goo

No436『ジャズ大名』~喜八熱続く~

怒涛のような1週間の終わり、明日も観るつもりだというのに、ふらふらと気がつけば九条のヌーヴォへ向かっていた。
はじめて岡本喜八という名前を覚えたのが本作。
とんでもなくおもしろいと、20年以上前、特に映画ファンでもない普通の学生友だちが教えてくれた。いつか観ようと思いつつ、数年後に実家でビデオで借りて観て、ぶっとんだ。

駅からの帰り道、踊りたくて仕方なかった。
頭の中でメロディが踊れ、踊れとささやいた。
誰も観てないエレベータの中でちょっぴり音程を歌ってみた。

喜八監督は、とにかくテンポがよいというか、
絶妙なタイミングで、画面が、一瞬、
江戸時代から現代に跳んだりするからおもしろい。
突如聞こえる、道路を掘り返すガガガという工事音のなんと愉快なこと。

『ああ爆弾』で感激したお能の音楽が
ここでも前半ふんだんに取り入れられていておもしろい。
そろばんをひっくり返してスケートのように乗る男まさりの姫、
家老が、そっと試し乗って、案の定、滑ってころんで、
ひっくりかえったはずみに、障子に穴を開ける。
次のシーンでは、その穴の向こうにみえた顔で、殿に上申。

でたらめのおもしろさ。
愉快、痛快、でもその向こうにどこか風刺、反骨の精神が感じられ、
その心意気がたくさんの作品を観ているうちに、
ほのかに感じられたりすると余計におもしろい。

白虎隊らの音楽でもって、
江戸から明治への劇的な時代の転換を描きこんでしまうから
なんだか凄い。
しかも、行進という動きとして。
そして怒涛のようなええじゃないか踊りがここでも
凄いエネルギーで登場する。

天井にしのびよる忍者の足が突きぬけたり、ほこりが落ちたり、
とにかくちょっとした動作のおもしろさとエネルギーにあふれた本作。

明日の上映には、喜八監督の特集本「kihachi フォービートのアルチザン」を
編集された佐々木淳さんが来館。
『EAST MEETS WEST』のアメリカの撮影現場に行かれたり
ベルリン映画祭にも行かれたとか。
きっと楽しいお話が聞けるはずです。
また当ブログでもぜひご紹介したいと思います。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« No435 『血と... No437『にっぽ... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。