日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

故マイケル・ジャクソン追悼式~幼い愛娘が訴えたかったこと

2009-07-08 | ニュース雑感
7日にロサンゼルスで行われた故マイケル・ジャクソンさんの追悼式。世界中のニュースのトップ級で取り上げられ、日本のテレビでも朝からこの話題でもちきりです。

マライヤ・キャリー、スティービー・ワンダー、ライオネル・リッチー、ブルック・シールズ、マジック・ジョンソン…、大物たちの追悼の熱唱やコメントの数々は改めてマイケルの偉大さを感じさせるに十分であり、画面を通じて会場ではたくさんの感動的なシーンがあったことがうかがわれました。しかし、これら超大物たちの追悼のパフォーマンスをもかすませ最も感動的で涙を誘ったのは、式を締めくくったマイケルの長女パリスちゃん(11)による追悼の言葉だったと思います。

「私が生まれたときからずっと、ダディーはみんなが想像できないくらい最高の父親でした」とパリスちゃんは会場のステープルズ・センターに集まった何千人もの参列者を前に亡き父への想いを語り、「本当に大好きだったの」と声を震わせそのまま叔母のジャネット・ジャクソンの胸に泣き崩れステージを去りました。3人の子供たちをマスメディアの攻撃から防御し、外出時にもマスクを着用させる等一切容姿をメディアにキャッチさせなかったマイケル。今回も当初は、このパリスちゃんのコメントは予定になかったと聞きます。それが急遽の演出変更。そこには追悼式を取り仕切った遺族ジャクソン・ファミリーの“強い意志”が見え隠れしているように思えるのです。

すなわち、必要以上にバッシングを受け続けたマイケルへのマスコミ姿勢に対する、最後の抗議であったのではないでしょうか。頂点を極めた以降のマイケルの行動には、「平和活動」と「奇行」の大きなふたつの“軸”があったように思われます。このふたつの“軸”がありながらマスメディアが喜んで取り上げるのは、いつも「奇行」ばかり。今思えば黒人である彼の成功に対するある種の妬み、我々日本人には正確には理解しえない、人種差別問題も実はその根底にはあったのかもしれません。

この日の追悼式のパフォーマンスのラストを飾ったのは、ロンドン公演に向けてともに練習を重ねてたマイケルのバックメンたちによる「ウイ・アー・ザ・ワールド」と「ヒーリング・ザ・ワールド」の2曲の熱唱でした。ともに、メッセージ色あふれる「愛と平和の歌」です。まさに、マイケルが一番力をこめて訴え続けていたメッセージを今改めて全世界に向けて発し、それを受けて最後の最後にパリスちゃんが先のコメントで結んだ訳です。彼女の「ダディーはみんなが想像できないくらい最高の父親でした」という言葉は、「世界は本当のマイケルを知らないでしょ。誤解をしたまま終わりにしないで」と訴えかけているように聞こえてなりませんでした。私にはマイケルの肉親であるジャクソン・ファミリーを代表する、「悲痛な叫び」として聞こえたのです。

マスメディアの報道の力の大きさと、それが誤った方向に同時一斉に動き出した時の破壊力の恐ろしさの話は、常々当ブログでも取り上げている大きなテーマです。マイケル・ジャクソンは幾多の「奇行」があったことは事実であっても、彼のもうひとつの“素顔”である真摯な一面は十分に伝わることがなく、マスメディアから発せられる偏った情報に我々も正当な判断を見失っていたのかもしれません。幼いパリスちゃんの感動的な一言は、マスメディアにその責任の重大さを訴えかけるとともに、情報の受け手である我々に対してもしっかりとした情報真偽眼を持って吟味する意識を持てと強く訴えかけられた気がして、見終えた後に心が痛んだ追悼セレモニーでありました。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿