日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

これでいいのか?商業施設“飽和状態”

2008-03-05 | ビジネス
「赤坂サカス」なるニュースポットが、明日オープンするそうです。TBS敷地内TBS会館跡地に「赤坂BIZタワー」を建設し、ショッピング&グルメ・ゾーン+オフィス・ゾーンから構成される“東京の新名所”的スポットです。

「おやっ?」と思うのは、最近よく聞くコンセプトじゃない?、という点。1年前の「東京ミッドタウン」はじめ、「六本木ヒルズ」「汐留シオサイト」「丸ビルツインタワー」やら、ここ数年“東京の新名所”的扱いで似たようなものが、次から次へと登場しているように思います。小ぶりなモノでは、「オアゾ」やら「コレド」・・・、ん「サカス」?「オアゾ」?「コレド」?どれがどこ?と言いたくなりますね。頭にウルトラマンをつければ、兄弟になれそうな名前です。

これらは皆、ご婦人狙いのグルメスポットとしては、決まって「日本初登場」や「ここでしか食べられない・買えない」が売りで、今回もその類の謳い文句が聞こえています。でも、この台詞ハッキリ言ってもはや食傷気味です。いくら「日本初」があろうが、「ここだけスポット」があろうが、そもそもの作り方に目新しさを全く感じません。

オープン当初は、ヒマな奥様方の雑談のネタとして多少は賑わうでしょうが、その後は如何?オフィス・スペースにしても、高いんでしょうねぇ。本当に必要とされているのでしょうか、かなり疑問です。。“東京の新名所”どころか、最近では都内各所にありそうな、大型ビル開発以外の何ものでもないように思います。

この飽和状態と満腹感・・・。本当にこれでいいのでしょうか?

もうひとつ似たような話です。
数年前はまだ物珍しかった郊外型の大型ショッピングモール。「欧米風」とか言われて、もてはやされてかなりな集客力を見せ、ただでさえ元気のない地方の旧商店街に壊滅的な打撃を与え、各地でその息の根を止めてきたのでした。

その、郊外型大型ショッピングモールに異変が起きつつあります。ここ2~3年の建設ラッシュで、どこもここもショッピングモールだらけ。熊谷周辺でも、「便利」を越えて「もういいよ」というほど乱立状態です。ショッピングモールは保証金やら賃料やらの条件面での難しさもあって出店企業が限られる傾向が強く、常連テナントも初期のうちは「どこでも出れるなら出たい」だったのが、ここにきて「採算の良さそうなところに絞り込む」とかなり慎重な動きが出できました。

最近時モールオープンの例では、テナント・スペースが埋まらないなどという例も珍しくなく、千葉県のケースでは40%が空きスペースのまま、オープンしたなどというモールもあるほどです。

キーテナントの、食品&洋品・雑貨スーパー+物販・飲食テナント+フードコートを基本に、映画館をつけたり、ホームセンターをつけたり、どこもほとんど同じ形式のものばかり。やはり目新しさはなく、新規でのオープンがあっても以前ほどの関心は呼ばず、3~6ヶ月もすれば「大丈夫か、ここ?」と言いたくなる様な、お寒い状況のモールも少なくありません。

こちらも飽和状態と満腹感一杯・・・。本当にこれでいいのでしょうか?

ひとつあたると、2匹目、3匹目を狙うビジネスの流れが悪いとは言いませんが、あまりの芸のなさには、ちょっと考えさせられてしまいますね。さらに言えば、今国際的に話題のCO2排出規制への対応という時代の要請の観点からも、「大型ショッ&グルメ+オフィスビル」はその膨大な消費電力が、「郊外型大型ショッピングモール」は中心客の車での来店方式が、それぞれ引っかかる感じがして、ますます「本当にこれでいいの?」と考えさせられる訳です。

人間の食欲と一緒で、お腹がすいている時にいずれ来るであろう満腹感を想像できずに、あれもこれもと注文をして結局食べ過ぎてお腹を痛くしてしまうのは子供のすることです。大企業という“大人の企業”たちは、もっともっと思慮深く考えるべきではないでしょうか。ギャル曽根ちゃんのような満腹感のこない胃袋は、普通はありえないのですから。


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