日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

鳩山元首相の外交顧問就任は、民主政権の“脱対米従属”宣言?

2012-10-18 | ニュース雑感
民主党の鳩山由紀夫元首相が外交担当の党最高顧問に復帰したとか。これに対して自民党の高村正彦副総裁が、「日本には1億人以上も人がいるので、鳩山氏みたいな人がいることはそれほど驚くことではないが、政権与党の外交担当最高顧問に復帰するのは大いに驚くべきことだ」と皮肉ったと言います。さらに付け加えて、「これは野田佳彦首相が外交を国益と考えていないか、国益そのものが大事ではないと考えているのか、そのどちらかだ」と批判したと。

鳩山元首相と言えば沖縄の普天間基地辺野古移転問題で、「最低でも県外」の発言に端を発して国内世論を迷走させ、あげくにオバマ米大統領に対しての「Trust Me」発言でできもしない空手形を切り日米の信頼関係を考えうる最悪の状態にまで陥れた張本人です。その人物を同じ政権下で外交担当最高顧問に座らせるという事は、野田首相は鳩山外交に対する肯定姿勢を示したことになるわけです。

とすれば、「近いうちに」と約した総選挙に向かうにあたり何か現政権の目玉実績はないかと、鳩山外交が期せずして引き起こした「脱対米従属」を苦し紛れに民主党政権の“成果”として掲げ、高らかに宣言しておこうというものなのではないのかと。考えてみれば、鳩山外交による結果的「脱対米従属」路線化が、韓国李大統領の竹島上陸とそれに刺激された香港漁船の尖閣上陸に端を発した領有権問題再燃化を巡る日中関係の緊張を呼び込んだわけで、その後の外交はフルボッコ状態。「脱対米従属」を党の旗頭として掲げる覚悟でもないなら、今あえて鳩山氏を外交担当最高顧問に就任させる理由が見当たらないのです。

米国の後ろ盾なき状況下のあのタイミングで国有化の暴挙に出た“外交音痴”の象徴と言える尖閣問題への対応も、「脱対米従属」を内外に宣言する“旗揚げ興行”だったと考えるなら辻褄が合います。ならば、冒頭の自民党高村副総裁の発言を明らかな「対米従属」肯定発言と捉え、沖縄で米兵の婦女暴行事件も発生したこのタイミングで、野田首相が「国益を損なうのはむしろそちらの考えの方だ!」と反論して「脱対米従属」を明確に打ち出すに違いないとか、さらには当面の日米関係維持を重視し肯定姿勢を見せているTPP加盟やオスプレイ受け入れについても、一転TPP離脱、オスプレイ拒否への転身をはかるなんてことまであり得るのじゃないかとか、妄想させられもするのです。

どう見ても、国民をバカにしているとしか思えない今回の鳩山氏の外交担当最高顧問就任。「脱対米従属」を本気で次期衆院選の争点にする気でもない限り、いたずらに支持率を落とすばかりの納得性ゼロの施策であるとしか私には思えませんが、果たして首相の真意は…。

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