pippiのおもちゃ箱

舞台大好き、落語大好き、映画大好き、小説大好き、猫大好き!なpippiのつれづれ日記です。

父と暮せば@俳優座劇場13列センター

2018-06-13 20:25:32 | 観劇/コンサート

作:井上ひさし
演出:鵜山仁
出演:山崎一 伊勢佳世

あらすじ

舞台は昭和23年の広島。3年前の原爆投下で大勢の人々が犠牲となるなか生き残った主人公福吉美津江は、生き残った負い目を感じながらひっそりと暮らしている。そんなある日、原爆資料集めに情熱を注ぐ青年に好意を示され、いつしか美津江も彼に魅せられていく。しかしそんな恋心を美津江は黙殺しようと必死になる。しあわせの一歩手前で躊躇する美津江に、父の竹造が恋の応援団長として、あの手この手で美津江のかたくなな心を解きほぐそうとする。


辻萬長さんと栗田桃子さんがずっと演じてきたこの父娘の物語を、山崎さんと伊勢さんがどう演じるのかなあ・・と思いつつ俳優座劇場へ。

ポスターは、なんと「旅の絵本」の安野光雅氏。入口には井上麻矢さんがにこやかにお出迎えされてました。今日は関係者の方が多い様子です。

13列は後ろから2列目ながら、とても見やすかったです。オープニングの雷を怖がる美津江さんに声をかける父の姿から、なんだかもう泣けてしまいました。雷が怖い娘、大丈夫、ここにおいでと優しく声をかける父。

原爆という究極の悲劇の中で生き残ったことに引け目を感じ、幸せになることに罪悪感さえ持ってしまう娘。彼女を励まし続ける父の幻。。。この父と娘が本当に切ない山崎さんの「おとったん」素晴らしいです原爆瓦を桃太郎の鬼退治の話に取り入れようとするうちに、何故広島の瓦があんなに毛羽立ってしまったのかを語る場面では、セットはバラックのようになった福吉旅館のままなのに、1万2千度の灼熱地獄と化した広島の光景が目の前に広がるような錯覚に陥りました。そう、まるで落語のように情景が浮かび上がる素晴らしい表現力。脱帽です。

伊勢さんもしかり。どちらかといえばクールな外見ながら、トラウマを抱え自分の幸せを考えることに臆病になる美津江さんの不安と悲しみがばんばん伝わってきました。

この父娘の秘密も結末も知っているのに、もう前が見えないほど涙が出てしまいました。やっぱり名作。核の恐怖に晒されている時代、どっかの国のあの方々にもこの作品を観てほしいと心から思いました。

右後方に演出の鵜山仁さんが座っておられました。カーテンコールの時、そちらにも拍手したい気持ちになりました。

コメント
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