日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

昭和49年村田クンの教え 7~海賊盤のイケナイ世界への誘(いざな)い

2010-02-06 | その他あれこれ
ジョン・セバスチャンにはじまる私の“マニアック・アーティストの旅”とともに、もうひとつのマニアック趣味である海賊盤や海賊音源の楽しみを教えてくれたのも村田クンでした。きっかけはやはりビートルズだったと思います。アルバム「レット・イット・ビー」の話をしてた時でした。

私「アルバム「レット・イット・ビー」ってさ、有名な曲を除いてなんか音が悪いというかデキが悪いというか、他のアルバムよりもなんか雑な感じがするけど何でだろう?」
彼「お前知らないの?「レット・イット・ビー」っていうのは、もともとはアルバム「ゲット・バック」として制作されていたのがおクラ入りして出る予定がなかったんだけど、その後レコード会社主導で勝手に編集されて出されたものなんだぜ」
私「へぇ~。「ゲット・バック」?でもそれって結局「レット・イット・ビー」と大差ない同じようなアルバムなんでしょ?」
彼「甘いなぁ。それが全然違うんだよ。「ゲット・バック」はもともとスタジオ・ライブ収録を目的とした作りだったんだけど、「レット・イット・ビー」はプロデューサーのフィル・スペクターが分厚いアレンジを施して全く別物のアルバムに仕上げちゃったって訳。だからなんか似合わない厚化粧の娘みたいな冴えないアルバムになっちゃったのさ。「ロング・アンド・ワインディング・ロード」なんてもともとポールのシンプルな弾き語りに近かったのを、分厚いオーケストラアレンジで台無しにしちゃったからポールが激怒して解散の一因にもなったって言われてるんだぜ」

私「ポールの弾き語り「ロング・アンド・ワインディング・ロード」なんてどんなかな。おクラ入りじゃ二度と聞けないね?」
彼「いや聞けるさ。ブート(海賊盤)でけっこう出回ってるよ」
私「ブート?」
彼「ブートレッグ知らねーのか。海賊盤だよ、海賊盤。おクラ音源とか、未発表のライブ音源とかが闇でけっこう売買されてるんだよ。最近は中野レコードとかそういうのを大量に扱っているレコード屋もあるしね」
私「へぇ~、音はいいの?」
彼「いや、当たり外れはけっこうあるけど、まぁ店主とか店員のお兄ちゃんに教えてもらうとか、客同士で情報交換するとかである程度は分かるけどな。「ゲット・バック」のブートで、リリース予定と同じテイクが使われて一番本物に近いと言われているのが「カム・バック」というアルバムなんだぜ」
私「それには弾き語り「ロング・アンド・ワインディング・ロード」入ってるんだね。聞いてみてぇ~」
彼「どうしても聞きたいか?」
私「えっ、持ってんの?貸してくれよ~」

こうして、私は彼から「カム・バック」を借りて人生初海賊盤の世界に入って言ったのでした。弾き語り「ロング・アンド・ワインディング・ロード」にも大感激でしたが、音を楽しむと言うより正規には発売されていない音源を聞けると言うのは、どこかイケないことをしているような妙な快感と多くの人は耳にしていないものを聞いているという関係者になったかのような優越感が感じられて、正規のレコードで音楽を楽しむのとは違う何ともいえない魅力に満ちていたのです。彼はビートルズやジョン、ストーンズ、フーなどの海賊盤もけっこう持っていました。これをきっかけとして、村田クンから中野レコードをはじめ良質の海賊盤を多く扱っているレコード屋を教えてもらい、ビートルズやフーやストーンズやエルトンなど私の“海賊盤探索の旅”も始まったのでした。

世間一般にはここ10年ほどになって、“発掘音源”等の名目で各アーティストのおクラ音源や未発表ライブ音源が正式に公開され人気を呼んでいますが(その代表はビートルズの「アンソロジー」シリーズ)、このお話は昭和49年当時のもの。村田クンと私は30年は先を入っていた訳です(当時は音楽好きの同級生も「お前らの話にはついていけねーよ」と言っていたのですから、少なくとも中坊としてはかなりススんでいたと思いますよ)。
(つづく)


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