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No440『大誘拐』のことなど~もっともっと映画をつくってほしかったです

まず、東京池袋の文芸坐のちらしの画像を使わせていただいたのは
ひとえに「喜八魂」という言葉にひかれたからです。

映画魂といえば、もう一人忘れてならないのがマキノ雅弘監督。
明日から、NHKのBS放送で
『次郎長三国志シリーズ』9作品の上映が連日始まります。
未見の方はぜひぜひ観てくださいね。
私が特に大好きなのは、
『第六部 旅がらす次郎長一家』
『第八部 海道一の暴れん坊』ですが
第六部は、後半の越路吹雪さんが絶品なものの、
前半は少し暗くて、初めて観るにはつらいかもしれませんので
初めての方には『第三部次郎長と石松』あたりだと
入りやすい気がします。
どれも皆とびきり、おもしろいです。

ところで、No438で掲載した、
シネ・ヌーヴォで行われたトークの内容について
筆者の勘違い、思い込みによる誤りがありましたので、
修正しました。この場を借りておわび申し上げます。
読者の皆様に、少しでも、
喜八監督の作品の魅力が伝わることを祈ってやみません。

映画魂といえば、
今晩行かせていただいたホール試写でとんでもない邦画を観て、
愕然としました。
観客数を動員できる主演俳優を二人並べれば、
映画ができると思っている大手配給会社の姿勢に、ほとほとがっかりです。
映画はやっぱり映画じゃなきゃいかん~と心の中で絶叫し、
喜八監督と、喜八組の俳優さんたち、
既に他界されている方々にもあの世からちょっくら出てきていただいて、
映画をつくってもらったら、
さぞやおもしろくて、すてきな作品ができるだろうにと、
ちょっと目頭が熱くなりました。

さてさて、昨日観た作品をちょっとご紹介。
『大誘拐』
3人の若者が誘拐するのは、富豪のおばあちゃん。
いつのまにか、誘拐されたご本人が主導権を握っているという犯罪コメディ。
北林谷栄さんの、おっとりしたしゃべりに、
犯人の青年たちだけでなく、観客ものせられてしまう。
100億円という大金を乗せたヘリコプターを操縦する本田博太郎さんが
緊張でこわばった感じが、おもしろかった。
隠れ場所といい、「そっくりさん」といい、
犯人は現場から少しでも遠くへ逃げるという常識を裏返して、
警察官を目前に犯人がのんきに素顔でしゃべるとか、
いっぱい食わせる設定が愉快。
樹木希林演じる元女中のくーちゃんのおとぼけが楽しく、
北林がラジオでくーちゃんの話をすると、
ひょんと画面が変わって、ラジオを聴いてるくーちゃんが肩をすぼめたり、
笑ったり、そのテンポも楽しい。
『ジャズ大名』で薬をつくる医師役の殿山泰司を思い出した。

『ブルー・クリスマス』は倉本聰さん脚本で、'78年の作品。
UFOを目撃すると血の色が青くなってしまい、
性格も緩やかに変化するが、外見は前のままという設定。
愛する男の銃弾に倒れた女の流す青い血は、雪の上をゆっくりと流れ、
警察に射殺された男の流す赤い血に届き、交わるというラストは
なんとも美しいかぎり。

『月給泥棒』
出世計算機と呼ばれるほど、
打算的な主人公の若いサラリーマンには
ちょっとついていけないものを感じたが、
離れたところに座った男女が、
互いに視線とジェスチャーだけでコミュニケーションしようとするときに、
ピピ、ピピピ、ピピーツとモールス信号の音が入ったり、
女中さんが、頼まれて、惚れ薬をジュースに入れる時、
ちょっと自分もなめてみたりするくだりとか、
楽しいシーンもたくさん。
でも、何か足りないなあと思っていたら、
歌がなかったのですね。
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