日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

高崎線事故でまたぞろ噴出!JR顧客利便性無視の救えない企業体質

2016-03-17 | ニュース雑感
高崎線籠原駅での架線火事の影響で、一部不通、間引き運転、直通運転休止など、沿線住民は多大なる迷惑を被ってすでに3日となりました。熊谷在住、東京でビジネスという日常パターンの私も大変困っております。

そんな中、昨日上野で驚きのJR対応に遭遇しました。その日私は、熊谷からの往路は新幹線利用。熊谷→上野が振替輸送扱いで新幹線料金はタダ、大宮→上野は乗り越し扱いで860円を精算しました。

問題は復路です。上野から乗る時に「大宮→熊谷の振替輸送利用はどうすればいいのでしょう」と駅員に聞いたところ一度大宮で降りて改札出るか、上野-熊谷すべて正規料金でご利用くださいとのこと。「え?なんですかそれ」状態でした。往路でできることが復路でできないってちょっとありえないと思います。

「行きにできたことが、帰りにできない、っておかしくないですか」と尋ねてみても、あるいは「行きと同じようにここでとりあえず乗って、熊谷で上野―大宮間の精算をさせてくれればいいです」と提案してみても、駅員の対応は「決められているやり方以外、他の対応は一切できません」と言うのみ。

またぞろ出ました、JR体質です。利用者の立場でものを全く考えてないから、そして事故で迷惑をかけていても利用者に対して申し訳ないと心底思っていないからこういう 対応が平気でできるのでしょう、JRは。3.11の際の駅構内締め出し事件、東京駅記念Suica発売大混乱事件、全て根っこは一緒。過去に問題事象として世間を賑わせた大事件に対しても、何も反省はないから、何ひとつ教訓は生かされないのです。

企業の社会的責任という観点からも、今自社がどう対処すべきなのかということ自体まるで理解していないのです。今回の件はJR東日本の話ですが、先日JR東海で敗訴になった事件でも、企業の立場を踏まえた社会的責任を全く考えていない事象がありました。

認知症の老人が徘徊し線路内に立ち入って事故を起こした件について、遺族の管理責任を追求し電車の遅れ等に関する金銭的な賠償を求めたという裁判です。一審、二審はJR側の勝訴でしたが、最高裁の判決は一転被告側の勝訴。他人事ながら、本当によかったと安堵させられたものです。

私が申し上げたいのは、遺族側の管理責任の有無ではなく、そもそもなぜJRは訴えを起こしたのかという観点です。弱小企業が、本当に賠償をしてもらわなければ会社が立ち行かないと言うのならまだ納得性があるのですが、JR東海ともあろう企業が彼らにとっては「たかだか」と言える数百万円の賠償、一方遺族にとっては親を失った上に一家族にとっては十分多額と言える賠償請求です。なぜ、訴訟を起こす必要があったのかです。

もともと国営の日本を代表する企業が、高齢化社会の問題点、課題点をまさしくあぶりだしかような事件に対して、自社の経営に及ぼす影響が微々たるものであるにもかかわらず、訴訟を起こす、まったく自社の置かれた社会的責任を勘案した立場を理解していない行為としか言いようがありません(株主代表訴訟逃れ狙いとの話も一部にありますが、同社の社会的責任の観点から告訴しない理由説明をすれば十分納得は得られるかと思います)。個人的にはJRが訴えを起こした段階から、企業経営の観点、企業の社会的責任の観点から、強い批判に値する行為と感じていました。

企業の社会的責任とは、一定ラインまでは大企業でも中小企業でも、同様の責任を負う部分がありますが、それ以上の部分では企業の大きさや社会への影響力、公共性の有無などを勘案してより大きな観点から独自の社会的責任を認識し、全うすべきなのです。JRグループ企業は、毎度毎度不祥事や事件が起きるたびに本当に自社の社会的責任の認識がないと思わせられることばかりです。

話を戻して、今回の振替輸送の件です。公共交通機関を運営する企業として、自社に責任のある事故の影響で利用者に不便をかけているのなら、顧客利便性の確保を第一に考え最善の策を尽くし利用者に不便を感じさせない対応をするのが、JRとしての企業の社会的責任全うではないのでしょうか。今回の件であるべき対応を申し上げるなら、一部不通区間のある高崎-東京間を全て振替輸送扱いにし、往路、復路とも同じように不便を感じさせない対応をするべきではないでしょうか。

私の質問に、一点の曇りもない自信満々の顔で「会社で決められたことです」と返す駅員の、典型的官僚組織のひどく病んだ企業文化に毒された姿に同情さえ感じまし た。こんなポーズにしか思えない中途半端な振替輸送ならやらない方がましです。JRは企業の社会的責任を忘れ、顧客の立場、顧客の利便性をないがしろにしていることに、猛省すべきと申し上げます。

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3 コメント

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未完の国鉄改革 (K@Fe)
2016-03-17 23:20:10
JRは、海外資本が3割近くを占めている上に、株主は、自分さえ損しなきゃ良いという考えなんですよね……

だから分割民営化の弊害がこういうトラブルで如実に表れちゃいますね。

もう1つ、分割民営化の最大の負の遺産があるのですが、コレは「マングローブ~テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実~」西岡研介著、講談社にて、克明に記されています。
JRのお偉いさんでもあるまいし (あついぜくがまや)
2017-07-09 15:53:57
企業の体質云々云々騒ぐよな話にするのが私は正論言ってますよ〜ちうタイプのクレーマーの特徴。
Unknown (Unknown)
2017-08-21 13:52:40
一年以上前の記事ですが、あまりにも酷いクレーマー気質ですね。

往路は振替輸送により、JR側は旅客に相応の便宜を図ったので、あなたが言うことは過剰要求です。

そもそも切符を購入している時点で旅客営業規則に同意しているのに、それらを無視して「提案」ですか…何様なのでしょうね、理解出来ません。

他の方も言われてますが、ルール通り乗れないならJRを使わなければいいと思いますよ。

そもそも国鉄民営化はあなた方の世代の代表者が推し進めたこと、つまりあなたも民営化に賛同したということでしょう?
何を今更文句を垂れ流しているのやら。

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