日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

“実業家芸人”「たむけん」の危機管理対応

2008-07-30 | ニュース雑感
関西の人気芸人たむらけんじ(35)が経営する焼肉店で食中毒が発生し、28日経営者としてたむら本人が謝罪会見をしました。

事の概要です。名古屋市食品衛生課によると今月14日、たむらが経営する「炭火焼肉たむら 名古屋店」(同市中区)を利用した男性客4人が体調不良を訴え、3人から食中毒の原因となるカンピロバクターが検出されたというもので、名古屋市は28日、同店を営業禁止処分としました。

たむらけんじは同日夜、大阪市中央区の吉本興業で会見し、神妙な面持ちで「おいしいご飯を食べるという楽しみを裏切り、4人の方に苦しい思いをさせ、申し訳ありません」と頭を下げました。同時に、「炭火焼肉たむら」大阪蒲生本店など3店舗についても営業の自粛を決め、名古屋店再開まで店を休むことも発表しています。

普段テレビではふんどし姿のたむらですが、この日ばかりは上下グレーのスーツ姿で現れ(写真で見るに「この人誰?」状態です)、約30分の会見中終始直立したままで、「生肉に対する僕の認識の甘さが原因です。カンピロバクター菌も、初めて知ったぐらい。従業員は僕が口をすっぱくして、衛生管理の徹底を言っているので、しっかりやってくれていた」と神妙な面持ちで話すとともに頭を下げました。

さて、今回の事業オーナーとしてのたむらの対応ですが、危機管理の点から見て実に見事でした。順番に不祥事対応として良かった点をあげてみましょう。

①迅速な会見開催(保健所の処分当日)
これは基本中の基本ですね。
②オーナー自身が会見で謝罪
時々様子見で№2にまず会見させるダメ社長がいますが論外です。
③用意された原稿棒読みでなく、自分の言葉で謝罪
最近は不祥事対応コンサルがついて、原稿を用意してくれるケースがありますが、心証はよくないです。
④芸人の奢りなきスーツ姿と終始起立の真摯な姿勢
なんだかんだ言っても、記者も人間ですから印象は大切。明らかに反省がうかがえる姿勢には好感が持たれ、報道のトーンにも大きく影響します。
⑤全責任を経営者である自身が負い現場のせいにしない
これで失敗するケースはホントに多いです。直接責任転嫁してなくとも、「現場の管理が甘かった…」などの発言は、現場の責任を示唆するもので好感が持たれません。
⑥会社の経営姿勢を示す一斉自粛
これもポイント高いです。念のためはあるのでしょうが、事の重大さを真摯に受け止めているという姿勢をじょうずに表現していると思います。
⑦怒らせようというマスコミ挑発への対応
報道陣から“おごり”を指摘する質問が出された際の、「調子いいときに謙虚にいかなアカンと思ってるんです。こういう事故があり、そういうこともあったのかもしれませんが、僕的には一切ございません」との落ちついた受け答えは、十分合格点でした。

トータルで見て、一般企業にも十分手本となる理想的な対応でした。ネット掲示板などでのコメントを見ると、ほぼ100%たむらを褒めたり応援するモノばかり。一般人の本件の好感度の高さからも、彼の真摯な態度とその対応の素晴らしさがうかがわれます。さらに言えば、彼のそんな謙虚で真摯な姿勢があればこそ、事業家としての成功に導かれたと言ってまちがいないのでしょう。

芸人としては、個人的にあまり好きではなかった「たむけん」ですが、今回の件でむしろ人間として経営者としての彼に好感を覚え、関心を強く持ちました。恐らく似たような感覚を抱いている人も、けっこう多いのではないでしょうか。これによって、かえって芸人としてもさらなる人気上昇のキッカケになったり…?まさに「災い転じて福となす」かもしれません。

★J-CAST~大関暁夫連載「営業は難しい~ココを直せばうまくいく!」
http://www.j-cast.com/kaisha/column/kokonao/index.php


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3 コメント

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Unknown (soujiji)
2008-07-30 08:22:11
私はタレントとしての彼が結構好きなのですが、
今回はしばらく見ていても「誰だろう?」
と思ってしまったくらい、姿の違いにびっくりでした。
苦労している芸人さんだけあって、受け答えも好感持てました。
食中毒はとても怖いです。中ると大変しんどいです。
被害者の方にも真摯に謝ってほしいです。
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反省 (OZEKI)
2008-07-30 11:02:48
soujijiさん、こんにちわ。

私ちょっと「たむけん」持ち上げすぎました。反省です。

やはり食中毒を出したことは管理不行き届きな訳で、責められてしかるべき問題です。手放しな褒め方はいかがなものかなと…。

私も中国の火鍋で、半生マトンを食べてカンピロバクターにやられ苦しんだ経験があります。辛いですよ、ホント。被害者の方々には心からお見舞い申し上げます。

補足的に「たむけん」の足りなかった点を指摘しておくと、「原因究明宣言」と「再発防止策提示」もしくはその意思表示ですね。謝る、反省と同時に、「改善」は不可欠です。

「たむけん」には、とにかく再発防止に努めてもらいたいです。

余談ですが、うちの母の情報ですと、「たむけんは被害者一人ひとりにお詫びにまわってる」とのことでした。
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Unknown (Unknown)
2008-08-01 11:43:09
つか焼き肉屋がカンピロバクターしらんじてんでカナリヤバイぞ

内臓には大概いるんだから

対処法もなんも知らんで衛生管理を酸っぱくいっても意味がない
管理する目がないんだから

それなりの規模で同族でない企業なら無能無知をこんだけさらしたらよってたかってひきずりおろされるぞ

まあ、たむけんのばあい小規模店経営者としてということだが
まあしかし、被害者も夏場にレバ刺しやユッケを食うなよな(笑

レバーなんて菌ほかにさらに汚染物質がたまってんだから
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