-畑沢通信-

 尾花沢市「畑沢」地区について、情報の発信と収集を行います。思い出話、現況、自然、歴史、行事、今後の希望等々です。

久しぶりに背炙峠を通ることができました。

2016-11-14 17:54:46 | 近況報告

 背炙峠は昨年の初冬に閉鎖して、さらに春になってからは工事のために今年10月28日まで閉鎖が延期されました。今年の大半を閉鎖したことになります。背炙峠を多用する私にとって大きな痛手でした。山形市から畑沢へ向かうには、背炙峠を通るほかにも尾花沢市を通る方法がありますが、所要時間の差もさることながら、やはり畑沢の人が持っている気持ちにも大きな差があります。畑沢の人達にとって背炙峠は、遥か古代の背中炙り峠(古道)の時代から、心に宿っている希望の光みたいな存在です。長い冬が終わり、山々が新緑で彩られるころ、峠の雪が消えて畑沢から楯岡方面へ抜けることができます。冬の間、雪に囲まれた生活をしていながら、ひたすらその日がやってくることを待ち望んでいました。

 今年は、ようやく10月29日に峠を通ることができるようになったようですが、私は忙しい日々が続いていて、約半月遅れで11月13日に通りました。さて、これほどの日数を要し、かつ、ずっと通行止めまでした工事はどんなものだったのかに興味を抱きました。国道13号線から林崎に入って、さらに中沢方面へ入りました。道玄からいよいよ山道にかかり、やがて工事箇所が現れました。路面は真新しいアスファルトです。山側にはU字溝が暗渠になっています。路肩には、やはり真新しい白いガードレールが設置されています。ガードレールを支える支柱の基部は、がっちりとコンクリートが連続して固められています。実に立派に出来ていました。 工事をした区間は、約300mぐらいに見えます。

 さて、私のいつもの辛口を初めます。工事方法に関しては、人によってさまざまな考えがあるのでしょうが、この工事を見て何とも納得できない何とも不快な気持ちが湧きました。まず何よりも、一年の大半を道路閉鎖してまで行う工事には見えないことです。このことは、9月に投稿した時に吠えましたので、この程度にします。

 次に納得できないのが、工事の区間です。今回、工事した中で、中沢の「棚田ビューポイント」と看板が立っている位置から村山側の約40mだけは、確かに路肩が脆(もろ)くて危ないかなあと思っていました。しかし、その他の区間は、路肩が崩れやすいとかの危険性を感じられませんでした。むしろ、他の区間よりも、路肩などはしっかりとしてたような気がします。道路の幅が狭くて、対向車とすれ違うことができない事実はありましたが、道路が狭いのはここだけではありません。全線が狭いのです。何でここだけ長い間閉鎖してまで工事をやる必要があるのでしょうか。

 今度は工事の方法です。先ずは山側に設置したU字形の側溝です。土木工事にもど素人のスビタレならば、この様な工事は行いません。山側にはL型側溝を用います。土地の改変が少ないので、工事が楽で経費も少なく工期も短くて済みます。土地の改変が少ないために、降雨などの影響が少なくなります。U字形の側溝には蓋をしなければ自動車が載れませんが、L形ならばそのまま路面として使えます。五十沢と畑沢の間にある元スーパー農道の村山市側でも使われています。そこは、実に上手な工事でした。鳥海山、蔵王の観光道路でもL形側溝だったと思います。

 路肩の工事にも疑問があります。元々の路肩は十分にしっかりしてましたので、ガードレールを設置するために、わざわざ土を掘り起こす必要を感じません。山側にL形側溝を用いれば、使用できる幅員が大幅に増えますので、路肩を外に張り出す必要がなくなります。路肩の形状を改変しなくて済みますので、降雨があっても浸食の恐れは極端に減ります。ガードレールを設置しなくても、樹木をそのままにして、もしもの脱落を防止すればよいでしょう。


 さて、上へ向かうにつれて工事を忘れ、素晴らしい景色に見とれてしまいました。この日、夜間に放射冷却現象で気温が低下し、平地部が濃い霧に包まれました。私が峠に登るのが遅すぎたのですが、もう少し早い時間であったならば、一面が雲海に覆われ、その上にぽっかりと浮かんでいる葉山が見えたことでしょう。残念。葉山の頂部には雪が見えます。

 さて、峠を越えて上畑沢に入ると、上畑沢の地蔵堂に何やら人が集まっていました。車を止めて聞いてみましたら、「雪囲い」作業をしており、続いて「山の総会」があるのだそうです。天気は上々で、みんなと一緒の作業は楽しそうです。 

  地蔵堂の脇に建っている「湯殿山・象頭山」と「金華山」も大杉の陰からそっと作業を見守っていました。

 夕方、畑沢で予定していた作業を終えて、山形へ帰るために再び峠に到着しました。遠くに甑岳が見えました。山肌の樹々は既に葉が落ちてしまいました。間もなく、白、一色に覆われます。

 峠に着いた時は、まだ太陽が高かったのですが、久しぶりの峠ですので、車中で日が暮れるのを待ちました。背炙峠には、その名のとおり「夕日」が似合います。やがて日が雲に沈んだのですが、期待していた空一面の夕焼けは見られませんでした。それでもまあまあでした。遠くの右の高い山が葉山です。

 

 峠から降りて、楯岡の道の駅で一休みです。実は畑沢での作業でかなり疲れていました。峠でも30分ほど休んだのですが、それでも疲れがかなり残っていました。居眠り運転でもしようものなら大事故ですし、事故に巻き込まれる人にも多大な災難が及びます。何よりも安全、安全です。何方かが道の駅の駐車場で写真を撮っていました。そう言えば、翌日はスーパームーンとかだそうです。今日も明日も大した違いはないだろうと、この日の月を眺めました。甑岳に浮かぶスーパームーンです。幾分、霞んでいましたので、朧げな月です。ハッキリ、クッキリよりも、私には丁度よい月です。