日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

東電も国も逃がしてはならん!

2012-02-14 | ニュース雑感
東電問題で、ようやく国が重い腰をあげました。昨日枝野経産相が東電の西沢社長を呼んで、「十分な議決権が確保できない形で資本注入を求める計画が提出されても認定するつもりはない」と、東電の公的資金注入による再建策は国の実質支配が条件となることを突き付けたとのことです。当ブログでもこの問題は何度となく取り上げ、国が3分の2以上の議決権を握り責任をもって東電の組織風土からから変えるべきとの主張をしてきましたが、枝野大臣の発言はまさしくその主張にそった動きをとってくれた訳で、とりあえず一歩前進ではあります。

それにしても東電の西沢社長は相も変わらず、面会後の会見では「民間の活力をきちっと発揮するのは電力事業においても大事だ。民間が望ましいと考える」などと、国民の神経を逆なでするようなことを平気で言い放っています。どこまでツラの皮が厚いのか。「民間の活力を発揮する」って、おいおいおいおい、一方的な法人向け電気料金の値上げを宣言して「民間の活力を削ごうとしている」のはどこの誰ですか?どの口がこんなことを言わせるのでしょう。まずは、こういう自己の置かれた立場さえも踏まえずのモノ言いを封じるためにも国が主導権を握ることは重要なポイントでしょう。

もうひとつの観点として、これまで被災地の賠償問題等で都合が悪くなると東電に責任を押し付け前面に立とうとしなかった政府が、東電の経営権を握ることで過去から将来に至る電力政策を含めた責任ある対応をしっかりとしていただくという意味においても、プラスに働くのではないかと考えます。原発再稼働を前提としているという東電が現在策定中の再建策に関しても、国の方針として今後の我が国のエネルギー政策をどうリードしていくのか、しっかりと道筋を立てて是非を判断しすすめていただく必要があるでしょう。東電に言わせて世論の反発を買ったら方向転換するというような、小手先戦術で国民を欺くようなやり方はもううんざりですから。昨日の枝野大臣の発言が、そこまで責任を持った上でのものであることの確認は国有化前に必要であると思います。

その上で具体的にはまず、東電の資産圧縮、経費削減でどの程度の余力が生まれるのか、見えない部分に徹底的にメスを入れて試算をすることがすべての前提になると思われます。そのために国は東電国有化管理委員会を発足させ、公的資金注入と国の議決権を一日も早く確定させた上で専門チームによる徹底的なデューデリジェンスを実施し、グループ企業も含め東電を丸裸にする必要があります。電気料金の値上げの要否の判断はその後の話でしょう。その上で国の責任において、確固たる我が国のエネルギー政策策定とリンクした東電再建の方針を明確化して、民間の再生専門家チーム指導の下、しっかりと期限を切って組織再生をおこなう。そのような流れが今求められているのではないでしょうか。

東電はもとより、同社の一時国有化によって国もこの問題の当事者の立場から絶対に逃がさない、世論とメディアは今後両者の無責任行動で国民に尻拭いを押し付けるようなことが決してないよう、今こそしっかりと監視の目を光らせなくてはいけません。

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