小幡憲仁 議会活動日記

よく考える政治!
20年後の高浜をイメージし、今の政治を考える。

西村幸夫町並み塾

2004年05月15日 | 活動日記
朝、和田保育所の清掃奉仕に途中まで参加し、その後、石川県加賀市大聖寺で開催された西村幸夫町並み塾に参加しました。西村氏は東大教授で、都市計画、都市保全計画、市民全体のまちづくり論などが専門です。世界遺産の評価を行う国際会議の副会長も務めておられます。
第27回全国町並みゼミ大聖寺大会ということで、加賀市で4ヶ月連続で(4回)、各地で町並み保全運動を実践されている方々を招いて、その活動についてお話しいただくことになっており、今回が2回目です。今回の会場は、蘇梁館という昔の北前船主邸を移築した立派な建物で行われました。

今回のゲストは沖縄県竹富島で、町並み保存の中心として活躍されている、上勢頭芳徳(うえせどよしのり)氏です。氏は、長崎県出身なのですが、竹富島の魅力に惹かれ、ここに移り住んで、この島の町づくりに関わってこられました。よそ者、若者、バカ者でないと町づくりはできないそうです。(バカ者とはもちろんいい意味での)

最初に、竹富島のスライドを身ながら、上勢頭氏が町並み保存の取組みについて説明し、その後、西村教授とトーク形式で更に詳しくお話しいただくというスタイルで進められました。

現在、全国で文化庁から伝統的建造物保存地区に64箇所が指定を受けていますが、竹富島は24番目に指定を受けました。町並み保存をやってきて悪かったということはひとつもないそうです。町並み保存が観光に結びついて、島には若者がUターンし、人口僅か3百余名の、普通なら典型的な過疎の島が、12年連続で人口が増加しています。人口の増加は活性化の重要な指標です。

文化庁の伝統的建造物保存地区に指定されているため、住宅の全面改築には6百万円の補助金が出ます。この16年間で79軒の改築があったので4億8千万近い補助金が島に交付されたことになります。しかも、この補助金は島の伝統的工法による家屋の改築工事に充当されるため、全て島内の建築業者に還元されます。この結果、大工や屋根拭き等の後継者のUターンがありました。

この島では公民館活動が活発です。公民館長はこの島の大統領のような存在であり、館長を中心に数名の島民で島の自治組織が形成されており、彼らは執行部にあたります。そして、この島には3つの集落がありますが、各集落から4名ずつ議員が選出され、公民館で定期的に議会が開かれて、島のいろいろなことを決めます。

島には毎年10校の修学旅行生がやってきます。島ではお客様である彼らに、浜の清掃をやってもらっているそうです。(尤も島民がいつも綺麗にしているので余りゴミはありませんが)
彼らが帰ってからテレビなどで島の美しい映像が流れる度に、私たちが清掃した綺麗な島だと自慢できるというわけです。

他にも、竹富島憲章の話しや、方言を大切にする取組み、島を美しく保つ取組み、学校の特徴的な教育方針や、観光面での取組みなどいろんなお話しをお聞きしました。
島民アンケートで、島の未来にいらないものは何ですか?の答えは、①アスファルトの道路(この島には、ほとんどアスファルト道路が無い)②ホテル③橋④無駄な開発⑤心ない観光客だそうです。

非常に参考になった町並み塾でした。わざわざ石川県までやってきた甲斐があったというものです。町並み保存は観光面だけで実施すべきものではありません。文化を大切にする町づくりなのです。このことによって町に魅力が出てきます。魅力的な町には必ず人は集まります。そして、今、日本中でこうした真剣な町づくりの取組みを実践している自治体が数多くあります。

PS 私の留守中、娘たちがある方のご好意で、いちご狩りを楽しむことができました。ありがとうございました。