱、クルアーンが恐ろしい行為であるとしたこの犯罪を危険視していることを指します。またクルアーンはそれを天変地異の描写の中に組み込みました。「己はどんな罪で殺されたかと問われた時」殺害によって無実の命を奪う者たちに対する脅迫です。不当に命を奪う行為は、厳しい罰が約束された最も重く罪の一つで、クルアーンの多くのアーヤがそれについて言及しています。また殺害は、審判の日に人間が第一に清算される罪です。預言者(平安と祝福あれ)は言われました:《(殺害のために流れた)血についてしもべたちは第一に裁かれます》(アル=ブハーリー、ムスリム)

 

 他の現象:「そして(行状の)帳簿が開かれた時」それは行為が記された帳簿です。それが広げられるとは、死ぬ時に閉じられ、それが再び開かれることを指します。その帳簿には、天使が記した人々が現世で行った善いこと、悪いことが載っています。審判の日には、人々に見えるように彼らの前で開かれます。

 

 そして人間の帳簿が開かれるという表現には暴露の意味が含まれます。人間が生前に行っていた、覆うことに励んでいた隠された罪といったすべての行為が審判の日には皆の前に広げられます。

 

他の現象:「そして天が剥ぎ取られた時」カバーが剥ぎ取られるように天は元の位置から剥ぎ取られます。これは地球に起こるであろう変化の描写です。地球は元の形のまま存在し続けないということです。「大地が大地でないものに替えられ、そして諸天も諸天でないものに替えられ」(1448節)

 

 そして審判の日の最後の光景が続きます。それはアッラーが罪人たちに準備し給うた地獄の描写です。「そして焦熱地獄が燃えあげられた時」点火され、火が強化される様子です。

 

 それに対応するように、敬虔な者たちの楽園の描写が続きます:「そして、楽園が近寄せられた時」つまり、敬虔な者たちに近づくことです。

 

 以上すべては、この章が述べた審判の日の光景です。それら全てが起こる時:「魂は己が持ってきたもの(帳簿に記載された行状)を知る」ナフス(魂)に定冠詞がはずされていることで、魂全てが知る、という意味になります。各魂は、行ってきた善悪について、天使が記していた帳簿が持ってこられることで知ります。アッラーは次のようにも仰せになっています:「誰もが己のなした善を眼前に、また己のなした悪をも見出す日、己とその(悪事の)間に遠い隔たりがあればなぁ、と望む」(330節)

 

(参考文献:ルーフ・アル=クルアーン タフスィール ジュズ アンマ/アフィーフ・アブドゥ=ル=ファッターフ・タッバーラ薯/ダール・アル=イルム リルマラーイーンP4548

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