四世鶴屋南北・作
串田和美 演出・美術
薩摩源五兵衛実ハ不破数右衛門 中村 橋之助
芸者妲妃の小万実ハ神谷召使お六 尾上 菊之助
船頭笹野屋三五郎実ハ徳右衛門倅千太郎 中村 勘太郎
芸者菊野 坂東 新 悟
若党六七八右衛門 中村 国生
徳右衛門同心了心 笹野 高史
船頭お先の伊之助 片岡 亀蔵
富森助右衛門/家主くり廻しの弥助実ハ神谷下部土手平 坂東 彌十郎
<あらすじ>
売れっ子芸者小万と夫の三五郎はある事情から大金が必要となり、仲間と共謀して小万に惚れ込んでいる浪人薩摩源五兵衛から百両を騙し取ります。裏切られたことを知った源五兵衛はその夜、三五郎の仲間五人を斬殺。三五郎夫婦は命からがら逃げ出して、復讐の影に怯えながら暮らしていましたが、ついに居場所をつきとめられ、小万は源五兵衛の手にかかり無残に殺されてしまいます。さらに三五郎が手に入れた百両は皮肉にも源五兵衛のもとへ。やがて、そもそもこの悲劇のはじまりは些細な行き違いだったことが明らかになります。
三五郎が金を必要としていたのは、父の旧主、塩冶の浪人不破数右衛門に討ち入りの資金として渡すためで、源五兵衛こそその数右衛門だったのです。お互いの顔を知らぬ不運からとはいえ主を騙し、復讐の鬼にしてしまったことの責めを負い、さらに源五兵衛の罪をも被ろうと三五郎は腹を切ります。源五兵衛は、巡り巡って自分のもとに届いた百両と、三五郎夫妻が手に入れていた高家の絵図面を携え、討ち入りへと向かうのでした―。(公式HPより)
ネタバレご注意
いや、この上 歌舞伎にまで手を出すと危険・・と思って控えていましたが、「たいこどんどん」で遭遇した先輩から「絶対みるべきよ。串田さんの歌舞伎面白いから!」とすっかりその気にさせられ、衝動的にチケットをとってしまいました。・・・・しかも平場席。おなかにはたっぷりの肉あれど、貧尻なためかなりキツイ体勢の体育座り3時間10分(休憩20分)でした。
先日このコクーンでちゃらキャラの若旦那を演じた橋之助 さんが、凄まじい色悪。最初は三五と小万にまんまと騙される人のいいお侍・・・かと思いきや、騙され裏切られたと知るや、怖ろしい復讐鬼となり・・・・まあ、こわいこと怖ろしいこと・・・絶対許してくれない非情の源吾兵衛。大量殺戮現場となる家がぐるぐる回って、どこまでも追いかけてくる源吾兵衛がマジ怖い。しかし、騙され奪われた百両が実は・・・というところから次第にこの話が忠臣蔵とつながっていくことが分かってくるのですが、そのぐるぐるめぐる因果の渦が切なくもあり悲しくもあり、そんなわけがあったのにあんなことまでしちゃったのか・・・と、雨にうたれ血だらけになり生首を懐に茫然と客席通路を行く橋之介さんは、本当に鬼気迫るものがありました。舞台に大雨が降るのは経験済みでしたが、通路にまでミストが降り注ぐのは初めて。私は通路近くの席だったので、いそいで配られていたビニールを使いました。
勘太郎さんと菊之助さんがきれいでした。最初からふたりともあんまり悪人には見えないのですが、「大義のため」なのでそれでいいのかも。(でも、小万さんはあそこまでひどい殺され方するとは・・・)小万さんの生首のそばでご飯を食べてる源吾兵衛さんが怖かったです。最後のシーンで、勘三郎さんが声の出演をしています。そして、串田さんのオリジナル演出と思われる幻想的な回想シーンが素晴らしかったです。笹野高史さんの時事ネタも笑いをとって、串田さんがどんなに笹野さんを信頼しているかがしのばれました。音楽もチェロを多用するなどステキな演出
ロビーは歌舞伎グッズやら人形焼き、そうめんにおだんごなど、縁日のようなにぎやかさでした。文化村地下ではドゥマゴパリ祭でワゴンがいっぱい出て、江戸とフランスが隣り合わせみたいで楽しかったです。
・・・でもやっぱり私ダメ。血しぶきに生首ムリ。今夜のJIN最終章前編も手術シーンは半分目をつぶってしまいました。。。。でも、龍馬さんステキでした。。。。合掌。