日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

米倉経団連会長にモノ申す!

2012-02-15 | 経営
東電の経営権をめぐる枝野発言を巡って、論賛否両が渦巻いています。中でも気になるのは、経団連米倉会長の「断固反対」発言。これにはいささか違和感を覚えています。

会長の論旨は、「民を官が牛耳るなどと言うのは勘違いも甚だしい。官が民の再建に手を出してうまくいったためしがない」と言うものです。確かに原則論から言えば、官が民の活動を制御しあれこれ茶々を入れるのは民の活力を削ぐことになり決して好ましいことではありません。しかし現状の東電は、言ってみれば「有事」にあるわけで、「有事」に「平時」の原則論が通用するものでないことぐらい、日本を代表する企業の経営者として十分おわかりいただけるハズと思うのですが…。

「官が民の再建に手を出してうまくいったためしがない」と言うのも、ひどい勘違い発言のように思われます。例え東電が一時国有化されたとしても、官僚や政治家が直接経営に携わるわけではなく、基本的には民間のプロ集団によって有効な再建策が策定され、国は株主として国民に代わってプランニングとその進行を監視する役割を担う形になるわけで、別に旧国鉄や民営化郵政のような会社を作ろうというわけじゃない。会長の懸念はどうも違うのではないかと。

むしろ、原発被災者の保障問題や日本の今後のエネルギー政策とも密接にからんだ今回の東電の「有事」は、一民間企業の問題として片付けてはいけないのだと思います。しかも、東電の勝手に任せておけば、自身の台所事情も十分に見せることなく安易な電気料金値上げという形で“国民負担”を強いることで問題を解決しようとする、こんなとんでもない企業だからこそ国の管理下で全てを白日の下に晒して、被災者を守り国民経済の健全性堅持を優先した再建をはかる必要があるのではないでしょうか。

こんなことを私ごときが言う前に、天下の経団連会長様は本当は全て分かっているハズなのではないかと思いますし、米倉会長の発言にはどうもしっくりこないものを感じます。裏に、大物会員企業である東電西沢社長からの「援護射撃」依頼でもあったのではないかとも思うのです。さらなる裏には電気料金を巡る個別の闇取引“経団連幹部企業価格”があるとか。もし仮にそうなら、経団連の信用失墜にもかかわるとんでもないことですが、確証はないので、この点についてはこれ以上はやめておきます。

いずれにしましても、世に東電一時国有化に関し賛否両論が戦わせられることは悪いこととは思いませんが、米倉会長の反対論旨のナンセンスさとその立場を踏まえた姿勢のあり様を考えるなら、早期に前言を撤回され「会員企業に関することであり、詳細不明の現状ではコメントを差し控えたい」とされるのがよろしいのではないかと考える次第です。

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