日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

亀田家に見るマスコミ対応の肝

2007-10-27 | ニュース雑感
亀田家の一連のマスコミ対応は、企業の不祥事発覚時の危機管理に関する示唆に富んでいます。亀田家2回の会見から、不祥事発生時の対マスコミ対応のあり方を学んでみましょう。

会見で重要な項目を、史郎、興毅の会見を比較しながら、私の記者経験から評価してみます。

1.第一印象
〈史郎〉ノーネクタイ姿、お辞儀の角度浅い
〈興毅〉スーツ・ネクタイ姿、お辞儀深い、遅刻

会場に現れた第一印象として、その姿は 重要です。史郎のノーネクタイ姿は、マスコミでも大きく叩かれていたように、心証の悪さにつながります。お詫び会見での基本はダークスーツですが、その業種独自のユニフォームはいわば仕事上の“正装”であり、可です。
興毅はだいぶよくなりましたが、ネクタイの色が“光り物系”でイマイチ“反省色”ではなかったです。それと「遅刻」はいかなる理由でも許されません。記者の心証として、「お前が時間指定しておいて、なに遅れてんじゃ!」ってこと。企業でよくあるのは、担当は時間に来ても、社長が遅れると言う最悪のパターン。「社長は偉ぶっている」=「反省の色なし」と受け取られます。

2.お詫びの言葉
〈史郎〉「すんませんでした」
〈興毅〉「すいませんでした」
史郎の「すんませんでした」は論外。興毅の「すいませんでした」も、自分たちが悪いという気持ちを伝えるにはイマイチです。お詫び言葉の基本は、「誠に申し訳ございませんでした」。会見中、何度言っても言い過ぎになることはなく、ことあるごとに回数織り込むことで不思議と心証はよくなるものです。

3.核心の質問
〈史郎〉明確に答えない。「勝手に判断しろ」という態度。
〈興毅〉認めつつもハッキリとは言わない。将来的に「そうは言ってません」との言い逃れなどの、逃げ道をつくっておきたい気持ちが見てとれる。

これも史郎は問題外。「勝手に判断しろ」という態度は、いわゆる“書き得”を招き、あることないこと書かれて、最悪のイメージダウンにつながります。「勝手にしろ!」=「売り言葉」です。
興毅も煮え切らない表現はマイナス。金平会長にうながされて、渋々認めるぐらいなら、最初から潔く「ハイその通りです」と認めるべきです。しかもスポーツマンとして、過去のダーティイメージからの今後のイメージチェンジを考えるなら、極力爽やかな受け答えをして、不祥事会見をプラスイメージへの転換に利用してやろう、ぐらいの大胆さがあってもいいと思います。

少々長くなりそうなので、あとは気がつく点をまとめて。
4.その他
・結論先延ばしの回答はマイナス
→「これから考えます」「今は分かりません」の類の回答は、会見後時間がたってからも「結論は出たか?」「分かったか?」等の蒸し返し質問が出され、問題が長引くことになります。
・記者を睨む、下を向く等の態度
→「記者を睨む」は論外ですね。「下を向く」も一見反省してうなだれている印象を与えるように思われますが、実は表情が分かりにくく心証悪く、何かを隠しているように思わせます。
・「時間です」と言って切り上げる。
→早く逃げたいからと言って、これは最悪です。とにかく充分質問時間を与えること。質問が出尽くした感じになったら、進行役が「そろそろよろしいでしょうか?」とおうかがいをたてるのがよいです。会見時間を伸ばせば伸ばすほど会見をしているトップが袋叩きになりそうに思いますが、会見で膿みを出し切らないとかえって、紙面等での袋叩きが長引くことになると考えるべきです。


中小企業でもいつ何時、取引先等の関係等で不祥事の矢面に立たされるかもしれません。「マスコミの正義感」と「ペンの暴力」は紙一重です。
マスコミ対応の失敗で、誤って会社を潰してしまうようなことのないよう、経営者は芸能ネタ的な会見からも常に学ぶ姿勢を忘れないで欲しいと思います。


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4 コメント

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おまけ (ヒゲプレジデント)
2007-10-27 10:18:52
大関さんの新聞記者魂は今も生き続けているようですね。
私は叩かれる側の広報担当の経験として一言おまけを言わせていただきます。
記者会見の予定だけ早く発表することと、「コメント」のペーパーだけ早く発行することです。
コメントだけで記事になる新聞社は写真無しで済ませます。
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重馬場? (OZEKI)
2007-10-27 23:16:28
ヒゲさん、貴重なご経験談ありがとうございます。不祥事対応で場数を踏むのは嫌ですが、経験者は強いですよね。



ところで明日は秋天。天気は回復基調ですが、馬場の回復度合いは気になるところです。

完全回復が見込めないとすれば、重、不良の力の要る馬場になり、ステイヤータイプの出番かもです。

詳しくは明日。
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天皇賞 (ヒゲプレジデント)
2007-10-28 09:27:56
昨日の東京競馬を見ると馬場の内側が相当荒れているようです。好位置に付けて4コーナーから外に伸びた馬が勝っています。後方からのまくりは届きません。
今日の好天気で馬場が多少回復しても同様の結果と見ます。
そこで好位置で行ける馬、毎日王冠を叩いて2連覇を目指す⑭ダイワメジャーが中心です。メイショウサムソン、アドマイヤムーンはここを叩いて、JCから
有馬記念へ進む予定で無理はしないはずです。少し多いですが②③⑪⑬⑮もワイドでカバーします。
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余談 ~ JRAの陰謀??? (OZEKI)
2007-10-28 16:46:51
昔から囁かれる連対馬「JRAの陰謀説」。
連対馬は、JRAと大馬主との間で決められていて、順番に馬券で儲けさせて馬主を続ける資金供与をしているいるというお話です。

金曜日前売りの段階で、なぜか1番人気だった⑨アグネスアークが2着でした。
いわゆる「異常オッズ馬」と言われる現象です。もしかすると、直線の不利がなければ「勝つ予定」だったのかもしれません。

過去何度も同じような「異常オッズ馬」を見てきて、大抵連対しているので、「JRAの陰謀って、本当にあるのかなぁ?」と思っていしまいます。

国家機関とその外郭団体こそ、一番コンプライアンスがなってない現状ですから、何が行われていても驚けませんよね。

余談でした。
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