ずっと観たいと思っていたこの映画。ようやく行ってきました。
役所広司、アヤカ・ウィルソン、阿部サダヲ、上川隆也、加瀬亮、山内圭哉、妻夫木聡、土屋アンナ、劇団ひとり、国村隼、小池栄子などが出演。中島哲也監督。
事故で両親を失い、その事故でたった1日しか記憶が保てない少女パコのため、すてきな思い出を作ってあげようと奮闘する大人たちを描いたファンタジーです。阿部サダヲさんが、パコが毎日読んでいる絵本「ガマ王子vsザリガニ魔人」の作者:堀米として、また絵本の中のヤゴ(?)として、狂言回しを引き受けています。これがとってもいい感じ。
「くそじじい:大貫」を演じる役所さん、コスプレ好きの医師上川さん、大貫さんの息子・加瀬さんの妻で看護婦の小池さん、元有名子役で大人の役者に脱皮できない妻夫木くん、おかまの国村さん、ズベ看護婦の土屋さん、ヘタレ消防士の劇団ひとり、みーんな快演。予告編でよく見る役所さんと上川さん、割りと素のままのひとりくん以外、最初は誰と思うほど造りこんでいます。カメオ出演(?)彦麻呂さんはわかったけれど、貫地谷しほりさんはどこに出てたかわかりませんでした。出演者みんなすっごく楽しそう。これは「無垢な少女と弱虫な大人たち」をめぐる、大人の童話ですね。涙を止める方法を聞くくそじじいに、医師が「いっぱい泣けば涙は止まります。」そうですね。大人になると、涙はこらえたりかくしたりしてしまいます。人目も憚らず号泣する。なかなかできないからこそ、それを許された時、心が解き放たれていくんでしょう。役所さんと山内さんが声をあげて大泣きする場面、客席のありこちですすり泣きが聞こえてきました。
パコをハーフの女の子にしたり、CGを多様し極彩色に仕上げていることで、まるでドリーム・ワークスのアニメと見紛うような世界になっています。実写との融合が全然不自然でなく、絵本の中に入ったような不思議な感覚におそわれました。・・と思ったら、中島監督って、「嫌われ松子」の監督だったんですね。あの作品はちょっと話自体が惨すぎて苦手でしたが、これは何度でも観たいです。吉田剛太郎さんや新妻聖子さんの舞台版「MIDSUMMER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人」を観なかったことを、海より深く後悔しました。