日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

茶番は終わらせ、東電の破たん処理を急ぐべき

2012-11-08 | ニュース雑感
東京電力は中期経営方針を発表し、今年5月に実質国有化により政府からの支援を引き出し生き残りのために策定した「総合特別事業計画」に関して、策定から半年でこのままでは計画遂行不可能という“泣き”を入れてきました。

中期経営方針では、短期的には電気料金の値上げ幅の抑制と原発再稼働の不調が当初計画を狂わせていること、長期的には福島第1原発事故の賠償や除染、廃炉の費用が今後、10兆円を上回る可能性があることを強調。下河辺和彦会長らは国に対し新たな支援策を要請した上で、再建の大枠を定めた「総合特別事業計画」を来春にも改定することを示唆しています。

賠償や除染、廃炉の費用を計画策定の段階で見積もっていなかった計画の甘さもあるのですが、より問題視したいのは短期的な見通しの甘さの方でしょう。10.28%で申請した家庭向け値上げを8.46%まで圧縮され年840億円の減収となったことと、柏崎刈羽原発の再稼働がみえないことは、5月の段階でも世論の動きを勘案すれば容易に想像がついた結果なわけです。責任はひとえに、実現不可能な計画を受理し、電力村と金融村の権益擁護を目的に東電を延命させた政府にこそあると思います。

こんなに早い段階で馬脚を現わす茶番は、茶番としても出来が悪すぎます。当初から、申し上げているように、被災者への賠償スキームをしっかりと法制化した上で東電は破たん処理し、株主責任、貸し手責任をまずしっかりと問うこと。その上で、BAD東電とGOOD東電の分離、発電と送電の分離をおこなうことで、東電の再生および電力業界の再構築を政府の責任において主導するべきではないかと思うのです。

5月の段階で、株主責任も問わず、貸し手責任も問わずに、“利用者責任” を優先した再建スキームを政治主導で作り上げたことに最大の誤りがあったのです。現段階で、先行き不透明な東電に国が追加支援をおこなうことや、さらなる電力料金値上げによる“利用者責任”の積み増しは、世論が許さないでしょう。すなわちこれ以上、問題の先延ばしをしても、既得権者以外には何のメリットもありません。現政権における責任の全うの観点から、即刻、東電の破たん処理を決断すべきと考えます。

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