日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

“居酒屋タクシー問題”の絶つべき「根源」

2008-06-06 | ニュース雑感
中央官庁の職員が深夜帰宅タクシーの運転手から「接待」を受けていたという“居酒屋タクシー問題”が発覚し、世間を騒がせています。

深夜、公費でタクシーを利用した際に運転手から金品やビールを提供されていたというものですが、その多くは「ビールやおつまみを提供」、さらにエスカレートしたものは「金券や現金」を渡されていたと言います。

そもそもタクシー側は深夜の長距離客確保のため、特別なサービスを提供して役人から「直接指名」をしてもらおうという考えで起こした行動のようです。この手のタクシーは、官庁街の片隅でライトを消して“待機”。電話で直接お呼びが掛り、官庁前で列をなしているタクシーとは別ルートで、“固定客”を確保していたそうです。

まず、タクシー側の問題点。金品の授受ですが、「ビールやおつまみを提供」はサービス向上の一環と考え、誤解を恐れずに言えば個人的には歓迎すべきサービスかと思います。もちろん、特定客相手というのは問題です。あくまで、全乗客に対して同様に「お好きなお飲物を提供する」というならの話で…。「金券や現金」は完全アウト!乗車金額の「割戻」ということのようですから、これは完全に違法です。

さて問題の役人側。「金券や現金」を出されて問題意識もなく受け取っていたというのは、モラルの点で大問題です。国を動かす立場の役人として、当然「退場」ものの行為と言っていいでしょう。受取総額で一番多かった輩は、埼玉県在住の30代主計局係長。約5年間にもわたって2000~3000円の現金やクオカードを年150回ほどもらっていた。現金だけで187万5000円。一人で合計200万円近くも受け取っていたとは、まったくどういう神経をしているのだか。

でも問題の根源はそこではなくて、日常化している役人の「官費タクシー帰り」ではないのでしょうか。以前、当ブログで取り上げたこの問題(http://blog.goo.ne.jp/ozoz0930/e/04f0ec2e1b1ef51ebe084ae40a132be1)。この時は国交省の役人が、最高年間200日以上タクシー帰りでした。今回の200万円近くの“被接待役人”は財務省。「年間150回もらっていた」とのことで、すなわちコイツも最低年間150回は「公費タクシー帰り」だった訳です。

要は官僚どもは省庁問わず、ごくごく当たり前のように「官費タクシー帰り」をしているということが、はからずも明らかになりました。何度でも言いますが、年の出勤日数の半分以上をタクシーで帰る、しかも経費で、そんな民間企業どこにありますか?この「非常識」を再度徹底的に糾弾し、即刻やめさせるべきです。

一部のマスコミの取材によれば、タクシー帰りになる主な理由は「国会対策」だとか。この話は100%鵜呑みにできるものではありませんが、理由のひとつであることは間違いないでしょう。国会議員もこの点は真摯に受け止め、対応を考えなくてはなくてはいけません。国会とのパイプ役である各大臣が率先して、いかにして「国会対策」を理由にさせずに「電車通勤の徹底」を図るか、という観点でこの問題に対処して欲しいと思います。

後期高齢者医療制度の是非やガソリン税問題に端を発し、消費税アップが国民的議論の土俵に上がりつつある今、「官費の無駄遣い」を根絶させることこそ最優先課題として取り組まなくてはいけないハズです。今回の“居酒屋タクシー問題”は、タクシー業界や“犯罪役人”の糾弾に留まることなく、真の財政改革に向けた「無駄遣い根絶」の象徴的問題として、その発火点的役割を担わせなくてはいけないとの世論的盛り上がりにつなげるべき重要な事件であると思います。

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